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ゲームの世界(異世界)へ、モブ(子供キャラ)として転移してしまった  作者: 厘/りん


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57 アッシュが


 

  アッシュは俺を異世界から召喚した。異世界……というのは、俺がいた世界のことだよな。


 「召喚した人物を探していたら。まさかレンが、……だったなんて」

 アッシュは俺に向かって話しかけている。肝心な部分が聞こえなかった。


 「え? なんてい「ごめんね」」

 俺が聞き返そうとしたら、アッシュは話をさえぎって謝ってきた。ごめんね……?

 「どういう意味?」

 アッシュの様子からあまりいいことじゃないと察した。けれど聞いておかなければならない。そんな気がした。


 「……もう、遅いね。休まないと。戻ろうか」

 「アッシュ……」

 俺から目を逸らして速足で教会から出ていこうとした。急いで後を追ったけれど、もういなくなっていた。

  

 

  「えっ!? アッシュ?」

 入ってきた扉から外へ出たところまで姿は見えていた。でも俺が外へ出たらもういなくなっていた。

 「アッシュ……」

 周りを探してもアッシュはいなかった。――しばらく探してもアッシュは見つからなかった。仕方が無いので、一人で部屋へ戻ってきた。


  もうルビーも、エメラも俺のベッドで寝ていた。上掛け布団を持ってソファーへ横になった。

 「『ごめんね』、か……」

 アッシュから聞いた召喚のこと、聞き取れなかった言葉が、頭の中でグルグルとまわって整理できなかった。




  ――次の日。

 朝起きるとなぜか自分のベッドにいて、両脇にルビーとエメラがいた。

 「……あれ? 俺、ソファーで寝ていたよな?」

 ベッドに座ってボーっと二人を眺めると、まだ幸せそうに眠っている。


 「二人とも、起きろ」

 それぞれ手で肩を揺すり、起こした。

『う――ん……』『あ……、レン様。お早う御座います……』

 ルビーとエメラは眠いのか俺の太ももにすり寄ってきて焦った。

 「こらこら! 起きてくれ!」

 いくら俺が子供でも、可愛い(精霊だけど)女の子二人にすり寄られると困る!


 その時、部屋のドアがトントントン! と叩かれた。

 「はい?」

 つい返事をしてしまったが、ハッとこの状況に気が付いた。

 「レン様、レミです。お知らせしたいことがありますので、入ってもよろしいですか?」


 「えっ、あっ!」

 俺は二人を起こそうとした。

 「すみません! すぐにお知らせしたいことが……」

 ドアを開けて、レミさんとメイドさんが部屋へ入ってきた。


 ベッドに座った俺の両脇に、精霊の女の子が眠っている。それをみたレミさんとメイドさんは、一瞬動きがとまった。

 「あ、あの! これは……!」

 別にやましいことはしてないけれど、なぜか焦ってしまった。


 「また、レン様のベッドで一緒に眠ってしまったのですね! お二人とも可愛らしい……!」

 クスクス……とメイドさんが笑った。良かった……のか? メイドさんは笑って「お二人を起こして差し上げますね」と言って、精霊二人を優しく起こした。


 「急に失礼しました。今、よろしいですか?」

 レミさんが心なしか焦っているように見えた。俺はまだ着替えてなかったけれど、急いでいるようだったのでこのままでレミさんの話を聞こうと思った。

 「いいよ。どうしたの?」

 寝癖がついた髪の毛を手で少し直した。


 レミさんは、体の横につけていた自分の手をギュッと握ったのが見えた。

 「アッシュ様が、いないのです……!」

 「え?」


 「側近がお部屋に伺った時には、もう……いらっしゃらなかったのです」!

 アッシュが? 俺はベッドから降りてレミさんに近づいた。

 「誰にも声をかけずに出かけるなんて、初めてだそうです……」

戸惑いを見せるレミさん。俺は昨日の夜のアッシュの様子を思い出した。


 「昨日、アッシュの様子がおかしかったんだ。どこへ行ったか、心当たりのある人いる?」

 レミさんに聞くと左右に首を振った。

 

「……そうだ!」

 俺は自分のカバン(マジックバッグ)の置いてあるクローゼットへ走った。

 「レン様?」

 「居場所、わかるかも!」


 クローゼットを開けて、カバンの中へ手を入れた。

 「ええっと……、あった!」

 手探りでマジックバッグの中を漁った。取り出したのは、前に俺が作った地図付きの腕時計! あまりこの世界にないものは隠したくて、使ってなかった。腕時計を自分の腕につけた。俺自身の魔力で動く。

 

 「それは……腕時計ですよね? それでアッシュ様の居場所がわかるのですか?」

 レミさんが俺のところまで歩いてきて、顔を近づけた。

 「うん。ちょっと待っていて」

  

 本来は建物の場所など調べる機能が欲しくて作ったけれど、それよりも高性能だったことに気が付いた。

人物の名前や特徴、その他の情報を腕時計に入力すると魔力感知をして探し出せる。魔力を使うけれどGPS機能的のようなものらしい。

 これは……。この機能は、この世界にいきなり知られてはいけないと思った。


 「えっと……。アッシュの特徴を入力して……」

 ピピピピピ! 

 「これは……。見たことのない物ですね」

 レミさんが不思議そうに見ていた。俺は唇に人差し指をあてて「ないしょ……だよ」と言った。


 「……わかりました。いつもレン様には驚かせられます」

 ニコッと微笑んだ。

 「あっ! 居場所がわかったよ!」


 俺はアッシュの居場所を腕時計で見つけた! ここは……?


 「レミさん。ここの場所、地図でどこかわかる?」

 だいぶここから遠い場所にアッシュはいるようだ。俺はこの国の地図は詳しくないので、レミさんに腕時計の地図を見せてみた。


 腕時計をつけたままレミさんの顎の辺りへ近づけた。

 「青いしるしのところにアッシュは、いる。どこか教えて」

 レミさんは地図を見て考えていた。

 「腕時計に地図が……。すごいですね! えっとここは……」


 レミさんはハッ! としたように体を揺らした。

 「ここは……! ここに、七の塔がある場所です! まさか一人で!?」

 

 レミさんの教えてくれたアッシュのいる場所が、最後の七の塔だった。

 

 

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