表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームの世界(異世界)へ、モブ(子供キャラ)として転移してしまった  作者: 厘/りん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/60

36 二の塔 モフモフまみれ?


 

  カツン……!

 つま先が二の塔内部の床に着くと、足音が響いた。硬い床の感触が足の裏から伝わった。

 「この二の塔も、一階は広いフロアになっているね」

 「そのようですね……」

 一の塔と同じく、一階は広いフロアになっていて何もなかった。壁際に階段が二階へと続いていて俺達は上って行こうとした。

 

『ムキュ――!』

 「へ?」


  奇妙な鳴き声が聞こえてきて、階段の上の方から橙色(だいだいいろ)の何かが転がってきた。

 ポヨン! ポヨン! ビタン! 


  それは床に落ちて動かなくなった。

 「え、大丈夫?」

 橙色の丸い正体不明のものは、モソモソと動いた。


『キュ……?』

 「可愛い!」

 近くにいってみると、橙色の丸いものは顔を上げてこちらを見た。小さな丸い目はウルウルと涙をためていた。

 「痛かったか――? よしよし」

 ぶつけて痛そうにしていたので、頭だと思う場所をそっと撫でてあげた。


『キュ……ン』

 触ってみると毛がフワフワしていて気持が良かった。目の他は隠れていて見えなかったけれど、ウサギのようなしっぽはあった。

「これは……。滅多に会えない、この塔にいる『(とう)の精霊』だと思われます! 会えたら幸せになるという、塔にまつわる伝説です!」

 レミさんは指を胸の前で組んで感激していた。前の世界で「見たら幸福をもたらす」と言われているケサランパサラン的なものか?

それにしても良い手触りだ! もふもふだ!


『ピピッ!』

 急にバタバタと羽を動かして、ポケットの中からルビーが飛び出してきた。

 「ルビー!?」

 橙色の精霊に、食べられるかも!? と思って俺は、撫でるのをやめて身構えた。ルビーは橙の精霊に向かっていった。


『キュ――――!』

『ピッ! ピッ――!』

 ぼふっ! とルビーは橙の精霊の体の中に入っていった! もしかして口の中に……!?


 「わ――! ルビーが橙の精霊に食べられた!」

 俺は橙の精霊のモフモフの毛をかき分けて、ルビーを探した。

 「ルビー様!」

 レミさんも駆け寄って、一緒にルビーを探した。


 「いた――!」

 「ルビー様!?」

 サッカーボールくらいの大きさの橙の精霊の毛の中で、スヤスヤと寝ていた……。


『キュ?』

 首がどこだか見分けがつかないが、橙の精霊は首をかしげた。ルビーを食べたわけじゃなかったようだ。


 「もしかして、お互いお知り合いだったのではないでしょうか……?」

 レミさんは頬に手をあてて、考えてから俺に言った。

 「そうみたいだな」

 ルビーは警戒を全くせずに、橙の精霊のフワフワの毛の中で眠っていた。

 「そのままで眠っていて、ルビー」

 俺はめくっていたフワフワな毛を、苦しくないようにかぶせた。


 「あら? この橙の精霊。頭の一部に橙色の毛があるわ」

 レミさんに言われて橙の精霊の頭を見てみると、つかめるくらいの毛の束がピョン! と立っていてそれが橙色になっていた。

 「本当だ」


 レミさんと橙の精霊を見ていたら、階段からざわざわと気配を感じた。

 「敵でしょうか?」

 俺達は目を合わせて警戒した。


『キュ!』

『キュ、キュ!』

 『キュ! キュ、キュ!』


 「キュって……、他に仲間がいるのか?」

 階段の上から、橙の精霊らしい鳴き声が聞こえてきた。それはだんだんと近づいてきて階段から姿が見えた。


 『キュ!』

『キュ、キュ!』『キュ! キュ、キュ!』

 『キュ!』

『キュ、キュ!』

 『キュ! キュ、キュ!』


 「え……たくさん、いる?」

 「一体、二体だけじゃないですね!?」

 

  『キュ!』

『キュ、キュ!』『キュ! キュ、キュ!』

 『キュ!』

『キュ、キュ!』

 『キュ! キュ、キュ!』

  『キュ!』

『キュ、キュ!』『キュ! キュ、キュ!』

 『キュ!』

『キュ、キュ!』

 『キュ! キュ、キュ!』


 「うわ――――!」

 「キャ――!」

 階段から大量に、橙の精霊が下りてきた! 俺達は大量の橙の精霊に埋もれた。


  『キュ!』

『キュ、キュ!』『キュ! キュ、キュ!』

 『キュ!』

『キュ、キュ!』

 『キュ! キュ、キュ!』

  『キュ!』

『キュ、キュ!』『キュ! キュ、キュ!』

 『キュ!』

『キュ、キュ!』

 

 『キュ! キュ、キュ――――!』


 一体の橙の精霊が大きく鳴くと、大量の橙の精霊たちは動きをとめた。俺とレミさんは顔だけ出して、あとは体が全部橙の精霊に埋もれた。ふわふわの橙の精霊に囲まれて、極上のお布団のようだった。


 「顔まで埋もれたら、息ができなくて危なかったですね……」

 レミさんは顔を必死に上げて俺に言った。

 「だね……」


 圧迫感はないけど、顔の下あたりまで橙の精霊に埋もれた。これでは下が見えないので橙の精霊を踏んでしまいそうだった。

『キュ――!』

 大量の橙の精霊のうちの一体、頭に橙色の毛の子が大きく鳴いた。


 すると大量の橙の精霊が俺達からサ――ッ、と引いて、もと来た階段を上っていなくなってしまった。残ったのはルビーが体の中にいる橙の精霊、頭に橙色の毛がある子だけだった。潰されないように俺が抱きあげていた。


 「お前、橙の精霊のリーダーなのか?」

 俺の腕の中にいる『頭に橙色の毛がある子』が鳴いたら、大量の橙の精霊がいなくなった。

『キュッ!』

 何だか腕の中にいる『頭に橙色の毛がある子』が凛々しく見えた。

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ