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正体を暴く

「力の正体を暴く……か」


 ユークはルヴェルのいる酒場を訪れ、方針について説明を施す。


「なるほど、確かに組織の面々全員が『混沌の主』にまつわる力であると知っているかどうかは疑問だな」

「手を貸してくれる?」

「構わないが、何をやればいいんだ?」

「とにかく『混沌の主』に由来するものを集める……それ以外にも組織に関連することについて……例えば魔物が森の中にいるとか、そういう情報を集めたい」

「情報集め……それには人手が必要だから、俺にってわけか。ただ組織の魔物には『混沌の主』に関する力は使われていないんだろ?」

「そのはずなんだけど、魔物は見た目も能力も大きく違っている。様々なものから魔力を吸収していることを考えると、何かしら『混沌の主』に関する特性を応用しているのかもしれない」

「ふむ……魔物については国も調べているとは思うが……独自に動くというわけだな?」

「自分が納得するのに調べたい、という風に言えばまあ怪しまれないと思う……で、決闘したルヴェルさんと交流を重ね、手を貸してもらって情報を集めると。その過程で、索敵魔法によって得た怪しい場所を調べる…」

「うん、いいんじゃないか? 怪しまれる可能性がゼロではないが……ここは俺達の動き次第か」

「そうだね」


 ルヴェルは納得するように頷く。


「ああ、わかった。俺としてもその方針で構わない……実際に動くのはいつだ?」

「とりあえず俺が城へ報告をして、だから……数日後には動くことになるよ」

「それならこっちは準備でもしておくさ」


 ――ルヴェルの同意は得られたため、ユークは次にシャンナの下へと訪れる。そこで『混沌の主』に関する説明を行い、


「今はまだ推測でしかない……でも、可能性がある以上は調べようと思ってる」

「わかりました。こちらは勇者ルヴェルが動き出せば自然と手を貸す形になるかと思います」


 その言葉にユークは首肯し、


「そういう形でお願い……組織としてはたぶん、一番暴かれたくない情報だと思う。ここを突けば、何かしら動くとは思う」

「ええ、現時点では推測でしかないのですが……私としても勝算があると考えます」


 そう言いつつシャンナは腕を組む。


「とはいえ、組織の構成員が尻尾を出す可能性は微妙ですね」


(そこについてはどこかのタイミングでデレンドの件を語ればいいか)


 ユークは内心でそう呟きつつ、


「その点は、実際に事を起こして様子を見るしかないと思うよ」

「わかりました」


 ――そうしてユークは言質をとったため実際に行動に移る。といっても今日のところはあくまで国側への通達だ。

 ユークはデュラの屋敷へ戻り、彼と話を行う。騎士と訓練したり図書館で勉強したりと色々やっていく中で、改めて国に敵対した組織について調べたいと主張した。


「あの魔物……どういう力を持っていたのかをもう少し精査したいと思って」

「君のしたいようにすれば良い。ただ、そこまで執着するのは理由があるのか?」

「一番最初に関わった大きな事件であることもそうですけど、まだああいった個体が残っているかも、という懸念はあります」


 そうユークは主張する。


「組織の制御から離れた個体は消えていく可能性もありますけど、そのまま野生の魔物として動くかもしれない……そうなったら心底厄介なので、今から何か対策を立てることができたら、と」

「なるほど、な……組織が壊滅した以上、魔物も野放しになっているかもしれない。君が懸念するのはもっともだ」


 そうデュラは語りつつ、


「現段階で国側としては組織を潰したことで魔物についてさほど関心がない……というより、まだ組織に関する後処理が残っていて、魔物についてまで調べる余裕がない、というのも事実だろう」

「結果的に進まない作業を俺が代わりに?」

「そういう見方もできるな……色々と関わった以上は気にするのも理解できる。城の人間も納得はするだろう……ただし、一つだけ」

「言いたいことはわかります。自分だけで動くな、でしょう?」


 ユークの問いにデュラは首肯。


「君に無茶をして欲しくないと国が考えていることだけは、ちゃんと認識してくれればいい」

「さすがに一人で動き回ることはしません……勇者ルヴェルと相談しようかと考えています」

「彼か……うん、納得の人選だな。彼と話は?」

「もし何かあるのなら手を貸すと」

「彼は面倒見も良いだろうし、無茶をさせないだろうから国としても安心だろう」

「逆にルヴェルさんが無茶しそうですけどね……」

「ははは、彼は猪突猛進だからな……うん、事の次第は私の方から連絡しておく」

「ありがとうございます」


 ユークが礼を述べ、会話は終了。これで表立って動くための準備は整った。

「ここからは……短期決戦だな」


 自室へ戻る途中でユークは呟く――ここから、一気に決着までもっていくと、改めて誓った。


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