手紙―①
取りあえず書けた部分からアップして行こうと思います。
何しろ仕事が忙しいんで、いつ書ける事やら分かりませんしw
この手紙の内容を書き記す前に、どうしても先に記しておかなければならない事がある。まず、宛名書きに「黒田義彦様」と僕の名前が横書きで刻まれていた。そしてその後ろになんと表現すればイイのか――円を基準とした複雑な模様が刻まれていた。一見すると幾何学的な法則性があるように見えるが、良く見ると無秩序な印象を受ける。そんな奇妙な模様だ。
そして裏書きには「大田一樹」の名前と、やはりその後ろに奇妙な模様が刻まれていた。が、こちらは三角形を基本とした構造で、やはり幾何学的に見えて無秩序に思える、そんな模様だった。そしてコレ等が後に、恐怖を運んで来る役割を担うのだった。
それでは「手紙」の内容を書き記そう。僕が記憶している限り正確に。
――久しぶりだね。突然の事で驚かせてしまった事と思う。まずそれを謝りたい。本当にすまなかった。だが、僕が意味も無くこんな事をするワケが無いのは分かってもらえると信じている。まずはソレを説明しようと思う。
が、この手紙の裏表に刻まれていた紋章と言うか模様は見てもらえたかい?もしまだなら先に見ておいてくれ。見たかい?円を単位とした方が「星の扉」、三角を基準とした方が「星の閂」と呼ばれる魔法陣だ。コレで僕と君の間にチャンネルが開いた。いつでも君の夢の中に訪れる事が出来るようになったんだ。その証拠に今夜君の夢の中に現れてみせよう。
言っておくが僕は正気だ。以前の僕ならこんなオカルト的な事は絶対に言わなかったが、今は違う。そう、科学を超越する――いや、科学が未だ到達しえない領域に触れたんだ。ソレは一見非科学的に見えながら極めて科学的であり、また体系的にも実に論理的で秩序立っている。現代科学ではまだソレが発見されていないだけなんだ。いつの日か人類はソレを発見し理解するだろうと僕は確信している
。
さて、本題に入ろう。とは言え、何処から何処まで話したものか…そうそう、君は僕がそう言う度に「発端から初めて終わりが来たら止めればいいんだ」と言っていたね。ではそうしよう。
僕が宇宙に関して飽くなき情熱を燃やしていた事は良く知っているね。幼い頃に母に買ってもらった天文学の入門書がきっかけだった。その時は「表紙の写真が綺麗だったから」というだけの理由で選んだんだが、ソレが僕の心を捉えて離さなくなってしまったんだ。以前 君を星見に誘った時、「星ってこんなにあったのか!」と驚いていたのを覚えているかい?宇宙に関心を持たない人が、いかに夜空を見上げていないのかがその時良く分かったよ。あんなに美しいものを見ないのは、人生における大きな損失だ。そして僕は眺めるだけでは無く、自分達が住むこの宇宙を知り、理解したいと願い続けて来た。現在のところ人類に観測できているのは、この宇宙のほんの数%に過ぎないんだ。90%以上は謎のままだ。
ならば僕が少しでもその謎を解き明かそう。そう決意して進路もソレに沿う方向に決め、全て順調に進んでいた。
そんな時だ、あの謎の男――セプティマス・ビショップと名乗る人物が僕の前に現れたのは。
続く
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まずは本題に入る前の導入部分ってカンジでしょうか。
宇宙論に入るのは次かその次か・・・・。