特技
ついに文化祭当日
開場は9時からである
桐島達は開場15分前には全員着替え、教室でスタンバイを終えていた
教室は白中心のセットで囲まれており、出入り口に「メイド喫茶」と書いてある看板とゲートがある 観葉植物も各所に置いてあった
教室の前の廊下には写真も飾られていた
「キャバクラか、、、」
浜は写真を見ながら呟いた
「看板もゲートも観葉植物も分かるわよ、、、写真はおかしいでしょ!」
北脇は企画構成担当の桐島と外山に怒鳴りつける
「もう開場なんだしそう文句言わないでくれよ」
桐島は首をふりながら耳を塞いだ
ふと渡部はある事が気になった
「そういえば料理って誰が作るの?」
「あ、そうだよね 私も気になる」
徒仲は周りを見渡しながら訊ねる
「ああ、料理?俺が作るけど?」
桐島はぐっと腕をまくった
「、、、えぇーー!!!」
一同は同時に声をあげた
「ななな何言ってんのお前!?頭おかしくなったのか!?」
野波佳は桐島の頭や額をなでる
「桐島君!!落ち着いてメニューを見て!ほら、カルボナーラとかオムライスとかっ!」
渡部はメニュー表を桐島の目の前に持って行く
「ごめんね!もう写真がどうとか文句言わないから!」
北脇はひたすら桐島に頭を下げる
「みんな 誠哉君を抱きしめてあげよう」
徒仲は仏のような目で皆に告げる
「あーもーうるせえなぁ!!だったら軽く仕込んであるナポリタン食わしてやるからちょっと待ってろ!」
桐島はまとわりつく野波佳達をふりはらい、厨房に向かった
「ねえ 桐島君って料理作れるの?」
瞬は小声で外山に訊ねる
「さぁ、、、俺も食った事ねえっすけど、なんか自信あるみたいだし、それなりに出来るんじゃないですか?」
「ホントにぃ?」
安川は胡散臭そうに首を傾げる
(そういやあいつ、中学の時毎日、、、、、)
野波佳はある事を思い出していた
「ほらよ」
桐島はナポリタンを小さい小皿に分け、全員に配った
「見た目は普通だね、、、」
渡部はじろじろと色んな角度からナポリタンを見る
「味も普通だっての!ごちゃごちゃ言わず食えよ!」
桐島は渡部の横でせかす
「、、、じゃ、食べるね、、、」
皆なかなか食べない中、せかされた渡部から食べる事になった
「、、、、、」
フォークでひとまとまりにし、パクッと口に運んだ
「、、、おいしい」
渡部はそう小さく呟き、残りも一気に食べた
「すごいおいしい!お店で食べてるみたい!」
「店で出すんだから当たり前だろ!」
桐島はそう言いながら皆にも早く食べるように促す
「、、、、、」
他の皆も一口食べた
「、、、おいしい!」
皆口を揃えた
「えー!なんでなんで!?」
徒仲は不思議そうにしながらもまた食べた
「ホントにキリシマンが作ったの!?コックとか呼んでるんじゃない!?」
安川は厨房の方を覗き込む
「呼んでませんよ!今日手伝ってもらうのは浜さんと美嚢先生だけです!」
桐島がそう言うと美嚢が教室に入ってきた
「あー!みんなでつまみ食いしてー!ダメよ!」
美嚢は皆のもとに駆け寄る
「先生、これ桐島君が作ったみたいなんですけど、、、」
瞬は小皿の中のナポリタンを見せながら言う
「あ、これなら私も食べたわよ 桐島君ったらすっごい料理上手だからびっくりしたわ!」
「じゃホントにこれ誠哉が、、、?」
北脇はおそるおそる桐島を見る
「当たり前だ」
桐島はムスッとした表情でこたえる
「それよりみんな あと5分で開場よ」
美嚢は時計を見ながら皆に告げる
あと5分という言葉に皆少し緊張感をおぼえた
「よし、みんな持ち場つこうぜ」
桐島は小皿を持ち、厨房に戻った