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  作者: 外山
16/216

分かりやすい2人

「、、、ちっ!イラつくなぁクソ!!」

桐島は校内にある、文化祭用に用意されたベンチに座っていた

(なんなんだよあの野郎、、、渡部に馴れ馴れしくしやがって、中学の時の先輩だかなんだか知らねえけど、、、あれ?)

桐島はある事に気がついた

「なんで、、、俺がイラつかなきゃなんねえんだよ、、、」

(別にいい事じゃねえかよ、渡部が先輩と仲良いのは なんで俺がイラついてんだ、、、?)

桐島は渡部の顔を思い出すだけで妙に恥ずかしい気分になった

(も、もしかして俺、、、渡部のこと、、、)

「いやそれはないな まあない 土台ない」

桐島は首をふり、言い聞かすように呟いた

「あ、そうか 1万円なくしたからだ」

桐島は納得したように手をポンと叩いた

「、、、はぁ~、せっかく忘れてたのに、、、なんかダルいなぁ、、、」

桐島はズルズルとベンチに寝転んでしまった










時刻は7時を回っていた

校庭の真ん中でキャンプファイヤーが行われていた

文化祭で出たゴミを一気に燃やすようだ



渡部は校庭付近を1人でウロウロしていた

(誰かいないかな、、、みんな帰ったのかな、、、?)

するとそこに、瞬、安川、浜、片岡の4人がやってきた

「あーゆみん!何してんの1人で?」

安川は陽気に渡部に声をかけた

「あっ、みなさん、、、いえ特に、麻癒達を探してるんです」

「麻癒ちゃん達なら、、、確か向こうにいたんじゃなかったかな」

瞬は表門の方を指差す

「ありがとうございます 行ってみます」

渡部が歩きだそうとすると安川は止めた

「まあまあいいじゃん!みんなも多分こっちくるしさ!それよりちょっと、、、」

「?」

安川と渡部は少し瞬達から離れた

「なんですか?安川先輩」

「堅いよ~♪真奈美でいいよ」

「は、はぁ、真奈美さん」

安川は瞬達の目を気にしながら渡部に耳を寄せる

「あのさぁ、さっき会ってたの、あれ誰?」

安川は小声でコソコソ話をするように言った

「っっ!?み、見てたんですか!?」

「うん♪ね~ね~誰なの?」

安川はとっても楽しそうに渡部に迫る

「え~っと、、、中学の時の先輩です、、、」

「ふ~ん、そうなんだ♪でもそれだけって感じでもなかったけど?」

安川は更に詰め寄った

「え、、、はは、そう見えました?」

渡部はテキトーに笑ってごまかそうとした

「さては、、、コクられたな?」

「っっ!!」

渡部はドキッとした表情で顔を赤くした

「はははっ!分かりやすいね~あゆみんは!」

「うぅ、、、なんか悔しい、、、」

渡部はいじけたように呟く

「で?返事はなんて返したの?」

安川はまだ興味津々だ

「、、、えっと、、、」

渡部はもう一度周りを確認し、話し出した






くん、、、やくん、、、



(、、、ん?)



「誠哉君!!何してんの!?」

「うわっ!!えぇ!?」

桐島は跳ね起きた

どうやらベンチで寝てしまっていたようだ

それを見つけた徒仲と北脇は桐島をたたき起こした

「あれ、、、俺寝てたのか、、、」

桐島は眠そうに頭をボリボリかいた

「なんでこんな場所で寝れるのよ」

北脇は冷ややかにツッコむ

「それより早く校庭行こ!みんな待ってるから!」

徒仲は無理やり桐島を立たせた

「校庭?なんで?」

「いいから!キャンプファイヤーやってるの!」

徒仲は桐島の背中を押す

「、、、いいって俺は 火見ても仕方ねえし」

桐島は軽く後ろにもたれ、歩こうとしない

「ごちゃごちゃ言わなくていいから」

北脇は桐島の正面から思い切り顔を寄せる

「はい、、、」

(こえぇ、、、)

桐島は大人しく歩き出した










3人が校庭に着いた時にはキャンプファイヤーは終わり、真ん中に真っ黒い灰だけが残っていた

「、、、もう終わってんじゃねえか」

桐島は拍子抜けしたようにため息をついた

「お、誠哉いたか!?」

「遅いんだよお前!さっさと終わらすぞ!」

灰の山の近くにいた野波佳と外山は校庭の入り口いる桐島に声をかけた

よく見ると周りに渡部や先輩方、美嚢の姿もあった

「? 終わらすって何を?」

「あのキャンプファイヤーの灰、片付けたら美嚢先生が1万円くれるって」

北脇はそう言いながら歩き出した

「え?」

「1万円は拾えたんでしょ?歩ちゃんが言ってたよ?」

徒仲も続いて真ん中の灰に向かった

「、、、渡部、ね」

桐島は小さい声で呟きうつむいた

(そういやあいつ、、、あの人とどんな話したんだろう、、、)

桐島は忘れていた事を思い出し、少し落ちこんだ

「キリシマン!」

すると安川が桐島を呼びながら歩いてきた

「安川さん、、、その呼び方やめてくださいよ」

「どうしたの?ずいぶん暗いみたいだけど」

「、、、別に」

「あー分かった!あゆみんと待ち合わせしてた人の事が気になるんだー!?」

「は、はぁ!?なにがだよ!」

桐島は急に図星を突かれたじろいだ

「はははっ!あゆみんと一緒でキリシマンは分かりやすいね~!」

安川は慌てている桐島の頬をつつく

「っっ!!知らねえよ!」

桐島は立ち上がり安川から離れようと歩き出した

「あゆみんさぁ~、あの先輩に告白されたんだって!」

安川の言葉に桐島は立ち止まった

「、、、、、」

「心配しなくていいって~!断ったってさ!」

安川は笑いながら桐島に話す

「、、、ふ、ふ~ん!ま、別に俺には関係ないけどな!」

桐島は少し明るい声になっていた

「他に気になる人がいるんだって!」

安川はいかにも、といった様子で桐島に言った

「、、、だ、だから関係ないですから!」

桐島は安川にそう言い残し、真ん中のキャンプファイヤーの灰があるところに向かった



「ホントに掃除したら1万円くれるんだよな!?」

「ちゃんと綺麗になったらって先生言ってたよ!」

「よーっし!渡部!ちゃんと手伝えよ!」

「うん!桐島君!」






「ホント、、、分かりやすいなぁ、キリシマンとあゆみんは、、、」

安川は2人の様子を見ながら見守るような表情で呟いた






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