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  作者: 外山
165/216

学園祭


鈴科孤児院から歩いてきた4人は南涯高校にたどり着いた

時刻は昼の12時になろうとしているところで、もう既に学園祭は始まっていた

昼時という事もあり人も多く、校門前にまで人は溢れ、自転車や原付が無造作に並べてあった

「おぉ~!活気に溢れてるね~!」

学校に出来た人ごみを眺め、目を輝かせながら水野は言った

「なんか去年より多い気がするな まあ客側じゃなかったからよく分かんねえけど」

桐島は学園祭と書いた看板など、周りを見ながら呟いた

「へぇ~、ここが姉さんと誠哉さんがいた学校か、、、」

凛は興味深そうに校舎を見上げ、考えるような表情をした

「、、、うん」

渡部は小さくコクッと頷いた

「麻癒さんもう来てるよね?回ってるのかな」

凛は渡部の肩をつつきながら人ごみの中を見る

「うん、多分野波佳君といると思う ね?」

渡部は目で桐島に確認した

「ああ とりあえず俺は須原と秋本を探さねえと さっきメール見たけどもう来てるらしいからな」

桐島は携帯を開き、時間を確認しながら言った

「私は麻癒さんを探して来たらいいですかね?」

「そうだな、、、ま、じゃあテキトーに分かれるか」

凛と桐島は会話をしながら南涯高校の中に足を踏み入れた








桐島と水野は人ごみの中をゆっくり歩いていた いるのは中高生や大学生ばかりかと思われていたが、よく見ると親子連れや中年、老夫婦など幅広い年齢層だった

「へぇ~、色々やってるんだ 全部学校でやってるんだよね?業者とかいないよね?」

水野は様々な出店を順に見ながら感心していた

「ああ 基本的には全部生徒がやってる 材料とかは学校に用意してもらってな」

桐島は去年に自分がやった事を思い出しながら言った

お面や金魚すくい、焼き鳥や射的など定番の出店がたくさん出ており、まるで本当のお祭りのようだ

「すっご!焼き鳥って!高校で焼き鳥売る!?」

水野は焼き鳥店を見つけ、吹き出すように笑った

「ま、まあ確かに、、、つかあんまでかい声で言うなよ 聞こえんだろ」

「いいじゃんいいじゃん!買お!」

水野は桐島の腕を引っ張った

「、、、そうだな 腹減ったし」

桐島は引っ張られながらもイイ匂いのする焼き鳥を見た

「食べたら射的しよ!」

「いいけど、須原と秋本も探すぞ」

「うん!」

水野は楽しそうに出店を見ながら頷いた





射的の後も色々と見て回り、水野と桐島は学園祭を堪能していた

「すごいねぇ~、こんなお祭りみたいなの、初めてかも!」

「初めてってこたぁねえだろ どこにでもあるもんだし」

「う~ん、、、でも、勉強ばっかりしてたからなぁ」

水野は首を傾げながら呟くように言った

「この学校はこんなんばっかりだぞ?文化祭はこれよりちょっと規模がでかいだけで似たようなもんだし、体育祭もテキトーっつうか、聞き慣れねえ名前の競技とかあるしな」

桐島は1年半過ごした南涯高校での生活を思い出していた

「、、、、、へぇ~、、、そっか」

水野は桐島から顔をそらしながら言った

「お、須原か?」

桐島は人ごみの奥の方に須原の姿を確認した

「秋本もいるし、、、合流するか」

水野を見ながら桐島は少し早歩きになった

「うん」

水野は桐島の後をついていった


須原達に近づくと、更に安川、瞬、外山がいた

「あ、桐島!」

須原は手を上げながら桐島を呼んだ

「ちーちゃんもいるやん!こっちやでー!」

秋本も須原に続き、手を振りながら2人を呼んだ

「みんな揃ってねえのか?」

桐島は周りを見ながら言った

「うん 先輩方とも別で来たしね どこかにはいると思うけど」

瞬は小さく頷きながら言った

「あず!これあげる!」

水野は先ほどの射的で取ったガラクタを秋本に手渡した

「いや要らんよこんなん!何に使うん!」

「ハハッ!さっき取ったからさ!」

ツッコむ秋本に対し水野は笑いながら答えた

「野波佳もいねえなぁ みんなバラバラなのか?」

須原は今の状況が掴めていなかった

「ああ、歩と凛ちゃんの方と合流してっかもしんねえけど、、、」

桐島は頭を掻きながら呟くように言った

「は?歩が来てんのか?」

須原は驚いた表情で桐島に聞き返した

「ん?ああ」

「え、、、じゃあ言えよな 聞いてねえぞ」

「そうだっけ?」

「まあいいけどよ、、、歩か 結構久しぶりだな」

須原は頷きながら幼なじみである渡部の顔を思い出していた

「、、、?凛ちゃん、、、?」

須原は先ほど桐島の口から出た名前をふと呟いた

「凛ちゃんって、、、もしかして歩の妹の?」

須原は確認するように再び桐島に話しかける

「え?ああ、なんで知ってんだよ?」

「へぇー!凛ちゃん来てんのか!懐かしいなぁ!」

須原は小学生の頃を思い出しながら楽しみそうに言った

「歩ちゃんて妹おるんや 知らんかった」

秋本は隣で感心したように頷いていた

「、、、あー、須原君ってあゆみんの幼なじみだもんね」

安川は納得したように確認した

「はい 凛ちゃんとも一応、知り合いなんすよ つっても小学生以来ですけどね」

須原は笑顔で頷きながら言った


「んで?渡部とかはどこに行ったんだよ?」

外山はあくびしながら何気なく桐島に訊ねた

「入り口で分かれて入ったから分かんねえけど、、、とりあえず誰かと合流してんじゃねえか?」

「ふ~ん」

桐島の答えに外山は特に興味もなさそうに返事をした

「まっ、その内出くわすっしょ?テキトーに歩いてたら」

「そうですねー」

安川と秋本は息を合わせて頷いた


「あっ、誠哉君達いました!」

すると渡部は浜の背中を軽く叩きながら桐島達を指差す

「む?ほっとけ それよりはばないすでえのステッカーだ」

浜は手に念を込めながらくじをひいていた

「ガンバッテネ~ 薫ちゃ~ん」

片岡は祈るように両手を合わせていた

「麻癒~凛ちゃ~ん もうやめとけよ~」

野波佳は2人を見て呆れたように言った

「静かにしてて焦栄!私達はこんなボールなんかにナメられたまま終われないの!」

徒仲は真剣な眼差しで水に浮いているスーパーボールを見ていた

「そうです野波佳さん コケにされてるんです私達は 絶対に許せません、、、」

凛も憎しみを込めて拳を握りしめた


「言ってるそばから出くわしたね」

「はい」

瞬の言葉に外山はコクっと頷いた

「ところで片岡先輩 はばないすでえってなんですか?」

渡部はふとした疑問を片岡にぶつけた

「薫ちゃんの好きなゲームのソフトよ~ すごく人気があって、シリーズXIまで出てるの~」

「え、、、そんなに、、、」

(XI、、、え~っと、11?)

渡部は俯きながら考え込んだ


ポン


と、誰かが渡部の肩に手を置いた

「?」

「よ、歩 久しぶり!」

須原はニカッと明るく笑い、渡部の名を呼んだ

「、、、っ!?え、浩二君!?」

渡部は思わず手で口を塞いだ

「私もおるよ~」

秋本は須原の後ろから手を振っていた

「梓ちゃんも、、、」

「お前来てたんなら言えよな~」

須原はスネたような口調で言った

「う、うん、ごめん、、、」

渡部は俯き、須原から目をそらした

「つかよ、なにびっくりしてんだよ?俺が来る事ぐらい知ってたんだろ?」

渡部の反応に対し、須原は不思議そうに訊ねた

「、、、うん、久しぶりだったから、、、」

「ははっ!そうか?」

須原は渡部の答えになってない答えに笑顔で返事をした

「名古屋帰ってもよ、また遊ぼうな」

「、、、、、」

「凛ちゃんも来てんだよな?どこ?」

須原はキョロキョロと周りを見る

「、、、凛ならあっちだよ」

渡部は徒仲と一緒にいる凛を指差した

「お、あれか~?」

須原は目を凝らしながら凛の後ろ姿を見る


「今日はこのぐらいで許してやろうか 凛ちゃん」

「そうですね麻癒さん」

徒仲と凛の2人は互いに目を合わせ、ゆっくりと頷いた

「2人合わせて3個ね、、、」

野波佳は2人に言う訳でもなく、なんとなく呟いた

「う、、、うるさいなぁ!焦栄は!」

「あ、須原じゃん」

怒る徒仲を無視し、野波佳は須原に声をかけた

「おー野波佳」

須原は手をあげ挨拶し、視線を凛に移した

「、、、?」

須原と目が合った凛は首を傾げた

「、、、り、凛ちゃん?」

「? はい?」

「ほぁ~、凛ちゃんってこんな感じだったっけ~?」

須原は興味深そうに頷きながら言った

「、、、はい?あの、、、どちら様ですか、、、?」

凛は困った表情で須原に訊ねた

「えぇ~!?覚えてないか!?須原浩二だよ!?歩の幼なじみの!?」

「、、、はぁ、、、?」

凛はあまりしっくりこないまま返事をした

「マジかよ!確かに小学生ん時以来だけどよ~」

「なんだよお前 知り合いだっつってたじゃねえか」

桐島はニヤニヤ笑いながら須原に言った

「う、うっせえ」



「、、、、、」

水野は1人、キョロキョロと周りを見渡していた

「? どした千佳?」

水野の様子に気づいた桐島はふと訊ねた

「うん、あの、、、さなっちゃんがいないからさ」

水野は先ほどから北脇を探していたようだ

「ああ、あいつは生徒会長だからな なんか仕事でもしてんじゃねえか?」

「あ、そっか、、、」

水野はその事に気づき、少し落ち込んだ表情を見せた

「校舎の中か、、、?ちょっと探しにいってみるか?」

「え、でも、、、中に入って大丈夫?」

「大丈夫だろ トイレだって校舎内の使ってるし、俺も元生徒だしな」

「、、、うん、じゃあ、、、行こ?」

水野は前を小さく指差した











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