表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 外山
130/216

まず向かうは

翌日


12月25日


桐島、水野、須原、秋本の4人は埼玉行きの新幹線に乗っていた


(なんで昨日の今日に出発なんだよ、、、27か8ぐらいだと思ってたのに、、、)

桐島は今日の出発にあまり納得いっていなかったが、水野は数日前から決めていたらしい

「ちーちゃん!楽しみやねー!私、初埼玉やからね!」

「えーそうなの?でも安心してねあず、一生埼玉行かなくても別に損しないから!」

「はっはっは!」

秋本と水野の会話を聞き、須原は楽しく笑っていた

(はっはっはじゃねえよ、人の地元を笑いやがって、、、つかちーちゃんとかあずとか誰だよ お前らいつの間にそんなに仲良くなったんだよ)

桐島は無愛想な顔で窓の外を見ながら思っていた

ちなみに、(水野)千佳→ちーちゃん

(秋本)梓→あず

である

(あと秋本はなんで来てんだよ、、、まあこのメンツで秋本だけ来ないのもちょっとおかしいけど)

水野は仲良くなった秋本を埼玉に誘ったのである

桐島は心の中でひとしきりツッコんだ後、小さくため息をついた

「なにブスッとしてんだよ!お前のフルサトに行こうってのに!」

須原はつまらなさそうな表情の桐島を肘でつつく

「別にブスッとしてねえよ」

桐島は軽くそれだけ言い返した

「あ、、、もしかして埼玉に友達おらんのちゃう!?」

秋本は意地悪そうな笑顔を浮かべ、桐島を指差す

「いるわ!結構いるからな!お前ら名前覚えられねえぞ!」

桐島は子供のようにやっきになって言い返す

「ははは!ちゃんと紹介してよね!誠ちゃん!」

水野は桐島の言葉を真に受けず、笑いながら言った

「、、、おう」

桐島は目をそらし、少し考え込んでから答えた






埼玉に着いた4人は駅前にいた

見渡せる景色は道路ばかりの殺風景だが、桐島は感慨深く感じるものがあった


(8月からだから、、、4ヶ月ぶり、意外と時間は経ってねえんだな、、、もう一年以上いるような感覚だけど、、、)

桐島は地を踏みしめ、再び景色を見渡す

(帰ってきたんだな、、、埼玉に)

桐島は感動にも似た気持ちになっていた


「おー!すごー!こんな感じだったっけぇ!?この辺って!」

「てゆうか寒ない?名古屋に比べて?まあこんぐらいなら大丈夫やけどね!」

「つか広くねえ!?すげえ向こうの方まで見渡せるし!空低いしよ!」


水野、秋本、須原の3人は桐島の気持ちなど全く関係なく、物珍しそうに騒いでいた

「、、、、、」

(余韻もクソもねえな、、、)

桐島は小さく息をついた






桐島を先頭に4人は歩いていた

場所は駅前の雰囲気からだんだん住宅街へと移り変わっていく


「、、、誠ちゃん?どこ向かってるの?」

水野は一歩前を歩く桐島に耳打ちする

「ああ、とりあえずお前ら荷物置きたいだろ?もうちょい行けば置ける場所あるからよ」

孤児院はちょっと遠いだろ?と小声で水野に言った

「、、、荷物を置ける場所、、、?」

「ああ」

水野は首を傾げるが、桐島は明確な場所を答えなかった

「あ、、、千佳 一応言っとくけど、、、あいつらの前では誠ちゃんって言うなよ?」

「え?なんで?あいつらって?」

「埼玉の友達だよ あいつら常に人をからかうネタを探してるからな、、、弱味見せたらどこまでもいじってきやがる」

「じゃあ、、、なんて呼ぼっか?」

水野はそれはそれで楽しそうだと考えているようだった

「、、、ん~」

桐島は少し考え込む

「誠哉♪」

「っっ、、、」

桐島はばっと顔を上げ、水野を見る

「どう?誠哉、でいいんじゃない?」

水野はニコニコ笑いながら楽しそうにしている

「いや、、、それはなんか、、、」

桐島は照れくさそうに頭をかく

「な、なんか考えといてくれよ!ちょうどいいヤツ!」

桐島は前へ向き直し、ビシッとそう言うとその話題を切った

「、、、う~ん?どうしよっかな?」

水野は小さくそう呟き、1人で考えていた





ピンポーン


桐島はあるマンションのインターホンを押した

とても高級な雰囲気が漂うマンションに3人は戸惑っていた

「な、なぁ?ホンマにこんなええトコの人と知り合いなん?」

秋本はオロオロしながら落ち着かない様子だ

「知り合いだよ 一応先輩だから敬語使えよ」

ガチャ


桐島達がそんな会話をしているとドアが開いた

「は、、、あっ!」

ドアを開け、驚いた表情をしたのは瞬純だった

「久しぶりです ちょっと入っていいですかね?」

桐島は半ば強引に瞬の家の玄関に入る

「え、、、な、なに!?どういう状態!?」

名古屋にいるはずの桐島の来訪に瞬はひたすら動揺した






瞬は4人を家の中へと招き入れて、桐島から話を聞いていた


「、、、ふ~ん、冬休みだから埼玉に帰ってくるついでに名古屋の友達を連れてきたのね、、、」

瞬はソファーにもたれながら桐島達の顔を眺めた

「はい、荷物も多いし、とりあえず落ち着けるとこ行こうと思って、、、」

「それでなんでウチなの?てか連絡ぐらいしてよねー?びっくりするじゃない」

「まああんたならいいかと思ったからさ」

桐島の雑な考え方と口調に瞬は呆れ顔でため息をつく

「まあいいけど、、、」

瞬は桐島以外の3人を見た

「みんな名古屋出身なの?」

瞬は誰に聞く訳でもなく訊ねる

「あ、いえ、私は京都です せやから1人暮らしなんですよ 桐島と同じアパートで」

秋本から軽く自己紹介をする

「あ、ホントだ関西弁、、、へえ、桐島君と同じね、、、あ、じゃあ葵さんのところ?」

「はい 大家は葵さんですね」

瞬の問いに秋本は簡潔に答える

「え?瞬さんも早乙女さんと知り合いなのか?」

桐島は話に割って入り、瞬に質問する

「うん この前浜先輩から聞いたよ?桐島君が葵さんのアパートにいるって、、、」

「、、、そうすか」

桐島は納得し、頷きながら呟いた


「あなたは名古屋?」

瞬は次に水野に訊ねた

「名古屋、、、なんですけど、生まれは埼玉なんですよ」

水野は少し難しそうに状況を説明した

「えっ?そうなの?」

瞬はどういう事か桐島に確認した

「まあ、、、幼なじみなんですよ 俺と」

「桐島君と?」

「はい、、、なんつうか、出身が同じ、、、てゆうか、、、」

「、、、そっか」

瞬は軽く頷いた 桐島の家の事情はなんとなく把握していたので無理には問い詰めなかった


「君は?」

瞬は最後に須原に訊ねた

「俺は生まれも育ちも名古屋ですね」

「お、やっと」

瞬は嬉しそうに頷いてみせた

「多分、同じ高校だったと思うんですけど、渡部歩って知ってますか?」

「え、、、う、うん 歩ちゃん、、、ね」

瞬は少し桐島に遠慮しながら頷いた

「幼なじみなんですよ 小学校が一緒で」

「、、、そうなんだ、、、」

瞬はどうしていいかよく分からず、困っていた

「、、、、、」

桐島は特に反応せずに黙っていた


(渡部、、、歩、、、?誰?)

水野は1人、よく分からない名前に対して考えていた








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ