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ゲームの世界(異世界)へ、モブ(子供キャラ)として転移してしまった  作者: 厘/りん


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37/60

37 今回は無事? アッシュ再び


 

  「精霊の仲間は上に行ったし、この橙の精霊のお腹の毛の中にルビーが入っているし。このまま抱いて上に行くか……」

 「そうですね……」


 大量のモフモフの中に橙の精霊(リーダー)が混ざったら見つけるのに苦労する。このまま捕まえておくのがいい。モフモフだし。

 俺とレミさんは二階を目指した。

 「魔物が出てこないと、楽だね」

 いきなり襲って来ることもないし、良かった。俺は橙の精霊のリーダーをモフモフしながらゆっくりと階段を上がった。


  「助けてくれ――」


   「あら?」

  「ん? この声は……、アッシュ!?」

 急いで二階の階段を上がった。アッシュの声が聞こえた! またアッシュが命の危機でないといいけど!


 「アッシュ!?」

 俺とレミさんは二階まで階段を駆け上がった。

 「ええええ――!?」

 

 二階のフロアは、橙の精霊で超大量に埋め尽くされていた。そこの中にアッシュは埋もれている!?

 「リーダー、あの子達を壁際に並べて! 早く! アッシュが……、アッシュが、モフモフ廃人になってしまう!」


 「はい? なんでしようか、それ……」

 レミさんは一瞬考えてから、首をかしげた。

『キュウ~?』


 「あ、ああ。今の、聞かなかったことにしてくれ!」

 あまりの多くのモフモフに囲まれて、そこから抜け出せなくてずっとモフモフの虜になる……それがモフモフ廃人。モフモフを触っていると、何もしたくなる恐ろしい罠。猫カフェや、最近人気だった犬のサモエドのお店、ウサギカフェなどがあげられる。


 「リーダー、精霊たちを一か所に集めてくれ! お願いだ!」

『キュキュキュ!』


 橙の精霊のリーダーは俺の腕から抜け出して、床へ降りた。ふわふわと前へ移動すると、とまった。

『キュ――――――!』


  「わ!」

 「大きな鳴き声!」


 二階のフロアにリーダーの鳴き声が響いた。するとまた精霊たちはリーダーの声に従って移動した。

 「すごい……」

『キュ!』

 超大量の丸い精霊たちは、端っこへ移動して一か所へまとまった。高い天井まで積みあがったモフモフの精霊たちは、何だか楽しそうだった。


 「アッシュ!」

 フロアの真ん中へうつぶせで倒れていた。アッシュはぐったりとしていたが、ケガはしてないようだった。

 「モフモフ……。モフモフ……」

 アッシュはモフモフとブツブツ言っている! 


 「アッシュ! これ飲んで!」

 こういうときがあるかもしれないと、俺はアッシュに苦いお茶(正気になるお茶)を飲ませた!

 「……もふ」

 こくこくこくこく……。アッシュは超苦いお茶を飲んだ。


 「ああああ――! 苦い――――!」

 ゴホゴホゴホゴホ……! アッシュはむせてせき込んだ。俺は次にお水を飲ませた。

 「今度はお水だよ。飲んで」

 「ありがとう!」

 アッシュは俺から水の入ったコップを奪うように持って、水を飲んだ。


 「ああああ……、苦かった……」

 「もう少し、苦みを抑えたほうがいいかな……」と呟くとアッシュに涙目で見られた。


 アッシュの全体に、橙の精霊の毛がいっぱいついて毛だらけだ。俺はそれを払ってやった。

 「ありがとう……」

 ちょっとぐったりしていた。

 「まさかまた、会えると思わなかった! ケガはしてない?」

 「うん」


 よく見ると防具が鉄の鎧になっていた。

 「防具が変わっているね。レベルが上がったんだ」

 アッシュの防具を見て言った。でもアッシュは不思議な顔をしていた。


 「どうしてレベルが上がったと、わかったの?」

 俺はしまった! と思った。ゲームではレベルが上がれば、防具の性能が良いのへ身につけられる。でもここは俺だけがゲームの世界へ来たモブだ。あまり余計な事を言ってはダメな気がする。

 「な、なんとなく?」

 あはははは……と笑ってごまかした。


  「お怪我がなくて、よかったですわ」

 レミさんがアッシュに声をかけた。アッシュは立ち上がって礼をした。

 「レンとあなたのおかげで、また助かりました。ありがとう御座います」

 その礼は、気品を感じた。勇者として成長したのだろうか。何となくオーラが違ってきているような気がする。


 「三階へ上る階段を探していたら、急に上からこの子達が現れてきて」

 アッシュは三階へ続く階段に視線を向けた。

 「それから一階に下りていって、今度はこのフロアをいっぱいにして巻き込まれました」

 それは俺達のせいで移動したかも……。


  「この上にボスがいる」


 「!」

 「ボス……」

 俺とレミさんはアッシュの一言で一気に緊張した。


 「そこで提案なのだけど……」

 アッシュは俺の両肩に手を置いた。真剣な顔をして俺に何かを言おうとしていた。

 「な、何?」

 美形の顔は近くで見ると迫力ある。まつげ長い。


 「レミさん……だったかな。君にもお願いがある」

 今度はレミさんの方へ顔だけ向けて言った。

 「はい。できることなら」


 「一緒に、戦ってくれないか?」

 真っ直ぐに俺の目を見て言った。初めてであった頃と変わらない真剣な目。そして優しい性格のアッシュ。勇者だったけれど変わらず子供の俺と接してくれる。アッシュの瞳に、吸い込まれそうになりながら俺は頷いた。


 『よろこんで!』

 俺はここでも、テンプレセリフを言ってしまった。アッシュは嬉しかったのか、瞳が潤んでいた。

 


 

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