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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

幼馴染で恋人だった僕よりイケメン先輩を選んだはずの彼女が一週間後身も心も限界になって戻ってきた。(なろう版)

 折角の休日に突然押し掛けてきた隣の住人。


 両親が親友同士で、生まれたときから一緒の少女。

 お互いの時間を共有し、お互いいつの間にか好きになり、お互いに離れられない関係になっていた。




 しかし、今はきれいに伸ばしていたロングの黒髪はミディアムまで切られ、似合わない金髪に染めあげられていた。



「私好きな人が出来たの」


「そう」


 彼女の告白に僕は素っ気なく答える。



「どう、この髪型。先輩も可愛いって褒めてくれたの」


 そう言って自信満々に笑う。


 まあ、いわゆる陽キャのギャルっていうやつにでもなったのだろう。さっき言っていた先輩というやつの趣味なのかもしれない。


「でっ?」


 僕は改めて要件を聞く。


「だから私達別れましょう」


 彼女から切り出された別れ話。


 長年幼馴染として過ごしてきても別れはあっけない。


「ふぅ、分かった。ただし後悔するなよ美優紀」


「誰に言ってるのよ。みんなが憧れてる相手よ、絶対真咲よりいい男なんだから」


 そう言って、いつもより短くなったスカートを翻して去っていった。




 次の日。気怠さから学校を休もうかと思ったが、出席日数が危うい事を思い出し、仕方なく学校へと向かう。



 教室ではギャルデビューした美優紀の周りに女子が集まり騒いでいた。


「どうしたの美優紀?」


「ふっふ、私久藤先輩と付き合うことにしたの。それで先輩がそっちの方が似合うよって言うから、思い切ってイメージ変えてみた」


「うわー、いいなー、わたしもイケメン彼氏ほしーワ」


 幸いなことに席が離れていたことと、学校での僕と美優紀は、顔見知り程度の関係だと認識させていた。まあ、そのおかげでこちらまで話題が飛び火することなく助かった。



 そしてその日は授業をボーッと聞き流し、退屈な学校が終わる。いつもなら僕と美優紀はそのまま帰ってどちらかの家で時間を潰していたのだが、今日は僕だけが先に帰った。


 そして美優紀の家には、いつもより遅い時間に明かりが灯った。


 この日を境に美優紀の帰りが遅くなるようになった。




 




 そして一週間、僕と美優紀が言葉を交わすことのない最長記録を更新する日々が続くはずだった。




「はぁ、なんでいるの?」


「…………」


 何故か部屋に帰ると制服姿の美優紀が居た。どうやら母が勝手にあげたらしい。


「先輩とよろしくやってたんじゃないの?」


「……………」


 美優紀は僕の問いかけに俯いて答えない。


「ハァ、それじゃあ命令だ答えろ!」


 僕は強めの口調に美優紀は一瞬怯えたようにビクンッと肩を震わせると顔を上げてようやく口を開いた。


「ごめんなさい、やっぱり無理でした」


「だから、言っただろう後悔するなよって」


「だって、だって、私も恋愛っていうのしたかったんだもん」


 半泣きで逆ギレ気味に答える美優紀を僕はひと睨みする。


「ひっ、ごめんなさい」


「それで恋愛ごっこは楽しかったのか?」


「全然、あの先輩自分の自慢ばっかりだし、デートとかも退屈で期待外れ、ドギドキとかまったく無し」


「ふぅ、わざわざ先輩好みに髪まで切って、金髪に染めたのにな」


「ちがうから、これ本当は真咲が見ていたアニメがあったでしょう」


「……もしかしてギャル恋か?」


「うん、真咲凄い気に入ってたし、ああいうのがタイプだったなのかなと思って……あの男もこいうカッコ好きって言っていたし、丁度良いと思って」


 どうやら美優紀は、僕が一時期ハマっていたアニメの影響でギャルデビューしたらしい。


「まったく……今さらそれはどうでも良いとして、何度も言わせるな。ここになんのようだ?」


 僕は睨みを効かせてもう一度問いただす。

 すると突然美優紀が聞いてもいない事を語りだす。


「あの、その、昨日初めてあの男の部屋に行ったの」


 しかし、その告白を聞いて驚いた。


 美優紀のことだからもっと早めにそういう関係になっているのかと思っていたからだ。



「それで」


「うん、ドン引きされた」



「もしかして、いつもの格好を見せたのか?」


「うん、だって、それが私だし」


 まあ、普通のやりたいだけの高校生なら、もしかしたら喜ぶやつもいるかもしれないが、予想通り久藤先輩とやらは普通の感性の持ち主だったらしい。



「普通に考えたら外すだろう」


「やだよぉ、だってこれ真咲がプレゼントしてくれた物だよ、外せる分けないじゃん」


 正確に言うとプレゼントではないのだが、美優紀の脳内ではそう変換されているのだろう。


「あのなぁ、今カレの所に元カレの物大切そうに身に付けていたら引くのは当たり前だろう」


「だって、これは……」


 美優紀はそう言うと拗ねたように押し黙る。


「分かった……でっ、それで話は終わりか?」


「ううん、それで引かれはしたけど、やっぱりエッチには興味あったみたいだから、最初はお口でちょっと可愛がってあげたらさー、すぐに耐えられなくなっちゃったみたいで」


「……そうなのか? モテると聞いていたからそれなりに経験があるのかと思っていたが」


「うーん、本当にそれなりみたいでさー、折角お尻の方使っていいよって言ったら、またドン引きされた」


 どうやら美優紀はいきなりケ○アナからの関係を提案したらしい。

 それにドン引きする久藤先輩はやはり普通人だったようで安心すると共に、僕は逆に興味が湧き続きを聞きたいと思った。


「それで」


「まあ、それでもやりたい気持ちは抑えられなかったようでさ……でも、脱いだ私をみたらさ、完全に萎えたみたいで……」


 僕にとっては当たり前すぎる美優紀の姿は、普通人の先輩にとっては普通ではなかったようだ。


「もしかして、あれも外さなかったのか?」


「だって鍵持ってるの真咲だし」


 確かに鍵は僕が持っているが、念の為にスペアキーは渡してあったのだから外そうと思えば外せたはずだった。


「あのなぁ、その先輩のこと好きになったんじゃなかったのか。普通に考えて付き合った彼女がそんなのしてたら駄目だろう」


「だって、嫌なものは嫌だったんだもん。あの男だって周りが騒いでて、他の子も好きにならないほうがおかしいみたいなこと言ってたし、たから私でも恋愛できるかなって思ってただけで」


 相変わらず思考が出鱈目だがこうなったのは僕の責任でもある。


「だから、僕との関係を清算して先輩と付き合ったんだろう」


「うん、真咲とは幼馴染の彼氏との関係は解消したけど……けど……やっぱり私には真咲がいないと駄目なの」


「ふぅ、勝手だな。彼氏じゃないけど側にいろと」


「そうだよ、だって真咲には責任があるでしょう…………私の御主人様として」


 その目は真剣で、本気でこちら責めてるようでもあった。


「それを含めての別れ話だったんじゃないのか?」


「違う! 違うもん。私と御主人様との関係は永遠なんだもん。だって、そうでしょう……あのとき交わした約束は絶対なんだよ」


 美優紀の口調が段々と強まっていくと共に、目に仄暗さが宿る。


「分かった、分かった。じゃあ恋愛ごっこは終わりで良いんだな?」


「うん、あの男とも別れてきた……結局、恋愛っていうものの良さは分からなかったし……真咲と居るほうが心も体も満たされるのを実感した。というかこうなること、どうせ真咲には分かってたんでしょう」


 美優紀の指摘どおり、いずれ我慢しきれず僕の所に戻るとは思っていた。だからあの久藤先輩と付き合うと言ったときに止めなかった。だからもし、あれがたちの悪い男、例えば芦屋とかだったら、僕は命令してでも止めていただろう。


「……ただ、もう少し続くと思っていたけどな」


「えっ、だって一週間だよ、その間オ○ニー出来ないし、あの男もお尻使ってくれないし。体の方が我慢の限界だよ、だからこういう体にした御主人様にちゃんと責任取ってもらわないと」


 美優紀はそう言うと制服のブラウスに手をかけボタン外す。


 高校生には余り似つかわしくない黒いブラに包まれた豊満な胸が僕の目の前にさらけ出される。


「その下着で元カレも誘ったのか?」


 美優紀がさらけ出したブラには、一番大切な部分を隠さないといけない所に割れ目が入っており、その隙間から光って見えるのは、美優紀曰く、僕からのプレゼントである銀色のピアスだった。


「これは、御主人様との為専用に用意しておいたんだ。どう嬉しい?」


「ああ、良い心掛けだ。特別先にご褒美をやろう、どうして欲しい」


 僕はそう言って美優紀が望むご褒美をあげた。


 そして一心不乱にご褒美を頬張る美優紀を見て、どうして美優紀は恋愛をしたいと考えたのか疑問に思い尋ねた。



「美優紀、なんで急に恋愛したいと思ったんだ?」


「ちゅー、ちゅぱ………だって真咲…………御主人様が恋愛系のアニメにハマってたから。私はアニメを見ただけじゃ良く分からなかったから、その感覚を知りたくなって、だから実際に経験すれば御主人様の気持ちも分かるかなって思って」


「はぁ、それで人気の先輩と付き合うことにしたと」


「うん、ちょうど告白されたし」


 はあ、本当に人騒がせで世話の掛かる幼馴染だ。

 だがこうなると、美優紀に振り回されただけの常識人の先輩が哀れすぎだろう。


 今度、口止めも兼ねてフォローしておかないと。

 そう、飽きずにご褒美を頬張る美優紀を眺めながら思うのだった。




読んで頂きありがとう御座います。

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