38 レンは仲間に加わった! 【HP回復カプセル】を作った!
「さっそくだけどパーティーを組むよ。ぼくがリーダーでいいかな?」
アッシュは勇者なのに控えめだ。
「もちろん!」
「はい」
「よろしくお願いします」
深々とアッシュは頭を下げた。俺達も同じく頭を下げる。
「よろしくお願いします!」
「よろしくお願いいたします」
「ぼくとレミさんが攻撃して、レンが後方で補助してもらう」
三人で頷く。 欲を言えば、攻撃魔法と回復魔法の使えるひとがいればいいだろうけど。回復魔法か……。
「そうだ! ちょっとアイデアを思いついたので、ここでやってみてもいいかな!」
「え、ええ。どうぞ?」
急にアイデアを思いついた! 二人は驚いていたけれど急いでやってみたくなった。
俺はフロアの床に座り込んで、マジックバッグから道具を取りだした。
「ええっ、と……」
薬草や花に木のみ、【魔力のツボ】に【魔道具】を入れてみる。
「イメージが大切……。あんな感じで、形は……よし!」
俺は【魔力のツボ】のフタを閉めた! そして形を明確に思い浮かべて……念じる!
ヒカッ! ボンッ!
「うわっ!」
一瞬光って、ポン! と【魔力のツボ】から煙が出た。……できたかな?
【ステータス画面】を見ると【HP回復カプセル】と書いてあった。無事にできたようだ!
フタを開けて取り出すと、イメージ通りの形にはできたようだ。手に持って、顔より高い位置にあげて確認した。
「それはなんだい?」
アッシュは俺に近づいて、出来上がったものを珍しそうに見ていた。
「これは回復ポーションを入れた、カプセルだよ! 投げると割れて、対象者のHP回復をする!」
俺は【HP回復カプセル】を二人に見せてみた。
「へえ――! 初めて見た。レンはすごいね!」
アッシュは俺の作った、【HP回復カプセル】を興味津々で見ていた。レミさんはじっくりと見て「すごいです!」と言った。
「どう使うの?」
アッシュに渡してみるとさっそく使い方を聞いてきた。開けようとしていたけど、開かないようになっている。
「対象者の名前を言って、この【HP回復カプセル】を投げるとその人の真上まで届いて、割れて中身が出ます! そうすると対象者はHP回復をします」
二人はポカンとして俺の話を聞いていた。なにか変なこと言ったかな……?
「【薬草 配合師】と【魔道具士】の技を掛け合わせて、できたものです!」
そう! こういうの、やってみたかった!!
「レン……。君は、ちょっと? いやだいぶ、すごいよ」
アッシュは苦笑いのような顔をして言った。はい、と言って【HP回復カプセル】を返してくれた。
「いつもながら、レン様には驚きますわ」
まだ慣れませんけどね。とレミさんは言った。
つい、楽しくてアイデアが思いつくまま作ってしまった。ちょっと転移前の世界にあったモノのまねだけど。
「何個か作ってみる」
そう言って俺は作れるだけ【HP回復カプセル】を作った。
「レミさん。レンはいつもあんな感じ?」
「ええ、そうですね」
アッシュはレミさんと何か話していた。俺は【HP回復カプセル】を作るのに、夢中になっていた。
「できた!」
いくつ作っても無駄にならないので、たくさん作った。これでボス戦は大丈夫……と思う。俺は道具をしまって、アッシュとレミさんに話しかけようとした。
「アッシュ、レミさん! お待たせしました!」
「モフモフ……、可愛い」
レミさんはうっとりと、橙の精霊を手あたり次第に撫でていた。
「もふもふ、もふもふ」
アッシュは床に転がって橙の精霊に、埋もれそうになっていた。
「だめ――!」
俺はレミさんとアッシュに、苦いお茶を飲ませた!
「危ない。モフモフ廃人になる所だった。もう行きましょうか……うぷ」
レミさんはよほど、正気になるお茶が苦かったのかお水を飲んだ後、ハンカチで口を押えている。
「行きましょう……!」
アッシュはよろよろと立ち上がって歩いた。俺の苦いお茶でHPが下がってないといいけれど……。
『ピピッ!』
床に転がっていた、橙の精霊のリーダーのお腹からルビーがトッ! トッ! と出てきた。
「ルビー! よく眠れたかい?」
かがんで人差し指を床へ差し出すと、ルビーが乗ってきた。肩近く運んであげると肩に乗った。
『よく眠れたピ!』
俺が指で頭を撫でてあげると、気持ち良さそうにしていた。
「小鳥が話している……」
アッシュが、言葉を話している小鳥を見て驚いたようだ。一の塔では入れ替わりで会えなかったからだな。
『話は全部聞いていたピッ!』
ルビーはアッシュに向かって話しかけた。寝ていたのではなかったのか。
『私が力になってあげようピ!』
そう言ってルビーは俺の肩から床に下りた。
「ルビー?」
力になるってどういうことだろう……? 少し歩いて立ちとまった。
「あ、姿が……」
レミさんがハンカチをしまって呟いた。ルビーは小鳥の姿から人間の女の子の姿に変身した。
「女の子に変わった!?」
アッシュは小鳥から女の子の変わったルビーを見て後ろへ一歩下がった。
ルビーは赤い目、赤い髪の女の子になって俺達に微笑んだ。




