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ゲームの世界(異世界)へ、モブ(子供キャラ)として転移してしまった  作者: 厘/りん


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54 つかの間の休息


 

 歪んだ景色が元に戻ったとき、またお城へ戻ってきた。


 「疲れた――!」

 途中休憩したとはいえ、さすがに疲れた。皆も疲れているように見える。お城の中の、移動用の部屋から出た俺達は話しながら歩いた。

 「とりあえず、それぞれ部屋に戻って休もうか。夜に集まって、エメラさんから七の塔の様子を聞いて作戦を立てよう」

 アッシュが皆に話しかけると、頷いた。


 「じゃ、夜に」

 「うん」

 アッシュは忙しいのか、皆と別れて行ってしまった。少し話たかったけれど仕方がない。


  「皆、どうする?」

 俺は他のメンバーへ聞いた。と言っても、レミさん以外は精霊だけど。

 「私は報告がありますし、自室へ戻らせていただきますわ」

 失礼します、と言ってレミさんも行ってしまった。お城で働く人……は、忙しいみたいだ。


『僕は久しぶりにお城へ来たので、姿を変えて中を見学してきます』

 アンバーはそう言って、姿を人間の青年の姿になった。

 「ええ!? 人間の姿になれるの!?」

 眼鏡をかけた、落ち着いた真面目そうなカッコイイ青年の姿。お城で働く人の制服まで着ていた。

『はい。では行ってきます』

 本当のお城の文官のような感じで、慣れたように歩いていった。アンバーはお城へ来るのが、今回が初めてじゃないようだった。

 

 「じゃあ俺は部屋に戻ろうかな」

 アッシュが用意してくれた客室へ戻ろうとした。

『ルビーもいく!』

 トトトト……と歩いてルビーは、俺の後についてきた。

『あ、私も御一緒させていただきますわ』

 ふわり、ふわりと浮いて、エメラは俺達についてきた。


『え――! エメラも来るの――?』

 ルビーは俺の腕にしがみついてエメラに言った。エメラはムッとしてルビーの反対側の俺の腕にしがみついた。

『命の恩人のお礼をしたいの! ルビーはアンバーと一緒に、お城の中でも見学していらっしゃったらどうかしら?』


 二人はお友達……だよな?

 「こら、こら! そんなケンカしないの! 皆で行こう」

 俺は二人を連れて部屋まで戻ってきた。


 ルビーが『ベー!』とエメラに向かって舌を出すと、『まあ! はしたないですわ!』と言って、つ――ん! と顔をそむけた。俺の左右の腕でルビーとエメラが、ケンカ……というより()()()()()をしていた。

 

 部屋へ戻って来ると、メイドさんが部屋を掃除していてくれた。

 「お帰りなさいませ。お風呂も沸いていますので、よかったらどうぞ」

 テーブルの上には軽食とお菓子が置いてあった。

 「お茶を淹れて来ますね」

 そう言い、テキパキとお茶を淹れて持ってきてくれた。さすがお城のメイドさんだ。


 「ではごゆっくりどうぞ」

 そう言って部屋を出ていった。ルビーとエメラは喜んで、ソファーに二人で座った。

 「俺はお風呂できれいにしてくるから、二人でゆっくりしていて。ケンカはだめだぞ」

『はい。お言葉に甘えますね』

『……ケンカなんてしてないもん! いってらっしゃい』

さっそく二人は軽食やお菓子を楽しんでいた。良かった。



 「ふああ――!」

 仕組みはどうなっているかわからないけれど、お風呂は気持ちいい――! 入浴施設のように広いお城のお風呂は、宿屋では味わえない。ありがとう、アッシュ!

 なんとなく……、アッシュはただ者じゃないと思っていた。引かれ合うように出会ったアッシュ。


 「このあと、どうなるのかな……」

 ゲームの世界……なのだけど、何のゲームだったか思い出せない。

 パシャ! パシャ! 

 俺は顔にお湯をかけた。お湯にはお花や柑橘系の果物やハーブが浮かんであっていい香りがしている。

 「ん――! いい香り……」

 ゆったりとお風呂を楽しんでいた。


『レン――! 体を洗ってあげるピ――!』

 バタン! といきなりルビーがお風呂の扉を開けた!

 「わあ!」

『私も洗って差し上げますわ!』

 エメラも乱入してきた! 入り口と湯船の場所は離れていたけど……。一応俺は男の子なのだけど!


 「入って来ては、ダメだ――――! 部屋でお菓子を食べてなさい!」

 女の子二人、お風呂の中へ入ろうとしていたのをとめた。

『『……は――い』』

 俺の大声に驚いたのか、二人は静かに扉を閉めて戻っていった。……精霊ってたしか俺よりは長く生きているはずなのに。

「まったく……」

 いくら子供の姿でも、な。


 きれいに全身を洗って部屋へ戻っていくと、ルビーとエメラはお茶とお菓子のお代わりをメイドさんに持ってきてもらっていた。

『美味しいですわ』

 エメラは上品にお茶を飲んでいた。ルビーは食べすぎじゃないかと思うくらい、口の周りにお菓子の欠片をつけていた。


 「ほらルビー。口の周りにお菓子がついているぞ」

 チョコがついていたので口の周りを布で拭いてあげた。

『えへへ。ありがとうピ』

 手にはマカロンを持っていた。だいぶお菓子を食べた形跡がある。


 「ルビー、あんまりお菓子を食べすぎるなよ?」

 俺が注意するとシュンと大人しくなった。

『いくら美味しくても、ほどほどになさいませんと』

 エメラは紅茶を飲みながらルビーへ言った。


『エメラだって、同じくらい食べたでしょう――!?』

 ルビーが言うとエメラは、んんっ! と咳払いした。どっちもどっちだった。


 「俺は疲れたから、夕方まで寝ようと思うけど……」

 体力を回復しておきたい。俺は二人に言った。

『どうぞ、ごゆっくりなさって下さいませ』

『お休みは必要ピ!』


 「んじゃ……、大人しくしていてね」

 俺が寝室に行ってベッドへダイブした。すぐに眠気が襲って眠りについた。


 

『……もう寝たのかな、レン』

『眠ったみたいですわね。お疲れなのよ』

 俺が寝ている間、ルビーとエメラは布団の中へ潜り込んで来たらしい。なんだか両脇が暖かくて、柔らかくいい香りがすると思った。

 

 

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