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新たな武器

 相次いで襲い掛かってくる魔物に対し、ユーク達は新たな武器で応戦を開始。魔力をしっかりと込められた斬撃によって、迫る魔物達を全て等しく瞬殺する。


(強いな……)


 ユークは剣を振りながらそんな感想を抱いた。それと共に、流通しているいかなる武器、さらには鍛冶師によって作成されたどんな剣よりも、ユークにとって相性が良い剣なのだと理解する。


(これが勇者の武具を手にするために用意された物……だとしたら、本物の勇者の武具はどれほどの力を持っているんだ?)


 疑問に思いながら、なおも魔物を倒し続ける――数としては二十体ほどのものであるため、あっという間にユーク達は全て滅し、洞窟からは何も出てこなくなる。


「倒せましたね」


 息をつくことすらないまま、アンジェは口を開く。


「洞窟奥に目当ての魔物がいるようです。ならばこのまま――」


 言い終えぬ内に変化が生じた。空気がざわりとするような感覚にユーク達が襲われた直後、洞窟奥から新たな気配。


「魔物が……新たに……!?」


 肉眼で見たわけではないが、ユーク達は決然と理解する。どうやら洞窟奥にいる存在は、魔物を容易く作成できるらしい。


「驚愕の能力……だが、ここで一つ疑問が生まれるな」


 ユークは内心で驚きつつも、冷静に言葉を紡ぐ。


「新たに魔物を作成するのはいい。けど、魔物を生み出すためには当然ながら魔力が必要だ」

「その魔力が何を基にしているのか、ですね」

「魔物の体内に存在する魔力であったなら、魔物を倒し続ければいずれ敵は力尽きる……けど、大地などから得ているとしたら……」

「永遠に戦いが終わらない、と?」

「だとしたら、漆黒や純白よりもよほど脅威になり得るな。あの二体は単純に個体としての能力が高かった。でも、今回の賞金首――青の魔物は違う……魔物を作れるなら物量で押し通すことができる。国としてはこちらの方がよっぽど脅威のはずだ」


 会話を成す間に、次の魔物が襲い掛かってきた。ユークとアンジェは表情一つ変えることなく迎撃を始め――迫る魔物を一撃で倒す。

 その動きには一切の淀みがなかった。魔物の動きを魔力の流れから察し、最適な動きで魔物を倒していく――完璧な動きに対し魔物はどれだけ数を集めてもユーク達に攻撃を加えることができず、時間にして五分ほどで再び出現した魔物は滅びた。


「これで、どうだ……?」


 ユークは剣を鞘に収めないまま、洞窟奥にいる魔物の気配を探る。直後、再び生まれる魔力。どうやら魔物を生み出した。


「キリがありませんね」


 アンジェは淡々と呟く。発した内容とは裏腹に、その声音は冷静さを保っている。


「魔物を生み出すプロセスがどういうものなのかわかりませんが……それを止めなければ解決しないのでしょうか?」

「いや、そういうわけじゃなさそうだ」


 彼女の発言にユークはそう答えた。


「まだ確証は持てないけど……次、判断がつくかもしれない」

「何か気付いたのですか?」

「ああ。アンジェ、まだいけるか?」

「問題ありません」


 剣を構え直すアンジェ。戦意などもまったく落ちておらず、どれだけ来ても戦い続けるという気概を持っている。

 そんな様子にユークは問題ないと判断。直後、再び魔物が襲い掛かってくる。


 押し寄せる個体の数は先ほどと変わらない。さらに言えばその動きや動作も同じ――ユークはこの事実により、魔物を生み出せてもその特性などを変えるということは難しいのだと理解する。


(能力値を変えるくらいはできるだろうけど、急激に強くするとかはできない、と考えてよさそうだな)


 迫る魔物をユークとアンジェは迎え撃つ。三度目の交戦だが、その動きは一度目とまったく変わることなく、最善の動きができている。


(剣の威力が上がったことで魔物を倒す速度が増し、効率性も上がった。それによって余計な力を入れずに済み、体力を使わずに済んでいる)


 ユークは自分達の状況を冷静に分析しつつ、近づいてきた魔物を切り払う。その戦いも時間にして約数分。二度目の交戦よりも短い時間で対処した。これはユーク達が魔物の特性や動きを理解し、より効率的に動けるようになった結果だった。

 そしてユークは洞窟内を探る。間違いなく四度目があるはず――だが、一度目、二度目とは明瞭な違いを見いだすことができた。


「うん、間違いないな……アンジェ、このまま四度目が来ても迎撃する。それでいいか?」

「何か考えがおありのようですね。ならば、従います」

「同時に周囲へ目を配る……他に青の魔物がいるとは考えにくいけど、周辺から野生の魔物が出てきたら面倒な事態になる」

「わかりました。注意しながら戦いましょう」


 アンジェが返事をした直後、再び明瞭な気配。魔物が生まれ、ユークにはその動きがしかと伝わった。


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