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史上最強勇者、家出する  作者: 陽山純樹
第二章

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119/200

今回の敵

 騒動が一段落した後、ユークとアンジェは町へ戻り休息をとった。その間も勇者シャンナや勇者ルヴェルは何かしら動いていた――というより、二人が手を組んで今回の騒動に関する犯人を探し始めた。

 そこに勇者ジストも加わり、ユーク達の知らないところで作業は進んでいく――その間にユーク達の方も色々と動く。しかしそれは誰かと協力するというわけではない。


 結果、作業ペースは遅かったため、ユークが調査対象とした人物が町を離れないかというのが懸念だったのだが――幸いながら、当該の人物は町から出ることはなかった。

 理由としてはおそらく事件の顛末を確認したいため――勇者シャンナが動いていることは当該の人物もわかっている。彼女の活動によって、どうなるのかをちゃんと見極めてから町を去りたいという思惑だろう。


 勇者シャンナも「調査をするため滞在できる人はして欲しい」と通達したため、当該の人物が残ることに違和感を持つ人は皆無。結果としてユーク達が調査できる余裕が生まれたが――


「……神経を使う作業ですね」


 ある日、飲食店で夕食をとっているとアンジェが口を開いた。


「その人物に関する調査……他の勇者のことと同時に聞くなどして、怪しまれないようにしていますが」

「それでいいよ……今回の騒動について調べている勇者シャンナがもう大丈夫と言い出さない限りは動かないと思う」


 ユークはそう言及した後、説明を加える。


「組織側としては適当な勇者を犯人に仕立て上げて、そいつに全ての罪をなすりつけることで幕引きを図りたいのだと思う。で、当該の人物はそれが確認次第、町を離れ組織に報告する」

「……もし、勇者ルヴェル達が早期に犯人を見つけていたのなら私達は間に合わなかったかもしれませんが――」

「まあその場合でもなんとかなるよ。既に魔力は捕捉できているし、追い掛けることは可能だ。むしろ、その方が都合が良いかもしれない」

「何故ですか?」

「戦うとなったらどうしたって騒動になるからな」


 ユークの言葉にアンジェは押し黙る――自分達が調査している勇者のことを頭に浮かべている様子。


「……魔物との戦いとは大きく違いますよね」

「そうだな。実力はアンジェが考えているとおりだ……強い」

「もし戦闘になったら、勝てると思いますか?」

「わからない」


 ユークは正直に答えた――それだけ今回の相手は、今までと違う。


「例えばの話、向こうが一人でこちらが俺とアンジェの二人がかりとしても……」

「そもそも私、戦えるでしょうか?」

「そこも難しいと考えるか?」

「はい、むしろ私はいない方がいいのでは、と考えてしまうくらいには」


 ユーク達は沈黙する――現段階で勝負すると決まったわけではないが、どうしたって考えてしまう。


「ユーク様、応援を呼ぶというのは……」

「最初はそれも考えた。実はこの騒動に真犯人がいて……という形だな。もちろんそれもやり方の一つではあるけれど……リスクが高いんだよな」


 敵がどこにいるのかわからない状況――無論、当該の人物を捕まえれば組織にも情報が伝わるはず。ただ、単純に情報が伝わるだけなら騒動には真犯人がいた、という形で一応説明はできる。


「俺達は秘密にしてくれと言っても、その中に組織の関係者がいるとすれば一巻の終わりだ」

「人に頼るにしても最終手段、といったところでしょうか」

「そうだな」

「現段階では厳しいですね……」

「秘密裏に動いているからこういうことになるんだよな。公表していいのならもっと話は早くなるけど……」

「組織はさらに警戒し身を隠すようになると」

「そうなったらお手上げだ……まあ、それでも索敵魔法とかで怪しい場所を見つけることはできるだろうから、時間が掛かるにしろ探すことはできるかもしれない」

「けれどそれよりも前に間違いなく敵が先に動きますよね」

「そうだな……本来ならそれを防ぐために俺達が動いているわけで、本末転倒になる」


 ユークはそこで料理を食べ終え、お茶を飲む。


「厳しいのは承知の上で、対決まで進むかもしれない。そこはアンジェも覚悟してくれ」

「わかりました……戦闘になった際の戦法などは考えておきますか?」

「そうだな。色々なパターンが想定されるし、今から考察しておいてもよさそうだ」


 ユークはアンジェにそう言うと、もし当該の人物と決戦になってしまった場合――その作戦を立て始める。とはいえ、戦闘能力などを含めわからないことは多い。


(真正面から打ち合って、どこからどういう流れになるのか……勝負は、最初の激突かな)


 そんな結論に至りつつ、ユークはアンジェと会話を続けたのだった。


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