18 一の塔の前の森で
「レミさん! 左から小型の狼の魔物が来ています!」
「はい!」
レミさんは左から襲ってきた、来た小型の狼の魔物を倒した。俺は右前方にいた小型の狼の魔物を弓矢で撃った。倒した小型の狼の魔物は赤黒い石を残して消えた。
ふーっと息を深く吐いて、弓を構えるのをやめた。
「レミさん、ケガはないですか?」
「少し、かすり傷を」
俺はレミさんの近くへ行って、傷を見せてもらった。ステータス画面が目の前に現れて、レミさんの二の腕の一部が赤く囲まれた。
『かすり傷。傷薬を塗るといい』とステータス画面に文字が出た。対処法を教えてくれるようだ。
「二の腕のところに傷がありますね。傷薬を塗ります」
「お願いします」
レミさんと魔物のへ戦闘は息があってきた。ただ俺の方が、どうしても経験不足なのでレミさんに頼ってしまう。もっと鍛えたい。
「袖をめくってもらえますか?」
レミさんの服の袖が切られて傷を負っていた。傷は浅いけれど傷薬を塗った方がいいだろう。
「ええ」
レミさんが服の袖をめくると、細いけれど鍛えた腕が見えた。白い肌に血が滲んでいる。手袋をして、傷をきれいにしてから俺が作った傷薬を塗っていった。
「あれ? 痛くない」
レミさんが不思議そうに俺を見た。
「ケガをして傷薬を塗って治療すると、しみて痛かったり、くさい匂いがしたりするのですが……」
クン……と、レミさんは匂いを嗅いだ。しみたり、くさかったりするんだ。
「そうなんだ。ちょっと俺が配合し、くさくないようにはしたけど……。しみないのは知らなかった」
俺は手袋の指についた傷薬の匂いを嗅いでみた。
「うん。くさくはない」
一番初めて作った傷薬は確かに少し、くさかった。宿屋で作っていた時、くさいのは嫌なので植物図鑑を見て良さそうのを混ぜた。
「こんな傷薬、初めてです! くさくない傷薬、いいですね!」
レミさんはニコニコしながら俺に言った。……そんなに傷薬がくさかったのか。
「そういえば……【魔道具屋】で『この傷薬は上質なもの』と言われたような?」
臭わないのが、ないのか。いいことを聞いた。臭わない薬を作っていけばいいかも。
あ、でも……。一般の人が使う場合。少しは臭いを残しておかないと舐めたり飲んだりするから、作った薬を売る場合は臭いを残しておこう。ガスに匂いをつけるのと同じで、事故を防ぐためだ。
『ホー! ホー!』
「あ、私の使い魔が戻ってきたようです」
バサッ! バサッ! と羽を広げて静かに地面へ降り立った。改めて見ても大きなフクロウだ。
「ご苦労様。手紙が入っているわ。きっと医師からの報告でしょう」
フクロウの首輪にぶら下がっている、小さなカバンから手紙を取り出した。
「お知り合いの方は治療をして元気になったようですよ、レン様」
手紙を読んだレミさんは、俺にアッシュの様子を教えてくれた。
「よかった――!」
毒消しを飲んだけれど心配だった。元気になったならよかった。
「お世話になった方でしたよね? 良かったです」
レミさんはフクロウになにか、おやつのようなものをあげていた。使い魔のフクロウは美味しそうにおやつを食べていた。
「うん。勇者があそこで倒れたら大変だし、元気になって本当によかった!」
俺は笑顔でレミさんに返事をした。
「……そう、でしたか。勇者、だったなんて……」
レミさんがこちらに背中を向けながら、ぼそり……と言った。レミさんの目の前にいるフクロウが、首を左右にまわしてオロオロしていた。なんだろう? レミさんが落ち込んでいる?
「どうしたの?」
うなだれてフクロウの胸に顔をうずめていた。あ――、いいな! 俺も顔をうずめたい!
「なんでも……、ないです」
しばらくレミさんは、フクロウの胸に顔をうずめていた。
その間俺は【魔力のツボ】でポーションを作っていた。まだ作れないけれど、ゲームでよく使われるHP&MP回復のポーションも作れるようになりたい!
『ありがとう。もう戻っていいわ』
落ち込んでいたレミさんが立ち直ったようだ。
『ホー! では失礼します……』
レミさんがフクロウから離れると、使い魔はどこかへ飛んでいった。
「お待たせしました。出発しましょう」
いつものレミさんに戻ったようだ。一体何に、落ち込んでいたのだろうか?
「【使い魔】……で、したっけ? 俺も、モフモフの【使い魔】がいたらいいなあ!」
襲って来る魔物との出会いばかりじゃなくて、可愛いモフモフの動物に癒されたい……。
「レンさんなら、きっとすぐに【使い魔】に出会えるでしょう」
レミさんは荷物をまとめて出発しようとした。「きっと【使い魔】に出会えるでしょう」? ……そうだといいな。
「あっ、レンさん。見えますか?」
レミさんが指を刺した方を見ると白い塔が建っていた。目を凝らして見てみると上の方……、てっぺんに三角の赤い屋根がみたいのがあった。
「うん、白い塔が建っているね」
レミさんはニコッと微笑んだ。
「よかった。見えていて」
ん? 見えていて? 俺は目が良いほうだけど……?
「実はあの塔は、限られた人にしか見えません。レンさんなら見えると思っていました」
「そうなの?」
レミさんは頷いた。
「塔の一番上に、赤いものが見えますか? ここが一の塔、【赤の塔】と言われている塔です」
見上げるくらい高い塔、【赤の塔】の前に俺は立ちすくんだ。
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