49 四の塔 二階
大木の根の部分が足となって俺達の所まで移動して、長く床まで伸びた枝やツルを鞭のようにして攻撃を仕掛けてきた。
「レン! ルビーさんと連携して攻撃して!」
アッシュの指示にルビーと顔を合わせた。
「あ! ルビー、俺の放つ弓矢へ炎の魔法を当てられる?」
『え? うん!』
俺が弓を構えて、ルビーは魔法を詠唱する。
『火の精霊。……ルビーが、解放する。いでよ! 小さき炎!』
俺が弓を放つと、それにルビーが炎の魔法を矢の先に当てた。放たれた矢の先に炎がまとわれた!
ドスッ! ドスッ! ドスッ!
「グウウウウウウ――!」
放った弓矢は、大木に当たって火に包まれた。燃え広がって大木の魔物は消えた。
「よくやった! レン、ルビーさん! まだいるからこの調子でお願い!」
「はいっ!」
『うん!』『キュキュ!』
橙の精霊サンは、帽子のようにルビーの頭に乗っていた。
「次、来ます!」
レミさんが次の敵が来るのを知らせてくれた。先にレミさんが剣を振り落として両断した。
「レミさん、すごい!」
俺が声をかけると、ニコッと笑ってくれた。
「レン! 危ない!」
ガキン!
アッシュが、俺に向かってきた鋭い枝を剣で払ってくれた。鋭い枝に突かれたらケガだけじゃ済まなそうだ。
「アッシュ、ありがとう!」
魔物を倒しながらフロアの奥に進んで行くと、階段が見えてきた。倒した大木の魔物からエメラルドの宝石が落ちたので拾って進んだ。
「あれ? こんな塔の中に……土?」
床に赤黒い土が積もっていた。こんな塔の二階に土があるなんて……と思っていたら、そこから魔物が出てきた!
ガバッ! と茶色い大きな魔物だった。
「うわ! 今度はモグラの魔物が出てきた! 気をつけて!」
アッシュとレミさんは俺達の先に進んでいて、俺とルビーは後からついていった。アッシュとレミさんのすぐ後ろに、モグラの魔物が出現した!
「二階のボスか!?」
『そのモグラの魔物は、黄色の三の塔の精霊を四の塔にさらってきた悪いやつ、だって! サンが教えてくれた!』
ルビーが精いっぱい大きな声で皆へ教えてくれた。
「なんだって!? サンとルビー、教えてくれてありがとう!」
俺はサンとルビーにお礼を言った。
『えへ!』『キュッ!』
二人、可愛い。
二階のフロアの天井に届くくらいの、大きなモグラの魔物だった。両手の爪が長く尖っていて、攻撃を食らわないように気をつけないと危ない。
「来るよ!」
大きな腕が左上から右下へ、振り下ろされた。アッシュとレミさんは後ろへジョンプして下がった。
「大振りでよけやすいけど、当たったら大変だ!」
俺はさらに下がって弓矢を構えた。
「うわっ!」「きゃあ!」
アッシュとレミさんが、今度は右上から振り下ろされた腕の腕にやられた。
「アッシュ! レミさん!」
二人は床に転がっていた。幸い爪ではなく、腕が二人に直撃したみたいだけど直ぐに起き上がれないようだった。
弓を構えるのをやめて、急いでカバンの中に手を入れた。
「ルビー! 魔法を連続して当てて、こっちへ来ないようにしてくれ!」
『わかった! えい!』
ルビーの手から、サッカーボールくらいの炎が連続して放たれた!
バン! バン! バン! バンッ!
『ギャギャギャ――!』
ルビーの魔法がモグラの魔物の胴体へ当たって、モグラの魔物は後退した。
「いいぞ、ルビー! アッシュ、レミさん!」
俺はカバンの中から、改良版 HP&ケガ回復カプセルを二人の頭上へ投げた!
カパッ! とHP&ケガ回復カプセルが半分に割れて、中から霧状のものが二人を包んだ。
「え、これは……」
倒れたままレミさんが、手のひらを上へ向けて霧状のHP&ケガ回復のポーションを体全体に浴びた。隣で横たわっていたアッシュも霧状のHP&ケガ回復のポーションを浴びて起き上がった。
「あり、がとう。レン!」
HP回復のポーションのカプセルは液状だったので、ケガの回復の薬も加えて霧状に出てくるように改良した。また、『この世界にない』なんていうなら特許でも取ってやる!
二人は立ち上がってモグラの魔物に向かっていった。
レミさんがモグラの魔物の腕に傷を負わせて怯んだ隙に、アッシュが首に剣で一突きしてモグラの魔物は床へ倒れた。
「倒した!?」
俺が近寄るとモグラの魔物は赤黒い煙になって消えていった。
「あれ? このフロアの壁に張り付いている、赤黒い枝やツルが動かなくなったみたい」
うじゃうじゃしていた赤黒い枝やツルが、モグラの魔物が倒されたら動かなくなった。
『よかったピ……』
ルビーが頭に乗っていたサンを下ろして、ぎゅっと抱きしめた。俺もモフモフしたい。
「皆、お疲れ様」
アッシュが俺とルビーのいるところに近寄ってきた。レミさんもこちらへやってきた。
「二階の魔物は倒せたようですね」
アッシュとレミさんは剣を下ろした。
「……まだ三階のボスがいるけど、一度休憩しようか」
アッシュは周りを見て、敵が残ってないのを確認したようだ。
「ん? あれ?」
ホッとして座ろうとしたら、俺の両手に何かの金属のものがどこからか落ちてきた。
『それは 勇者の足の防具、グリーブです』
後ろを振り向くと、黄色の服を着た精霊が羽をパタパタさせて浮かんでいた。




