手紙―④
今回は「比較的」早くUP出来ましたw
文字変換ソフトを変えてみたんですが、慣れないと使いにくいですね。
登録した名詞が出過ぎる・・・・。
確かに科学――特に宇宙論や量子力学等は時として哲学的な側面を持つことは君も知ってのとおりだ。だからと言って哲学「だけ」で済ませたら、ソレはもう科学じゃない。やはり僕達の会話は科学の方へシフトして行った――ように思えた。だが実際は哲学でも科学でもない方向へと変わって行ったんだ。
「ダークマターやダークエネルギーはネーミングがよくなかったね。どうもSFやファンタジーと混同しておる輩が時折現れるようだ」
「ただ単に現在の技術では観測不可能だから『ダーク』と表現しているだけなのに、嘆かわしい事ですね・・・。」
「そうだね。観測不可能だからこそ空想の翼がより逞しくなってしまうのかも知れない」
「ソレが人間の救いであり、逆に救われない原因の一つなのかも知れません」
「ふむ。救いなら分かるが、救われないとは? 」
「例えば僕で言うと、宇宙の果てや時間の始まり、ダークマターやダークエネルギー、いやそこまで行かなくてもこの太陽系の惑星達の姿――分厚い大気に遮られた天王星や海王星の内部。数え上げればキリがないほどに僕がこの目で見たい、この手で触れてみたいと切望するモノがあります。どうしても知りたいと。でもソレ等は観測結果から推測するだけのものに留まります――現在の所は。だから僕はソレ等を学び想像するしかありません」
「ふむ」
「しかしどれだけ想像しようと――仮にソレが正解だったとしても、僕がソレに手を触れる事も実際にこの目で直接見る事も叶いません。まるで目の前にぶら下げられた人参を追いかけ続けるロバのような滑稽さすらあります。コレは救われないと言えるんじゃないでしょうか」
「なるほど。君はどうやら純粋過ぎるようだ」
「かも知れません。でもそれは悪い事でしょうか? 」
「いや、悪くはあるまい。決してね。もし仮に罪が有るとしたら、ソレはCrimeではなくsinの方だ。法的なモノではなく道徳的というか感情的な罪というか」
「なんとなくは・・・分かる気がします」
「十分だよ。だが確かに君の言う通り、天王星や海王星でさえ人類が行くには遠過ぎる。何年かかる事やら分からないし帰る事も考えれば絶望的だろう。コールドスリープもまともに『目覚める』事が出来るのか大いに疑問だしね」
そう、コールドスリープは細胞が受けるダメージが計り知れない――と言うよりもわかっていない。5年10年、或いは20年『眠っていた』場合のダメージはソレだけの期間を実際に眠らなければ分からないんだから。コレばっかりはやってみないと分からない。それに『眠っている』んだから突発的な事故が起こった場合に何も出来ないと言う致命的な欠陥がある。2交代で起きているんなら2倍の乗組員を乗せなきゃならない。当然コールドスリープ設備もだ。搭載重量が増える分だけ打ち上げブースターのパワーも必要になるし、とても現在の技術では実用的とは言えない方法論だ。
「そう君がソレ等を実感・体験するには肉体を伴っていては不可能だという事だ」
「事実上不可能である事は分かっています」
「いや肉体を『伴わなければ』可能だという事だ」
続く
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やっと科学的な話になったと思いきや、いきなりアヤシイ展開になってしまいました(汗
少し展開を急いだ感がありますね。