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序&表紙イラスト


「――というわけで、あなた方はこちらの世界に転移してきてしまったようなのです。分かりますか? 恵みの者よ」


「マ? ……ヤバい、異世界転移とかマジウケる」



 オケアノス王国王宮付きの一等書記官であるユンカースは、銀ぶち眼鏡の上の眉を軽くひそめた。

 彼の前では大理石の床にぼけっと突っ立った明るい栗色の髪の女が、この国の大神官である中年女性にヘラヘラと笑いかけている。幼い男児の手を引いて。


 国でも屈指の高貴な存在であり、そのような態度を取られたこともないであろう大神官――アデリカルナアドルカの頬に引きつった皺が刻まれたことを、ユンカースは心の帳面に書き留めた。



挿絵(By みてみん)


イラスト:蒼獅郎様、タイトルロゴ:猫埜かきあげ様

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