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ゲームの世界(異世界)へ、モブ(子供キャラ)として転移してしまった  作者: 厘/りん


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47 王様とアッシュ


 

  お城は想像している以上に広かった。お城の隅々まで歩いてみたら疲れそうだ。

 だんだんお城を守っている騎士さん達が増えてきたなと思ったら、立派な扉の前に来た。扉の左右に騎士さんが立っていてレミさんと一言、二言話すと両開きの扉を厳かに開けた。


 レミさんが一歩、足を運ぶと「王の御前です。私のまねをしてくださいね」と言って進んだ。いよいよ王様に会うのか……! 緊張しすぎて、うまく歩いているのか心配になった。


 「レミナーシャ様だわ。素敵……!」

 「おお! 後ろにいるお子さんも賢そうですな」

 レミさんはわかるけど、賢そうって俺のことを言っている? 貴族と臣下達がずらりと並んでいた。


 ここは、謁見の間……というところだろう。足元は赤い絨毯が玉座のほうまで敷かれていた。


 レミさんが(ひざまつ)いたので、俺も(なら)った。

 『レン――!』

 その時にルビーが走って来て、俺の隣へ座った。腕の中に橙の精霊を抱っこしていた。

 「ルビー、王様の前だよ。お行儀良くしないと」

 

 ルビーに注意すると、玉座の方から威厳のある声がかけられた。

 「よい、よい。頭をあげなさい」

 王様が叱りもせずに、声をかけてくれた。顔を上げると、漫画やゲームに登場するひげの立派な王様そのものだった。隣に座っているのは王妃様かな? 優しそうな方だ。


 「レン、待たせたね」

 後ろから声をかけられて振り向いた。キャ――! という黄色い声が女性から聞こえた。

 「アッシュ」

 普段着でも整った容姿・美形なのに、白い正装にマントをつけた王子様のようなかっこいいアッシュが立っていた。


 「わあ……! アッシュ、かっこいい!」

 つい声に出てしまったけれど周りの人は、うん、うん、と頷いていた。怒られなかったので良かった。


 「勇者 アッシュ、こちらへ」

 「はい」

 アッシュは王様に呼ばれて俺から離れていった。王様の座っている玉座がある高い場所へ上っていった。

 「え?」


  王の隣に立ち、正面へ振り返った。

 「勇者でもあり、この国の第二王子でもあるアッシュ」

 王様は、アッシュを勇者・この国の第二王子……と言った。……第二王子? この国の王子様?


 俺は呆然としてアッシュを見ていた。ぽかんと口を開けたままだったかもしれない。


 「この国を守るため仲間と共に、魔のモノを倒す旅へ出ることになった!」

 わ――! パチパチパチパチ!


 「騎士レミナーシャ、赤の精霊ルビーと橙の精霊サン、そして【薬草 配合師(やくそう はいごうし)】と【魔道具士(まどうぐし)】の()()職、レン!」

 「はっ!」

『はあい!』『キュ!』

 「はい!」


 俺は()()職……と紹介された。レアなんだ。


 『勇者アッシュと共に、この国を魔のモノから守ってくれないか? レン殿』

 ずらっと並んだ貴族や臣下達が一斉に、俺達に頭を下げた。皆、レミさんまで俺の方を見ていた。


 『はい。勇者アッシュの、力になりたいと思います!』

 スッと、テンプレセリフが出てきた。もしかしてここは重要な場面じゃないか? メインの音楽が聞こえている気がする……。

わああああああ――――! 紙吹雪や花びらが舞って、人々は俺達に期待の目を向けていた。

 勇者アッシュは俺に微笑んで頷いた。

 引き受けたからには俺も頑張らないと! と気分が盛り上がっていた。


  「緊急事態につき、失礼します! 大変で御座います! 七つの塔のうち、三つの塔が魔物に襲撃されて倒壊状態!」

 扉を乱暴に開けて、傷ついた騎士が入ってきたので皆がざわついた。

 「なんだと!」

 王様が緊急事態の知らせを聞いて立ちあがった。アッシュはすばやく傷ついた騎士に駆け寄った。


『一の塔と二の塔は、無事!?』『キュ――――!』

 ルビーは傷ついた騎士に聞いた。俺も騎士へ急いで近寄った。

 

 「一の塔と二の塔は無事……、です! 三、五、六の塔が襲われました」

 傷ついた騎士は膝をついて報告をしてくれた。王様は医師を呼ぶように命令をしていた。

 

 「四の塔と、七の塔に、他の塔の精霊たちを閉じ込めました」

 「なんだって……!?」

 俺は持っていた回復薬を飲ませてあげた。傷ついた騎士は「ありがとう」と言って回復薬を飲んだ。急いで知らせに来たのだろう。

 「あとはお医者さんに診てもらってください」

 回復薬では治らないケガがあるかもしれないので伝えると、傷ついた騎士は「はい」と返事をした。

 

『キュ……』

『他の塔の精霊のお友達が……』

 ルビーは橙の精霊サンをぎゅっと抱きしめた。


 「陛下。すぐに塔へ向かいます」

 アッシュは立ち上がって王様に告げた。俺も他の塔が心配だ。

 「俺も行きます!」

  アッシュの顔を見て頷いた。ルビーの肩を励ますようにポンポンと軽く叩いた。


 「おお! 言ってくれるか!」

 「「はい!」」

アッシュと一緒に返事をした。


 「すぐに着替えて出発しよう!」

 「わかりました!」

 レミさんが王にお辞儀をして、ルビーと手を繋いで謁見の間から出ていった。俺も着替えなきゃいけない。

傷ついた騎士は医師がやってきて別室へ運ばれていった。


 お城の中が慌ただしくなった。塔が襲撃されたとなると、緊急事態。いつお城も狙われるかわからない。俺は急いで準備をした。

 

「準備はいいかい?」

 アッシュが【水晶転送装置】を取り出して俺達に聞いた。準備を整えた俺達はアッシュの服を掴んで答えた。

 

 「いいよ!」

 「大丈夫です。お願いします!」

『うん!』『キュ――!』


 また、アッシュが【水晶転送装置】を掲げた。お城の中の部屋が歪んで見えて、俺達はお城から移動した。

 

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