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戦いの終わりへと――

 ユークとルヴェルは連携して金色の魔物へと挑み、やがてその体躯を削り続け撃破することに成功する。魔物の硬度は相当なものであり、ユーク達でも壊すことが容易ではなかったのだが、一体倒したことで次の金色撃破までの時間は短くなった。


「確かに、コツみたいなものがあるな」


 ルヴェルはそう言いながら三体目の金色の魔物へと仕掛ける。

 ユークはそれに続きながら魔物の攻撃をかわし、斬撃を当てていく――その強度は脅威ではあるが、防御に魔力を注いだことで攻撃能力が低く、ユーク達は一度も攻撃を食らわず倒すことができている。


 ただしこれはあくまでユークやルヴェルの能力があっての評価。平均的な能力を持つ勇者であったり、騎士相手ならば絶対的な力を持っているに違いない――


「金色だけでなく、漆黒や純白がいないのは幸いだった」


 と、ユークは三体目の金色を撃破しながら言う。


「金色が盾となって漆黒なんかが暴れ回ったとしたら、多大な犠牲が出ていたと思う」

「ああ、違いない……敵は漆黒を生み出す余裕がなかったのか?」

「というより、あの漆黒は王都周辺にある森では作成できない……あれだけの攻撃能力を持つ個体は、組織でも作成するのに場所が限定されるんだと思う」

「しかし金色は違うな」

「うん、場合によっては量産できるのかもしれない……これが大量に王都に侵攻したとしたら、危険なことになっていただろうね」


 ユークとルヴェルは会話を行いながら次の金色を倒すことに成功。その時点で戦況は人間側に傾き、魔物の数もかなり減っていた。


「この調子なら撃破まではいくが……新たに出てきた魔物に対しどうするか」

「……この魔物、今回限定かもしれないよ」


 ユークが言う。その根拠は何かとルヴェルは尋ねたそうにしたが、


「とにかく、魔物を全て倒してから今後どうするかは考えよう……ただ、今回のことをきっかけに事態は大きく進展すると思うよ――」






 戦闘開始から一時間後、魔物は全て駆逐され街道は平和を取り戻した。騎士達が魔物が現れた森へ向け警戒を示す間に、ユークは様子を見に来た勇者シャンナと合流する。


「魔物についてですが……街道にいたデレンド=シュバーザを騎士が保護し、彼が魔物に関する道具を持っていたため拘束しました」

「おいおい、そいつが犯人なのか」


 どこか呆れたようにルヴェルは言う。


「単純に魔物を生成して制御できなくなった……というわけか」

「あるいは『混沌の主』に由来するものであったため処分しようとしたのかもしれません。彼が所持していた道具はそういうことに関してのものだったそうですから」

「……しかし、シュバーザ家って相当な権力者だろ? よく捕縛できたな」

「魔物が街道に出現する前の段階で、当該の人物がいたのは把握していました」


 ――それはユークがもたらした情報。


「その人物が『混沌の主』に関する道具を持っていることも……今回ばかりは言い逃れできないでしょうし、デレンドについてはさすがに失脚という形となるでしょう」

「なるほど……問題は、デレンドという人物が組織の情報を吐くかどうかだが」


 そこについては心配ない、とユークは考えている。なぜなら今も核心的な情報がデレンドの屋敷には眠っている。


「そう遠からず、彼の屋敷が捜索対象に入るでしょう」


 シャンナは淡々とユーク達へ語る。


「その際にどれだけの情報を得られるかわかりませんが、進展があるのは確かかと」

「なら……今回の一件が組織を本当に壊滅させられる一手になることを祈ることにするか」


 ルヴェルは言うと剣を収め、踵を返した。


「俺は一足先に王都へ戻っている。シャンナ、後は頑張れよ」


 ――仲間と共に歩き去るルヴェル。その姿を見てユークは、なんとなく自分とシャンナを二人にさせたかったのでは、と考えた。

 自分がいては、ユークが喋らないだろうから――その推測は当たっていた。そして同時に頃合いだろうとも考え、


「……シャンナさん」

「はい」

「組織壊滅のための一手……俺がここまでに得た情報について、今から語るよ。きっとこの情報を公にすると、組織幹部は間違いなく逃げると思う」


 その言葉にシャンナの表情が引き締まる。


「デレンドはどうやら組織に反旗を翻していた……というより、現上層部のやり方が気に食わないと、反発していた」

「で、あれば……幹部に関する情報を保有している?」

「うん、組織について調べていたのは間違いない……その詳細について、デレンドは密かに調べていて、彼の部屋にある金庫の中に隠されている――」


 そしてユークはシャンナへ向け事の一切を伝え、彼女はその情報を基に動くことを約束した。


(これで、終わりにできればいいけど)


 ユークは内心で呟きつつ――決戦までにもう一つ、やるべきことを頭の中で思い浮かべた――


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