クソスマスケーキ
時は、12月24日・クリスマスイヴの夜ッ!!
人間共が街中で浮かれている中、フンコロガシは自分の住処の作業台で、本日限りの『特別なデザート』の準備を始めていた。
今回の材料は、
・スポンジケーキ 1個
・生クリーム 1本
・苺 10個
・うんこ ボウル3分の1
の四種類。
尚、上から二つは、市販されている物であって、こいつが作った物ではない。
そして、うんこは固体ではなく、ベチャベチャしている下痢気味の物を使用するようだ。
「よし、それじゃあ早速・・・」
包丁を手に取り、まずはスポンジケーキを横から切っていく。
性能が悪いのか、切るのにかなりギコギコしている。
ようやくそれを切り終えると、次は苺を全部・・・ではなく、五個取り出す。
これは、横ではなく上からストンと、真っ二つ。
五個全部切り終えたら、それらを一旦小皿に移し、スポンジケーキの下半身だけを自分の前へ。
その上に、生クリームをブリブリと捻り出させ、スプーンを使って平らにした後、小皿の苺を乗せていく。
後は上半身を乗せるだけ・・・
「おっと。」
ここで何かに気付き、手に持ったそれを一旦元の場所へ置く。
そして、代わりに手に持ったのは・・・
「忘れてた・・・」
生クリームの容器・・・!!
追いクリーム・・・!!
苺の上を二周・・・!!
「これで良し。」
満足気に容器を置き、ようやく上半身を下半身と合流させる。
後は丁寧に塗装と装飾をするだけ。
と言う訳で、ケーキ本体を皿に乗せた後、別の場所へ一旦移し、塗装用のクリーム作りへ移行。
ベチャベチャうんこが入ったボウルを目の前に置き、生クリームをたっぷりと入れて、よくかき混ぜる。
二つが一つになった姿は、まるでチョコレートクリーム。
とりあえず私は、当分チョコレートを使ったスイーツを食べられそうにない。
それはさておき、フンコロガシは再度ケーキ本体を自分の前まで移動させ、作ったばかりのクリームを包丁に付けて、丁寧に側面を塗り始めた。
包丁は動かさない。
動かすのは、ケーキ・・・というか、皿。
側面が終わった後は、上面へ移行。
こちらも丁寧に塗りたくる。
最後は、装飾。
洗う以外何もしていない残りの苺を、バランス良く乗っけるだけ。
完成・・・『クソスマスケーキ』・・・!!
パッと見ただのチョコケーキだが、それは仕方ない。
サンタの食べられる飾りが無いのだから。
でも、これで良い。
何故なら彼は、アレを『美味しい』と思った事は一度も無いからだ。
と言う訳で、早速実食タイム・・・!!
フォークを使って、ケーキの端っこから順に頂く。
「んん・・・!!」
食べた瞬間広がる、うんこと生クリームの滑らかなハーモニー!!
それと苺の甘酸っぱさが、市販のパッサパサなスポンジケーキを上手くカバーし、美味しく仕上げている。
グレート・・・!!
中々にグレート・・・!!
これには、ゴキブリもびっくりだぜぇ~。
「(調子に乗って生クリームかけ過ぎたから、一瞬『クリームの味しかしないんじゃあないか』と不安になったが、杞憂だった!!寧ろ、丁度良い・・・!!これがベスト・・・!!)」
フンコロガシ、あまりの美味しさにケーキを数分で完食・・・!!
「ふう・・・」
その後、使った食器と道具を洗い、ゆったりとした時間を過ごす。
やがて、寝る時間となった彼は、寝床に向かいながら、とりあえず熱唱・・・!!
『キヨシ、この野郎』・・・!!
そして、寝床に入り、枕元に置いた大きな靴下と手紙を見ながら、ぼそりと呟く。
「サンタさん来てくれると良いなあ・・・」
深夜ッ!!
フンコロガシの寝床に、謎の人影・・・!!
そいつは、枕元にある手紙を見つけると、勝手に開封して読み始めた。
「フォッフォッフォッ・・・さて、君は一体何を欲しとるのかの?」
【サンタさんのうんこがほしいです。】
「え・・・・・・えぇ・・・」
翌朝。
フンコロガシが起床すると、枕元には謝罪文と最新ゲーム機が置かれていた。
因みにソフト同梱版・・・!!
フンコロガシ、この上無く落ち込む・・・!!
尚、今回の『クソスマスケーキ』、実は人間用もある・・・!!
うんこを使用しない代わりに、下剤を使用するバージョン・・・!!
便意は空気を読まずに襲って来るので、デートの数時間前にコレを食べておき、出すもん全部出してから臨もう!!
恋人の前では、ただ自分の『素直な気持ち』だけをブリブリしていればよい。