53 三、四の塔クリア!
皆のおかげで、緑の精霊を赤黒い枝やツルの拘束から助け出した。あとは緑の精霊の体から、赤黒い魔のモノを消さなければならない。
「できた!」
俺は魔力のツボを使って赤黒い魔のモノを消す、解毒薬を作った。お城の図書館で、立ち入り禁止の場所で読んだ本に記してあったのを覚えていて作った。
お姫様の病気にも有効だという、七つの塔で手に入る宝石。一つ一つ意味があるようだ。
『できた、ピ!?』
「うん。すぐに飲んでもらおう」
『ありがとう……ございます』
ポーションをビンごと渡して飲んでもらう。赤い色の解毒薬ポーション。味は甘酸っぱくした。緑の精霊はそれを受け取って、ごくごくごくと解毒薬を飲んだ。
『うっ……!』
飲み終わってポーションのビンを口から離した。その時に口を手で押さえた。
「大丈夫!?」
俺はなにか間違ったかと思って、緑の精霊の背中をさすった。緑の精霊は座っていたが口を抑えたまま顔を伏せた。
「大丈夫? 気分が悪くなったら吐き出して!」
皆も緑の精霊の元へ近づいた。
『……大丈夫です。うっ、……ああ!』
顔を上に向けて苦しむ緑の精霊。手足、首から顔まで赤黒い枝やツルが緑の精霊をむしばんでいた。それが、ピキピキと先端から剥がれ落ちていった。
『ああああ――!』
両手を空に上げると、あっという間にきれいになった。顔にあった赤黒い枝やツルも無くなっていった。
はぁはぁ……と緑の精霊は、息を荒くして自分の両手をジッと見た。
『なくなった……。あんなに私の顔や全身を覆っていたのに……! きれいに無くなっている!』
緑の精霊は手足、全身を調べて赤黒い枝やツルがきれいに無くなっているのを見ていた。
「びっくりした……。よかった、効いたみたいだね」
俺は緑の精霊の赤黒い枝やツルがきれいに無くなったのを見て安心した。
緑の精霊はスッと、俺の前に立ち上がった。
『ありがとう!』
「わっ!?」
お礼を言って俺にギュッと抱きついてきた。よほど嬉しかったのかしばらく離れなかった。
『私を助けてくれた恩人! あなたの名前は?』
抱きついたまま、顔だけ上げて俺の名前を聞いた。……近い。緑の瞳がきれいな可愛い女の子だった。
「お、俺? 俺は、レン!」
長いまつげが見えるほど顔が近くにあって、ドキドキしながら答えた。
『レン様ですね! どうか私に名前を付けてくださいませんか?』
俺の肩に両手を置いたままの近い距離でお願いしてきた。ルビーとまた違った清楚系の可愛いタイプだ。
「名前……。エメラルドみたいに瞳がきれいだから、エメラ とか、どうかな?」
俺はネーミングセンスがない。わかっている……。だめかな?
『まあ! 素敵な名前! エメラ ですね! レン様、よろしくお願いします!』
またギュッと俺に抱きついてきた。
皆は呆気に取られて見ていた。
『治ったのは良かった! ……けど。ちょっと! レンから離れてよ!』
ルビーが俺のすぐそばにやってきた。怒っているようだ。
『ああ! ルビー、助けてくれてありがとう! 皆さんも、ありがとう御座いました』
エメラは俺からやっと離れて、皆へきれいなお辞儀をした。とりあえず、助かって良かった。
『これは私からのお礼です。まずは……』
「わっ!」
また空中から防具が落ちてきた。慌てて俺は落とさないように受け取った。
『おめでとうございます! 勇者アッシュは、この塔のボスを見事倒した!』
テンプレセリフが出た! もう好きにしてくれ……。
『勇者の証、エメラルドが埋め込まれた 腕の防具を授けましょう!』
俺はアッシュに、腕の防具を授けた。
「ありがとう」
アッシュは腕の防具を受け取った。またどこかで音楽が流れているだろう……。
『そしてこれは皆さんへ。差し上げます』
皆の手のひらへエメラは、エメラルドの宝石を渡した。きれいな緑の宝石だ。
「ありがとう! エメラ!」
「ありがとう御座います」
「あれ?」
緑の塔の空気が変わった。澄んだ気持ちの良い風が吹いてきた。
「四の塔は皆のおかげで攻略できた。いったんお城へ帰ろうか」
アッシュは皆に話しかけた。
「だね!」
『お城のお菓子、美味しい』
ルビーはお腹が空いたのか、お腹の音が聞こえた。
「帰って美味しものを食べようか、ルビー」
『うん!』
『私も御一緒させてください』
「え」
緑の塔のエメラが一緒に行きたいと言ってきた。
『皆様は命の恩人。私がお役に立てたら……と。七の塔の情報を持っております』
「……その情報を、教えてもらえないかな?」
アッシュはエメラに言った。
『もちろんですわ!』
『僕もお城へ行きたいな』
アンバーも行きたいと言った。
「皆で行こうか!」
にぎやかになりそうだ。
「決まりですね。ではまた【水晶転送装置】を使って戻りますので、ぼくに掴まってください」
『はい!』
大人数になってしまったので狭くなった。エメラは俺の腕へしがみついた。
『え――! 私もレンに掴まる!』
ルビーもエメラの反対側の俺の腕を掴んできた。二人はお友達で仲が良いはず……だよな?
「静かに。騒がないで行きますよ」
レミさんが静かに二人を黙らせた。ルビー、サン、アンバー、エメラが加わって賑やかになりそうだ。
「行くよ!」
アッシュは【水晶転送装置】を高く掲げた。
「わ」
周りの景色が歪んでいく……。なかなかこの【水晶転送装置】の移動に慣れないけれど、やっと三、四の塔をクリアできた。
俺達はまたお城へ戻っていった。




