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  作者: 外山
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人見知りの成長



「な、なんで浜さんと片岡さんが、、、」

桐島は信じられないような表情で2人を見る

「私、葵ちゃんの幼なじみなのよね~」

片岡はいつものおっとりした口調で喋った

「はぁ!?」

桐島は素早く早乙女の方に顔を向ける

「はぁじゃないわよ!私だって桐島君が綾と薫の後輩だって全然知らなかったから!」

早乙女はタバコを口から離し、桐島に言い放った

「私は高校になってから綾の経由で知り合った」

浜はボソッと呟き話に入る

「てゆうか、、、早乙女さんって何歳なんすか!」

「19よ!綾と薫の同い年!」

「19!? 19で大家やってんすか!?」

「仕方ないでしょ!数年前までは親戚の人がやってたんだけど亡くなったの!誰もやりたがらないから私に回ってきたのよ」

早乙女はそう喋り終えるともう一度タバコをくわえた

「そうよね~、高校2年生の時から大家だものね~葵ちゃんは♪」

片岡はニコニコ笑いながら早乙女を見る

「、、、もう訳分からん」

桐島はツッコむ事を諦め、その場に座った

「桐島と同じだ 葵は高2の時に名古屋に引っ越したんだ」

浜は片岡の説明に補足する


「ところで、、、その子誰なん?」

今まで一言も喋らなかった秋本はふと水野を見ながら言った

「あ、ごめんなさい挨拶もせずに、、、初めまして 水野千佳と言います」

水野は丁寧に頭を下げた

「俺の幼なじみっていうか、、、昔からの知り合いなんだよ 最近たまたま会ったんだ」

桐島は水野を皆に紹介した

「そうなのか よろしくな、水野」

須原は笑顔で水野に挨拶した




「で、浜さん、片岡さんはなんでここに?」

桐島はふと思い出したように訊ねた

「む?話を聞いてなかったのか?」

「葵ちゃんと友達だからよ~」

「いやそうじゃなくて!東京に住んでるんですよね!?簡単に来れる距離じゃないっていうか、、、」

桐島は言葉を付け足しもう一度訊ねる

「そんな事は関係ない 小さい事を気にするな」

「会いたい時に会うのよ~ ただそれだけよ~」

2人は桐島と目を合わし、ビシッと言った

「、、、大学は?」

「調整した」

「調整!?なんですかそれ!?」

「あなたは高校生だから分からないのよ~」

「、、、、、」

何を言っても通じない事に気づいた桐島は言葉を止めた

(、、、相変わらずの自由人ぶりだな、、、)

桐島はそう思うと、あまり変わってない2人に少し安心した

「あの、、、ちょっといいですか?」

水野はおそるおそる手を挙げ、浜と片岡の方を見た

「うむ なんだ?」

浜は腕を組み、水野の言葉を聞く姿勢に入った

「お2人はなんて大学に行かれてるんですか?東京の大学に行かれてるみたいですけど、、、」

水野は緊張気味だが期待に満ちた声で訊ねた

「うむ、卆壬大学というところだ」

「そこの一年生よ~」

2人が言葉を言い終える前に水野はズイッと2人に近づいた

「やっぱり!さっき話してた人達だよね!?」

水野はバッと桐島の方を見る

「ああ」

「貴様、私達の陰口を言っていたのか」

浜は桐島をキッと睨む

「陰口好きよね~、あなたは」

「言ってないですよ!ちょっと大学の話になって、、、それで卆壬に行ってる知り合いの先輩がいるって話をしただけです」

桐島は浜と片岡にキッチリ説明した

「つか陰口好きってなんですか、、、ずっとそんな風に思ってたんですか?」

桐島はため息まじりに言い返す


「あの、卆壬大学ってどんな感じですか?校内の雰囲気というか」

水野は目を輝かせながら質問をぶつける

「む?、、、う~む、他の大学を知らないからな、、、」

浜は腕を組みながら考え込む

「寮に住んでるんですか?お2人とも埼玉出身と聞いたんですけど」

「寮ではないわね~、アパートで2人で住んでるのよ~」

「じゃあじゃあ!どこの学科に所属されてるんですか!?確か卆壬大学は法学部と、、、、、」




水野はひたすら質問をぶつけ、浜と片岡は出来る限りそれに答えていた


桐島はその横で早乙女に質問した


「結局、浜さんと片岡さんはなんで来てるんですか?」

2人に聞こえないように小声で言った

「知らないわよ 昨日の夜にいきなり電話してきたのよ 明日遊びにいくってね 薫から」

早乙女は少し呆れた様子で水野から質問を受けている浜と片岡を見る

「そうですか、、、」

桐島はそう言いながら須原と秋本の方を見た

「、、、、、」

「、、、、、」

秋本はボーっとした表情でマンガを読み、須原は窓から外を眺めていた

「、、、、、」

(そっか、、、やっぱまだ、、、)

桐島は2人のそんな姿を見ると、菅井の顔が脳裏によぎった


「、、、あんたたちの友達の話、聞いたからさ、、、」

早乙女はタバコの火を灰皿で捻り消した

「綾と薫が来るんなら、会わせてみようと思ってね、、、元気出るかもしれないし」

早乙女は桐島にだけ聞こえるように耳打ちした

「、、、はい」

桐島は小さい声でそう答えた




「すっごいです!資料だけじゃよく分からないんですよねー!」

水野は大興奮で浜と片岡の話を聞いている

「それは良かったわね~」

片岡は小さく拍手をしながら言った

「うむ、今の内から調べるなんて熱心だな まだ2年生だろう?」

「え、、、?」

浜の言葉に水野は戸惑った表情になった

「何言ってんのよ薫 卆壬なんて行くヤツ、みんな中学とかの時から準備してるモンよ」

早乙女は呆れた表情で浜に言い放つ

「、、、むぅ?そうなのか、、、?」

浜は首を傾げながら片岡の顔を見る

「私達は特別な勉強はしなかったわね~」

片岡と浜はかなり余裕で卆壬大学の試験に受かっていた

「あ、、、あの、てゆうか私、卆壬大学には行かないんです、、、」

「え?」

水野の言葉にその場にいた全員が水野の方を見た

「え、で、でもめっちゃ熱心に聞いてたやん、、、?」

秋本はマンガを閉じ、水野に言った

「そ、、、それはまあ、、、ちょっと気になって、、、」

水野は頬をかきながらごまかしたように言った

「完全に卆壬を受験するんだと思ってたけど、、、じゃ、じゃあ卒業したらどうすんだよ?」

「い、一応、就職の予定で、、、」

須原の問いに水野はオドオドしながら答える

「ではなんの為に聞いていたのだ?」

浜は単純に気になった事を訊ねた だが浜の事をあまり知らない水野はその表情の変化の少なさが少し怖かった

「い、いえ、あの、、、え~、、、」

水野は目線を下げながらモジモジする

「、、、てゆうか!私の学力じゃかなり厳しいんですよね~!」

水野は後頭部をかきながら明るく笑ってみせた

「むぅ、、、そうか」

浜は少し残念そうにため息をついた

「さっきも誠ちゃんとそういう話をしてたんですよ!その時にお2人の話を、、、」

「え?」

桐島以外の全員が、水野の方を見た

「、、、はい、、、?」

水野はキョロキョロ皆の顔を見る

「、、、誰とそういう話をしてたのかしら~?」

片岡は代表して水野に訊ねた

「あっ、、、」

桐島は気づき、水野を止めようとするが間に合わなかった

「ですから、誠ちゃんと」

水野は桐島を指差しながら言った

「誠ちゃん~?」

早乙女は桐島を睨みつけながら言った

「あ、いや、、、これはその、あだ名みたいなもんでですね、、、」

桐島は慌てて皆に弁明する

「キモすぎるぞ貴様 そう呼ばせてるのか」

「呼ばせてはねえよ!幼なじみだってさっき言ったろ!」

桐島は先輩の浜だろうが関係なくキツい口調で言った

「幼なじみとか関係ないわよね~?綾?」

「そうよね~葵ちゃん」

早乙女と片岡は目を合わせ、確認しあう

「うるせえないちいち!こんぐらいスルーしろ!」

「先輩にその口の聞き方はどうかと思うわ~」

タメ口をきく桐島の耳を片岡は強く引っ張る

「い、いでで!痛いですよ!チカラ強すぎ、、、」

桐島は為すすべもなくただ良いようにやられていた

「ははっ、誠ちゃんって、、、」

「かわいいねー、誠ちゃん!」

須原と秋本は笑いをこらえながら桐島をからかう

「お、お前ら、、、い、痛いですって!」

2人に言い返そうとするが片岡に更に強く耳を引っ張られる


「、、、、、」

水野はポカンとした表情でその様子を見渡していた

(あの誠ちゃんに、、、こんなに友達が出来るなんて、、、)

水野は驚いた表情でいじられている桐島を眺める

「、、、ふふっ」

水野は妙に嬉しくなり、つい笑ってしまった

「わ、笑うんじゃねえよ!千佳のせいなんだからな!」

「ハハッ!ごめんごめん!」

「悪いと思ってねえだろ!」

雑に謝る水野に桐島は厳しく言い返す

「え?千佳~?」

早乙女はまたニヤニヤしながら桐島を見る

「千佳は普通だろうが!」

















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