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  作者: 外山
105/216

高校生活の思い出



「なんで名古屋なんか行くんだよ!遠いじゃねえか!」

九頭は桐島の机に手をつき、問い詰める

「しゃあねえだろ アパートがなくなるんだから、、、次に紹介されたのが名古屋のアパートなんだよ」

桐島は面倒そうに説明した

「そんな訳ねえだろ!もっと近いとこねえのかよ!」

「もう決まったんだよ どうしようもねえだろ」

「~~!」

九頭はテキトーにかわす桐島に納得が行かなかった


「、、、ケッ、気分悪ぃ話だな、、、」

そう悪態をついたのは外山だった

「、、、なんだよ」

桐島は不機嫌な様子の外山に訊ねる

「お前も結局、、、渡部と一緒じゃねえか」

外山は桐島に背を向けながら呟いた

「なんも言わねえで全部1人で決めやがってよ、、、俺らなんか相談するアテにもなんねえってか?」

「外山、、、」

そう言われると桐島は申し訳ない気分になった

「渡部もそうだろ、、、今、俺らと連絡しないのも、なんか困ってるからなのに、、、相談もしやがらねえ」

外山はイライラした口調で言った

「、、、、、」

外山が桐島を責めるように喋るのを、北脇は黙って頷いていた

「そんなに役に立たねえのかよ俺らは、、、お前と渡部にとって、俺らの存在ってそんなもんなのかよ、、、?」

「、、、、、」

桐島は思い詰めた表情で俯く

(確かに、、、外山の言う通りだ、、、せめて徒仲ぐらいには相談しても良かったかもしれ、、、、)


バンッ!


すると外山が桐島の机に勢いよく手をついた

その音に桐島はビクッと反応する

「、、、、、」

外山はゆっくりと桐島の顔を見た

「、、、、、」

桐島もおそるおそる顔を上げ、外山の顔を見た


「なんて、、、言うと思ったか?」


「、、、は?」


そう言った外山の顔は、目はつり上がり、鼻は引っ込み、口は大きく開き、非常にムカつく顔をしていた


「なにビックリした顔してんだよ~?俺がンナ事言う訳ねえだろ~?別にどうでもいいしお前なんてよ」

笑いながら喋る外山はいつも通りの外山だった

「な、、、え、、、?」

急に態度を変える外山に桐島は戸惑っていた

「俺だけじゃなくてみんな別にどうとも思ってねえよ な?」

外山は北脇に話を振った

「えっ?え、、、~っと、、、そうね~、、、」

北脇も桐島と同じく、外山の急変に驚いていた 北脇はどちらかと言うと芝居をしていた時の外山の言葉に共感していたのでどうしていいか分からなかった

「、、、う、うん 別になんとも思ってないわよ」

とりあえず外山に乗っかった

「ほらな?別に誰もなんも思ってねえんだからよ、、、好きなようにしろよ」

外山は照れくさそうに、歩き出しながら言った

「外山、、、」

「ま、、、夏休みは無理みたいだし冬休み、期待してるぜ?渡部とお前がこっちに帰ってくるのをよ」

外山はそう言い残し、教室を出た


「ん~~、、、絶対、渡部連れてこいよな~!」

九頭はそう言いながら外山を追いかけて行った


「、、、外山、ああは言ってるけど、、、最初の言葉だって多分本音よ?」

北脇も教室を立ち去ろうと、歩き出した

「、、、ああ」

北脇の言葉に桐島はゆっくり頷いた

「分かってるならいいけど、、、ま、確かに外山の言う通り、、、あんたの好きなようにするのが、一番いいと思うわよ」

北脇は最後にそう言い残し、教室を出た

「おう、、、」

桐島は自分自身に言い聞かせるように、そう呟いた


「、、、誠哉君、、、」

徒仲はまだ混乱した様子で、落ち着きがなかった

「、、、そう心配すんなよ 歩の事は任しとけ どうにかしてやるから」

桐島は徒仲を安心させるように、笑顔で言った

「、、、うん よろしくお願いします、、、」

徒仲は小さく頭を下げた

「、、、じゃあそろそろ帰ろうぜ」

野波佳はカバンを手に取り、歩き出した

「あ、焦栄、、、」

「お前は、この学校来るの最後なんだよな~」

桐島の言葉を遮り、野波佳は喋り出した

「途中でいなくなるなら、最初からこの学校入学すんなよな~、、、また3年間、一緒だと思ったのによ」

「、、、焦栄、、、」

桐島はもともと、野波佳の進路先に合わせてこの南涯高校に入学したのだ

「、、、ま、いいけどよ お前が決めた事だし、、、俺は応援するだけだ」

野波佳は教室の外に出て、2人を待った

「、、、わりぃな」

桐島は誰にも聞こえないぐらい小さい声で、そう言った

「にしても中学の時の知り合いが聞いたら、みんなビックリすんだろうな~、あの桐島誠哉が恋愛に没頭中だなんてよ」

野波佳は笑いながら先に歩いていった

「う、、、うるせえよバカ!」

桐島はそう言い返し、野波佳の後をついて言った




3人は靴を履き替え、外に出た

「この学校、お前と帰んのも今日が最後かよ」

野波佳は2、3歩前を歩き、振り返った

「、、、そうだな、、、」

桐島はチラッとだけ、野波佳と同じように校舎を振り返った

「、、、、、」

一足早く卒業するような、妙な気分だった

自然とこの1年半の記憶が、流れるように頭を巡った

体育祭、文化祭に始まり進級の為の勉強、掃除、学園祭やその会議、、、

この学校内の思い出だけではない

瞬の家やクリスマス、渡部に告白した噴水広場 大晦日に言ったお祭り気分なお寺 渡部に連れられ行った名古屋


その他にも、数多くの出来事が桐島の頭の中を埋め尽くした

「、、、、、」

(なんか、、、なんも無かったようで、、、めちゃくちゃ色々あったんだな、、、)

桐島はそう思うと、ふと笑みがこぼれた

(俺の学生は、、、中学の時がピークで、それが全部なんだって思ってたけど、、、全然そんな事ねえ)

桐島はもう一度、高校生活を思い出しながら、学校内を見渡した

(まだまだこれからなんだよな、、、俺の思い出は、、、)

そう思い直すと、うんざりするような気もしたが、それ以上に楽しみだった


「、、、誠哉君」

そんな桐島を、徒仲は心配そうに見ていた

「、、、ん、おう、悪いな なんかしんみりしちまって」

「ううん、、、」

徒仲は小さく首を振る

「、、、なんだよ 何を心配してんだよ」

元気がない様子の徒仲に桐島は元気よく声をかける

「、、、だって、、、」

「大丈夫だっつうの どうせ引っ越さなきゃなんねえんだからよ 遠い所の方が面白そうだろ?そのついでだよ 徒仲が余計な気ぃ遣う必要ねえぞ」

「あ、いやそうじゃなくて、、、」

「ん?」

「あの、、、」

徒仲は言いにくそうに口を開いた

「誠哉君、、、学校行けるの、、、?」

「、、、え?なにがだよ?」

「だって誠哉君、進級出来るかどうかってなるぐらいだし、、、この学校に入れたのだって奇跡だって焦栄言ってたし、、、」

徒仲はとても心配そうに呟いた

「え、、、」

桐島はバッと野波佳の方を見た

「、、、ん?」

野波佳は首を傾げた

「ん?じゃねえよ!てめえ俺の事バカだと思ってんな!?」

「ん~、、、まあ勉強は得意じゃねえじゃん?」

「~~!」

テキトーにごまかす野波佳に桐島は何も言い返せなかった

「ちっ!別に学校ぐらい大丈夫だっつうの!もう転入手続き終わってるしよ!」

桐島は自信満々な様子だった

「ちなみに学校名は?」

徒仲は一応訊ねてみた

「え、、、?え~っと、銘東高校つったかな、、、有名な学校なんだぞ!?」

「スポーツはね」

「う、、、」

徒仲のつっこみに桐島は黙り込んだ

「確か一般入試っていうか普通科っていうか、そっちはすごく簡単だって 名前書けば入れるって」

徒仲はずいずい責めた

「う、、、うるせえな!女子テニスですげえ有名な人がいたんだぞ!全国常連の!え~っと、、、名前は確か片瀬なんとかみたいな、、、」

「だからスポーツでしょ?」

「う、、、ま、まあとにかく、学校は大丈夫だよ!」

桐島はとりあえず声を荒げ、乗り切った

「俺は学校よりお前の人見知りが心配だけどな、、、」

野波佳は溜め息混じりに呟いた

「人見知りじゃねえっつうの!」

桐島は自分が人見知りである事を何故か一切認めなかった

「どう見ても人見知、、、ん?」

野波佳はふと、前方に目をやった

「、、、?」

桐島も野波佳に釣られ、前を見た

「、、、あ、、、」

桐島は驚いた表情で口を開けた

「、、、、、誠哉」

目の前に立ち、冷たい表情でそう呟いたのは鈴科だった

「愛ちゃん、、、どうしたの、、、?」

いつもと様子が違う鈴科に徒仲はたじろきながら訊ねる

「誠哉に話があるんです、、、」

鈴科は徒仲の方を見ず、桐島を睨みながら言った

「あ、、、そうなんだ、、、」

徒仲は鈴科の態度に少し怯えていた

「誠哉、、、さっきおばあちゃんから聞いてきたんだけど、、、」

「、、、そうか、、、」

桐島は落ち着いた様子で、ゆっくりそう呟いた















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