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史上最強勇者、家出する  作者: 陽山純樹
第三章

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次の展開

「拠点を見つけ出す手段については、とりあえず派手な動きをしなくてもなんとかなりそうだな。なら次の問題は戦力についてか」

「現状では俺とルヴェルさんとアンジェの三人だね」

「たった三人ではさすがに拠点を見つけても攻撃は厳しいな。そもそも人手が足りないし、魔力で捕捉できるようになったとしても逃げられる可能性はある」


 ユークは頷く――拠点の場所にもよるが、捕り物である以上は多少なりとも人数は必要になるだろう。


「だからおびき出すかちゃんとした戦力を整える必要がある……と、ここで一つ提案があるんだが」

「提案?」


 ユークが聞き返すとルヴェルは小さく頷き、


「率直な感想を聞かせてもらいたいんだが、シャンナのことはどう考えている?」

「シャンナさん? 組織と手を結んでいるかどうかってこと?」


 問い返したユークにルヴェルは頷きながら、


「そうだ……もし君の目から見て組織の人間でないと断言できたら、協力してもらうことで大きな助けになる」

「戦力的な意味合いで貢献してくれる?」

「そうだ。彼女が持つ組織力があれば、色々な動き方ができるだろう」

「かといって、戦士院の力を借りるのは難しいと思うけど……」


 ユークはそう述べたがルヴェルの表情は力強いものだった。

 彼女自身の能力を考えれば、ユーク達にとって心強い味方になるのは間違いない。とはいえ、彼女が組織の人間かどうかは――


「……シャンナさんは国の重臣と関わりがある。戦士院の協力によって敵の拠点を攻撃するかどうかはわからないけど、俺が持っている情報があれば組織と関わりのある人の詳細などを暴くことはできるだろうな」

「情報面で役に立ちそうか」

「うん、そこは間違いないと思う……けど、組織の人間じゃない、という明確な証拠というのはある?」

「いや、残念ながらない」


 ルヴェルは首を左右に振った。


「君の能力で組織と内通している人間かは確認できるのか?」

「シャンナさんくらいになると気配を隠すのが上手くなるし、単純に顔を合わせただけでは厳しいかな……実際、今まで何度も顔を合わせているけど怪しい雰囲気はなかったし」

「組織の構成員である確率は低いが、それを判別するのはかなり大変というわけか」


 ルヴェルの言及にユークは頷く。


「あなたの場合は大丈夫だろうと判断してのことだけど、基本的には確証が得られた状態で動きたいな……」

「しかしそんな風に動いていたらいつまで経っても味方は増えないぞ」

「……まあ、それも事実かな」


 ユークは同意する。かといって有効な策があるかというと――


「一つ提案がある」


 しかしルヴェルは違っていた。何やら考えがある様子。


「これはある意味賭けではあるんだが」

「……シャンナさんに話を持ちかけて、組織の人間か探るってところ?」

「お、察しがいいな」

「まあ話の流れから考えるとそれかな、と」


 ユークは頭をかく――危険度は決して高くないとユーク自身も思う。ただ、リスクがあるのも事実。


「でも、シャンナさんの力を借りることができれば状況は大きく進展するだろうね」

「だな……それじゃあ、どうする?」


 その問い掛けはルヴェルの提案に乗るかどうかということ――ユークは少しの時間だけ悩んだが、


「……最初は比較的穏当な質問で、組織の構成員か探っているとは思われないような形にしたいな」

「そこについてはそんなに難しくはないさ……なら、一度シャンナと顔を合わせることにしようか」

「表向きの理由はどうする?」

「勇者ロランが捕まったことによる情報提供、くらいでいいだろう。俺はアイツと関わりがあったし、無碍に追い返すこともないはずだ」

「それが無難か……」


 そうしてユークとルヴェルは話し合いを始める――その内容はシャンナと顔を合わせた際にどうすべきなのか、という点。ひとまずルヴェルが主導的に話し掛けて、ユークは気になったためについてきたということにすればいい。


「ま、シャンナとの話し合いについては俺に任せてくれ」


 そしてルヴェルはどこか自信を覗かせながらユークへ告げる。


「シャンナとは長い付き合いだし、どういう風に話をすればいいのかもおおよそわかる。後は、俺と君がやってきて何事かと警戒されるくらいか」

「警戒……それを解きほぐすのは俺がやった方がいい?」

「微妙だな……ま、シャンナの反応を見てから判断すべきだろう」

「ちなみになんだけど、シャンナさんは王都に住まいがあるの?」

「ああ、ここからそんなに遠くない場所だ。ただまあ、さすがに監視とかはしないでくれよ。逆に怪しまれそうだからな」

「うん、そこはわかっているよ」


 ルヴェルの言葉にユークは頷きつつ、打ち合わせは佳境を迎え――そうして取り決めした時には夕刻近くとなり、そこでようやくルヴェルは屋敷を出たのだった。


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