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ゲームの世界(異世界)へ、モブ(子供キャラ)として転移してしまった  作者: 厘/りん


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23/60

23 再び。あれ? お前は森でケガをしていた……


 『ワタシの背へ乗ってください』


 「え? 君は……」

 小さかった小鳥は、人が二人くらい乗れる大きさになった。何が何だかわからなくなった。


『申し遅れました! ワタシはこの塔を守っていた精霊デス! 「ルビー」と呼んでください!』

 鳥なのに羽を広げてお辞儀をした。 「ルビー」は宝石の名前だ。この塔の魔物を倒すとルビーが拾えた。

 『ルビーっていう名前なんだ! よろしく!』

 また勝手にテンプレセリフが……。ルビーの羽に俺は触れて、握手した。


『レン様は、ルビーの宝石の()()と契約できましたね! おめでとうございます!』

 レミさんは、パチパチパチパチ! と拍手をした。

 「精霊と契約!?」

 なんでモブの俺が、精霊と契約するの!? おかしいだろう!?


 「普通、勇者と精霊が契約するんじゃないの!?」

 俺は、レミさんと精霊のルビーに聞いた。勇者アッシュが宝剣を受け取って、精霊と契約……という流れじゃないのか? 俺はだんだん心配になってきた。


 レミさんと精霊ルビーはお互い顔を見合わせて、首をかしげた。

 「ワタシは勇者に、宝剣を渡す役目でしたので大丈夫デス、たぶん」

 最後に、()()()って言った。本当に大丈夫かな? 


 『さあ! 早く、ワタシの背に乗ってください!』

 「う、うん」

 乗ってどうするのだろう? とにかく急かされたからレミさんとアイコンタクトをして(ルビー)の背に乗った。


 「うわ……。ふわふわだ――!」

 ルビーの背は手触りが良く、ふわふわだった。羽毛――! 俺は羽毛を、スリスリと触った。

 『紐がありますので、持ってくださいね』

 ルビーの首に、ぐるりと巻いてある紐があったので何も考えず、両手で掴んだ。


『行きますよ、レン様』

 「え」

 精霊ルビーは鳥の姿で、俺達を乗せてフロアをトッ、トッ、トッ! と中央へ歩いた。振動は多少あるが激しい揺れではなかったので安心した。


 どこかの抜け道でもあって、このまま背に乗って歩いて行くのかなと思った。

『しっかりと、お掴まりください』

 止まったかと思ったら、急にルビーは走り出した。


  タタタタタタタタ……!

 「えっ? えっ?」

 「これは!?」


 ルビーはフロアの窓をめがけて、走っていることに気が付いた。

 「まさかっ!?」

 全速力で走って勢いをつけて、窓の枠へ向かっている!

 

 「レミさん、俺に掴まって!」

 「はいっ……!」


 バッ……!!!! ルビーは窓枠を踏み台にして塔の()へ飛び出した!

 「きゃ、ああああ――!」

 「うわっ!」

 レミさんが落ちないように、俺の胴に腕をまわして力を込めた! 紐を握りしめて俺は、塔の高さに恐怖を感じて目をつむった。


 飛び出してから、体が斜めになってそれから羽ばたきの振動が体に伝わってきた。そっとまぶたを開けると、この世界の緑の地形が眼下に見えた。体を起こして、景色を眺めてみた。

 「わあ……!」


 キラキラと光っているのは、湖だろうか? 緑が多くて、遠くに町が見えた。

「風が、気持ちいい――――!」

 塔での緊張感が抜けて、開放感を楽しんだ。レミさんがまだ俺の胴体にしがみついているので、後ろを向いて話しかけてみた。

 「レミさん、レミさん。もう大丈夫ですよ」

 レミさんは、がっちりと俺にしがみついていた。見ていたら、そっと顔を上げた。


 「もう、平気ですか……?」

 おそるおそる俺に話しかけた。プルプルと震えていた。

 「もう大丈夫みたいです」

 多少揺れるけど、安定しているし、規則正しくバサ……ッ、バサ……ッ、と羽を動かしているから大丈夫だろう。


 「良かった……。でもかなりの高さね……」

 レミさんは、そっと下を見て泣きそうな顔で言った。高い所が苦手じゃなくても怖いだろう。レミさんは俺の背中にまだ、しがみついていた。


 しばらく 精霊ルビーは羽ばたいて移動をしていた。俺は、空と地上の景色を楽しんでいた。

 「あれ? どこに行くのだろう?」

 だいぶ赤の塔から離れたけれど、目的地はどこだろう。え、目的地を言わないと止まらないタクシー的なものじゃないよね?


  もそり……と、レミさんが動いて話しかけてきた。まだ怖いらしい。

 「たぶん……次の塔へ、向かっていると思います……」

 元気がない。降りたら休んでもらおう。

 「その前に、どこかの宿屋へ向かうはず……」

 レミさんは俺に伝えると、また顔を俺の背中へ伏せた。


 そろそろ日が暮れるはず。今日は赤の塔を()()()()が攻略したし、宿屋で休みたい。


 「ねえ、ル『そろそろ地上へ降ります。掴まってくだサイ!』」

 ルビーへ話しかけようとしたら、さえぎられた。……地上へ降ります?

 「は……?」

 

  ガクン! と下へ落ちる感覚がして地上へ急降下した。

 垂直まではいかないけれど、ルビーは羽を広げて急降下をしている。背に乗っている俺は紐しか掴まる所がないし、レミさんは俺にしがみつくしかなかった。

 「いやああああ――っ!」

 「わああああ――!」

 絶叫マシンより超絶、恐怖だった。



  「や、やっと降りられた……」

 俺が先に降りてレミさんを下ろしてあげた。見ると涙目だった。そのあと地面に両手と膝をついてプルプルしている。

 ルビーの着地は、なめらかで衝撃がなかったのには驚いた。


 「やっと宿屋に着いた」


 ルビーは姿を変えて小鳥になった。

 『動物は宿屋に泊まれないので、ポケットに隠れています! 潰さないでくださいね……』

 そう言って俺のポケットへ隠れた。


 レミさんの手を取って起こしてあげて、宿屋へ入った。

 

 

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