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  作者: 外山
147/216

渡部の酔いくだけ


「お、お前酔ってんのか、、、?」

あまりに様子が変な渡部に桐島は訊ねた

「ふぇ?酔ってないヨ~!車にも乗ってないのに」

「、、、完全に酔ってるな、、、ちょ、ちょっと貸せ!」

「あっ、、、」

桐島は渡部から強引に缶ビールを奪った

「え、、、ほ、殆どない、、、もう飲んだのかよ!?」

「うんっ!あはは~!だって喉にどんどん流れてくるんだも~ん!」

渡部は桐島から缶ビールを取り返した

「、、、これぐらいで酔ったのかよ、、、いや、酔うもんなのか、、、?」

桐島は手に持つ缶ビールを見ながら言った

すると渡部がツンツンと桐島の肩を叩いた

「ん?」

「、、、んふふっ!」

桐島にぐっと顔を寄せ、渡部は笑った

「ん、チュ~」

渡部は唇を尖らせ、桐島の唇を奪いにかかった

「んなっ!?なにしてんだよ!」

桐島はすんでのところで体をそらし、キスを逃れた

「ん~、チューしよぉ?誠哉く~ん」

渡部は桐島の肩や腕にしがみつく

「ア、アホかお前!何言ってんだよ!」

桐島は顔を逸らしながら渡部を説得する

「ヤなの?私とチューするのー?」

「い、嫌とかそういう話じゃねえよ!いいから離れろって!人目もあんのに!」

桐島は力ずくで渡部を体から引き剥がした

「んもぉ~、気にしぃだね~せーくんはさ~」

「せーくんやめろ!」

「、、、ん?んん?」

渡部は何かに気づいたように通行人の女性に近寄った

「えっ?な、なんですか?」

見ず知らずの通行人の女性は急に顔を寄せてくる渡部に戸惑った

「あなた、、、チューしたそうな顔してますヨ?」

「は?」

「お、おい!歩!やめろって!」

桐島は慌てて渡部を止めにいく

「私とチューしましょ~!」

「ちょ、ちょっとなんですか!」

唇を奪いにくる渡部に通行人は必死で抵抗した

「や、やめろ歩!すいません!こいつ酔っ払ってるみたいで!」

桐島は渡部を押さえながら通行人の女性に謝る

女性は少し怒った表情でそのまま立ち去っていった

「あ~、、、もぉっ、せーくんのせいであの人行っちゃった、、、」

桐島に押さえられている渡部は不機嫌そうに言った

「ったく、、、男女見境無しにキス魔になんのか?こいつは、、、」

(めちゃくちゃタチわりぃじゃねえか、、、)

桐島はめんどくさそうにため息をついた

「ん、、、なぁに?そんなにじろじろ見てぇ~?」

渡部は自分が持っている缶を見ながら言った

「、、、、、」

(相当酔ってやがる、、、)

桐島はそんな渡部を見ながらどう処理しようか考えていた

「も~チューしちゃうぞ~!ん~ちゅっ!」

渡部は缶の飲み口付近にキスをしまくりだした

「かぁわいいネ~?オマエはっ!」

渡部は満面の笑みで缶を撫でている


「、、、、、」

(コイツ、、、どうしようかな、、、)

桐島は人目を気にしながら歩道の端に寄った

もう閉まっている店のシャッターの前に2人は陣取った

「なあ歩、帰れるか?」

「帰る?帰る?どうする?」

渡部は右手の缶に訊ねた

「、、、うんうん、まだ帰りたくないんだってさ~!あははー!かわいいヤツめー!」

渡部は再び缶にキスを始めた

「、、、無理そうだな」

桐島は溜め息混じりに呟く

「コイツの家は電車に乗っていかねえとダメだしな、、、」

「え?東京タワーにのぼりたいの?なんでなんで?なんで東京タワーなの?」

渡部はまだ手に持つ缶と会話をしていた

「、、、1人で帰らすのも心配だし、、、」

(しゃあねえな、送っていくか、、、)

桐島は最寄りの駅の方を見ながら言った

「ったく、もうこんな時間だっつうのに、、、」

時刻は9時半 桐島は時間を確認した後、呆れた表情で渡部を見た

「にゅふふ~、生まれた時からジュース缶~、ハタチでやっぱりジュース缶~」

渡部は奇妙な歌を歌いながらゆっくりとまばたきをする

「えへへ~、、、にゃはは、、、」

「、、、?」

声がだんだん小さくなる渡部を桐島は不思議そうに見た

すると渡部はストンと落ちたようにその場に座り込んだ

「?歩」

桐島は目線を下げ、渡部を見ながら言った

「、、、ログオフ!ピロロンっ!」

渡部はビシッとそう言うとシャッターにもたれ、そのまま流れるようにコテンと寝転んだ

「、、、え?」

「スフー、、、スフー、、、スー」

渡部は幸せそうな表情で眠っていた

「、、、はぁっ!?」

桐島は慌ててしゃがみこみ、渡部の様子をうかがう

何の疑いもなく、渡部は眠りについていた

(ウソだろ、、、寝た?寝たのこいつ?)

桐島はおそるおそる肩をさすった

「、、、あ、歩?歩ー?起きろよー?」

「スー、スピ~、スー、、、スー、、、」

わずかに呼吸が乱れたので、一応桐島の声は届いているようだ

「、、、こんなとこで、、、」

桐島は渡部から目線を移し周りを見渡した

国道に沿う大きな夜の街である 高校生が2人だけでうろつくのは物騒な時間帯にもなるというのに、渡部はそこで眠ってしまっていたのだ

「、、、お、おい、、、」

「ンフ~、、、フスー、、、」

渡部は両手を枕のように頭の下にしき、気持ちよさそうに眠っている

「、、、勘弁してくれよ、、、」

桐島は頭を抱え、その場に座り込んだ







数時間後





「、、、、、?」

渡部はゆっくりと目を覚ました

(、、、あれ、、、なに?これ、、、)

渡部はぼーっとしながら額を押さえた

「目、覚めたか?」

「、、、っ!!」

桐島の声が耳に入った渡部は物凄いスピードで起き上がった

「えっ!?せ、誠哉君っ!!えぇ!!誠哉君!!」

「う、うるせえなぁ!2回言うなよ」

桐島は耳を押さえながら言った

「ど、どういう、、、?」

渡部はキョロキョロと周りを見渡した 大通りから一本それた公園に2人はいた

「真っ暗、、、夜?」

「そうだよ つか記憶飛んでんのかよ 今は深夜の1時過ぎだな」

「、、、はぇっ!?夜中!?1時!?」

「だ、だからうるせえって!夜中にでかい声出すな!」

「ご、ごめん、、、」

ピリピリした様子の桐島に渡部は怯みながら謝った

「、、、まあ細かい事は歩きながら言うから、、、とりあえず行くぞ」

桐島は立ち上がり、先に歩き出した

「え、、、ど、どこ行くの?」

渡部も続いて立ち上がり、慌てて桐島を追いかける

「アパートだよ」

「、、、アパート?」

「俺のアパートだよ ここから近いからよ」

「、、、えぇっ!?誠哉君のアパート!?」

渡部は立ち止まり、驚きながら言った

「えぇー!?い、今から!?え~っと今何時だっけ!?」

「だからうるせえって、、、」












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