16 【薬草 配合師《やくそう はいごうし》】に
「ちょっと! もういいわ!」
エリアマネージャーにとめられて、集中力が切れた。顔を上げるとエリアマネージャー、受付の男性とレミさんが驚いた表情で俺を見ていた。
「まさか、これほどとは……」
エリアマネージャーが、ふう……と、ため息をついた。
「実際にこうして見てみると、すごいですね」と受付の男性がエリアマネージャーに話しかけた。
「そうね。これほどとは、想像以上」
俺が集中して作って、薬草は塗り薬・飲み薬になった。ここへ来る前に、植物図鑑のページを見なくてもほぼわかるように覚えたし、特に毒草は気をつけて扱うようにしっかりと覚えたので迷いはなかった。それにポーションも作れた。小瓶に入れる道具もそろっていたので使わせてもらった。……ただ、作りすぎたかも? 山盛りにあった草は、毒草を除いて全部使った。
すごいと言われているから、大丈夫だよね? ドキドキしながら結果を待っていた。
「全部使わなくても、良かったのだけれど……」
クスっと笑ってエリアマネージャーは俺に話しかけてきた。
「あっ! すみません!」
調子に乗ったかな? たくさんあったし、道具もそろっていたから。薬草を作るのが楽しくなってしまった。
「いいのよ。それでは試験の結果をお伝えします」
ドキドキ……。緊張する! 握っている手に汗が……。
『レン様。合格、です!』
「わ! ありがとうございます!」
緊張した――! ホッとして、握っていた手をひらいた。
エリアマネージャーは、毒草を指さした。
「まず、分別する……という基本ができていました。とくに毒草の扱いは危険です。手袋をはめて扱い、他と混ざらないようにしたのが良かったです」
「次に。配合するときの組み合わせが、ちゃんとできていました。たくさん作りすぎたのはありますが、どのくらい作れるかを見ますのでかなりの腕だということがわかりました。ね?」
エリアマネージャーは受付の男性に話しかけた。
「ええ! すばらしい腕を持っています!」
二人に褒められて、ちょっと照れた。
『では。【薬草 配合師】として、多くの人を助けてください。頑張ってね!』
俺は【薬草 配合師】の試験に合格した!
「おめでとう!」
「腕の良い、薬草 配合師になってくれ!」
本部の二人、エリアマネージャーと受付の男性にお祝いを言われて嬉しかった。
「おめでとう御座います! レン様!」
レミさんも喜んでくれた。俺達は試験会場の部屋から出た。
パチパチパチパチ……! 気が付くと本部の薬草 配合師の皆さんが、俺に拍手をしてくれていた。
「ありがとうございます!」
薬草配合師の皆さんが、見送ってくれた。
出口まで行くと、エリアマネージャーが大きめのタグが付いたキーホルダーを渡してきた。
「これは【薬草 配合師】の資格を持っている者しか頂けないもの。これを誇りに思って、頑張ってちょうだい」
「はい。ありがとうございました。頑張ります」
無事に【薬草 配合師】になれた!
「良かったですね!」
「はい!」
本部から出て、レミさんに笑顔で言われた。旅に出て良かった。
「森を抜けていきますが、この森から強い魔物が出ます。気を引き締めていきましょう」
ハジメノ町の森よりは面積が小さいけれど、より強い魔物が出ると気をつけて進まないといけない。
「わかりました」
俺はカバンから弓と弓矢を取り出した。
「レン様の武器は、弓なのですね」
珍しいのかレミさんは、ジッと弓を見ていた。
「あ、ごめんなさい! 武器が好きなので、自分が使ったことのない武器に興味があって……」
レミさんは軽く頭を下げた。
「いいえ。武器が好きなのですか」
「はい」
よほど好きなのだなと思った。剣は間合いが必要だけど接近して戦う。弓のように遠距離と、剣の近距離両方で攻撃出来たら、いいかも?
キン! ガッ! ザッ! ガサガサ……!
「ん?」
バッとレミさんが音のする方へ反応した。さすがだ。……この感じ、誰か戦っているのだろうか?
「誰か戦っていますね。魔物とでしょうか? ちょっと様子を見に行きましょう」
レミさんはそう言って、先を急いだ。
近づくにつれて人の気配と、魔物の攻撃するイヤな音が聞こえてきた。
道から外れて近道を進んだ。雑草のかき分ける音がしてしまうけれど、早く行ったほうがいい。見えてきたのは冒険者一人と小さい子が使うボールくらいの大きさのハチ五匹の魔物だった。
「いけない、あの魔物は毒を持っています! 気をつけて!」
毒!? あの大きさのハチに刺されたら、ヤバい!
「俺がここから弓で何匹か倒します! 残りをお願いします!」
「わかった!」
俺は立ち止まって、弓を構えた。魔物は大きいから狙いやすい。
「当たれ!」
シュン……! と弓矢が飛んでいって、ハチの胴体へ当たった。ハチは矢が刺さったまま地面へ、ボトッ! と落ちた。
「やった! 次っ!」
シュン! ドス! 鈍い音を立ててまた一匹、倒した。
「まだ!」
シュ……ン! グサッ! 合計三匹を倒した!
「残りは私も加勢します!」
レミさんは機敏に、一人で戦っている冒険者の元へ走った。俺も距離をとって弓矢を構えていた。
「助かります!」
振り返ってお礼を言った冒険者の姿に、見覚えがあった。レミさんは襲ってきた大きなハチを剣で真っ二つにして仕留めた。
「あれっ!? レン!?」
「危ない!」
俺はその見覚えのある冒険者に襲ってきたハチに向かって、矢を打った。レミさんと冒険者の間から最後の大きなハチをギリギリだったけれど、至近距離で仕留めた。
俺が駆け寄ると、アッシュは地面へ崩れ落ちた。
「アッシュ――!?」
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