14 生まれ持った才能 <ギフテッド>とは
「眠れないかと思ったけど、グッスリ眠れたな……」
子供の体なので夜になると眠くなる。スッキリ!
今日は塔へ出発の日。出発の日まで時間があったから、ツボで薬を作っていた。植物図鑑を見ていたら薬草の効能が載っているので良さそうな薬草同士をかけ合わせてみた。
すると傷薬の他に、内服薬を作れるようになった。
ギルドへ行って薬のことを聞いてみた。
自分以外の人に薬を与えるには、試験をして資格が必要と聞いた。そうだよね。転移前の世界だと、難しい試験や勉強して「薬剤師」になれるはず。
俺には無理かな……と思ったら。この世界の人は、自分に与えられた生まれ持った才能があるらしく、自然と備わっているらしい。
転移前の世界の薬剤師とは似ているけれど、似て非なるものらしい。
つまり……。もし俺にその生まれ持った才能があるならば、資格が取れるということだ。
「でも全然勉強してないよ」
ミミリーさんに聞くと、「大丈夫よ!」と言った。何が大丈夫かわからない。
「塔へ行く途中に【薬草 配合師】の資格の試験所がある。受けるといい」
ギルマスは、聞いてことのない職業を俺に言った。
「【薬草 配合師】! 君なら大丈夫!」
真っ直ぐな瞳でミミリーさんは、俺の両肩をバンバンと叩いた。少し痛かった。
そして出発の日。俺はギルドへ指定された時間に、遅れず着いた。
「お早う御座います! レン様!」
ミミリーさんとギルマスと、あと初めて会う人がいた。
「おはようございます!」
元気よく挨拶した。挨拶はきちんとしないとな。
「お早う、レン。紹介する。こっちが、案内役兼護衛のレミだ。女性だが、腕はその辺の者より良い。安心しろ」
ギルマスに紹介されたのは女性。帯剣している。スッと前に出てきて品の良い礼をした。
「初めまして、レン様。私は案内役兼護衛を任されました、レミと申します。よろしくお願いいたします」
真面目そうな人だった。背筋は伸びて姿勢がいい。茶色い髪の毛は後ろで束ねていて背中位の長さだ。白いシャツに厚めの皮の、短めのポンチョみたいな上着に下は『冒険者のズボン』を履いていた。
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
握手をしようと手を出したら、レミさんは少しかがんで俺の手を取った。……早く身長が伸びないかな。
「これはこちらが用意した荷物だ。持っていけ」
ギルマスは、リュックサックみたいな袋を渡してきた。袋からあふれるくらいの荷物だった。
「たくさん……! ありがとう御座います!」
俺はお礼を言って、なにげなくカバンへ入れた。
「あ? レン、お前。マジックバッグを持っているのか!?」
ギルマスは驚いてカバンを見た。……しまった。このカバンは、レアアイテムだった。
「あ――、その……」
どう説明するか悩んだ。
「いい、いい。もうお前には驚かないようにするよ」
ギルマスは呆れて、俺に言った。そうしてくれると助かる。でも気をつけなくてはいけないな。今度から用心しよう。
「では、行ってきます!」
「行ってまいります」
レミさんの案内で俺はついて行くことにした。
「いってらっしゃい! お気をつけて!」
ミミリーさんが手を振ってくれた。俺もミミリーさんに手を振った。ギルマスは片手をあげて、俺に「頑張ってこい」と言って送り出した。
まだ早い時間なので、町の中は人が少ない。ギルドから歩いて町の入り口まできた。
『おや、まだ早い時間だがお出かけかな? お気をつけて!』
おじいさんが俺達にテンプレセリフを言って、見送ってくれた。俺とレミさんは町の外へと歩き始めた。
「まず、一の塔を目指します。その前に【薬草 配合師】の資格の試験所へ行って、試験を受けてください」
「はい!」
いきなり試験か……。大丈夫かな? 緊張する。
「生まれ持った才能 <ギフテッド>を持っていれば、大丈夫ですよ」
レミさんは少し微笑んで話した。俺からレミさんを見ると目線は斜め上。久しぶりの身長差があって新鮮だ。
少し吊り目の緑の瞳は、きれいな色だった。
「生まれ持った才能 <ギフテッド>って、どんなものがあるの?」
漠然としていていまいちわからない。
「そうですね。例えば私は剣の、生まれ持った才能 <ギフテッド>を持っています。物心ついたときには剣を握っていました」
レミさんは柄を触った。立派な剣だ。
「剣が当たり前のように、私の側にありました。そして惹きつけるように、良い剣を手にできるのです」
あ、それって……。俺が偶然に植物図鑑を拾ったり、アッシュから【魔力のツボ】を貰ったり……したことかな?
俺にその『生まれ持った才能 <ギフテッド>』を持っていればの話だけれど。
「これは一部の、選ばれた者の特権です。自分に与えられた役割に気づくことが大事です」
レミさんは、話し方が堅いなあ……。
「レミさん」
「はい、何でしょうか?」
こちらを見る所作も、品の良さが隠し切れない。良い所のお嬢様じゃないかと思った。
「俺の方が年下だから、敬語じゃなくて普通に話してくれるといいな」
俺は笑顔を作りながら、レミさんに言った。
「あっ……。そういえば、ギルドマスターから言われていました。一般人の話し方をするようにと……」
しまった……と気づいたレミさんは、キリッとした表情が崩れて可愛らしかった。
「敬語はなしで、お願いしますね! レミさん!」
「はい。レンさん」
時間がかかりそうだけど、敬語なしの会話をしたいと思った。
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