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9話 泥酔


『《神子》との関係――』


「は、あ……。ち、違くて! これは普段履いているのじゃなくて、だからってそんな気負ってるわけでもなくて――」

「ごめんなさい! ちょっと手が離せなくてなかなか出れな……。2日連続で修羅場ですか? いやいやいや、今回は修羅場って言うよりパラダイスって感じかな、緑にとっては」

「こんなに大きな尻に敷かれてパラダイスもなにもないって……」

「大きな尻!? ちょっとそれは失礼過ぎない?」

「そうよ、女の子に対してそれはないと思うわ!」

「そうだそうだ!」


 女性陣の連携に冷や汗が止まらん。

 ドラゴンの大群よりも遙かにピンチだぞ、これ。


「あ、そうだ。私はアイ。昨日は挨拶もしないでごめんなさいね」

「それは私も……。そうだ! 肉じゃがを持ってきたんです! ちょっと早いけどご飯にしませんか?」

「おお! 肉じゃが! 自分では作らないからこういう料理って助かるわぁ。ご飯は炊いてあるから準備するわね! アイちゃんはシャワー浴びてくるといいわよ。そんなに汗かいていると気持ち悪いでしょ」

「はーい」

「それじゃあ私もご飯の準備をしますね」

「あらいいの?」

「元々昨日の地震で大丈夫か見に来た身なので。お邪魔しますね」


 昨日とは打って変わって和気あいあいとする女性陣。

 同じ敵がいると仲良くなるから先生という役職は敢えて嫌われるような立ち位置につくこともある、と聞いたことがあるけど……。


「今回はその役を俺が請け負ったと……。はぁ……。まぁいいか別に好かれたいとも思っていないし……。それより――」

『繰り返します。《神子》との関係が進展しました。膨大な魔力によって、レベルシステムに武器生成の項目が追加されました。素材が不足しています。現在武器生成は行えません。また、それに伴い新しい魔法、【素材ポケット】を覚えました。素材の収納に活用可能です』


 このレベルシステムがRPGっぽいものだなって思ってはいたけど、まさかここまでできるなんて思わなかった。

 ただただ課長の平穏を守りたいだけだったのに、こんなにされるとなんかちょっと極めた意欲が出てきたかも。


「緑ぃ! あんたもずっと玄関に居ないでこっち来なさい! そこにいても姉崎さんのパンツはもう見えないよ!」

「お姉さん! もう忘れようとしたのに……」

「そっち行くのがめちゃくちゃ気まずくなったんだけど……。まったくどうしてくれ――」

『《神子》の自己隠蔽能力が上昇したのを確認しました。無意識に敵を引き寄せる匂いが強まったことを確認しました。変わらず、敵が何に引き寄せられ、何故《神子》の存在を感じ取れたか伝わることはありません。敵の数が増加します。ですがレベルシステムの解放は完全ではありません。レベルを上げることを怠らないでください』


 なんでまたこんな中途半端なタイミングで……。

 これを緩和する方法ってないのか?


「……。やめよう。あんまり考えると気が滅入るからな。……肉じゃが、楽しみだな。そうだ、まだ午前中だけど酒でも飲もうか。姉さん! ビールまだ冷蔵庫にあったよね?」

「おっ! あるよ! っていうかもう飲んでるわ!」

「その、私も……」


 ……。

 いいや。俺が頑張ればそんなのどうとでもなる。

 それにたまにこんな表情の課長、姉崎が見れるなら、頑張りは無限に利くからな。



「とは言ったものの……」

「姉崎さん、じゃなくて姉崎ちゃん、でもなくて楓ちゃん! もう私の酒が飲めないっていうの!?」

「ゆ、ゆるひてくだひゃい。か、げやまひゅん……」

「緑が代わりに飲むってぇ? いいわ! どっちが多く飲めるか勝負よ勝負!」

「こんなのは頑張りたくないんだけど……」

「鱗が一枚、鱗が二枚……見て見て! この鱗簡単に剥けた!」

「おい! その姿になるなって! まぁもう見られたところで覚えてるのは俺くらいだろうけど……」

「あっはっはっはっは! あっ! 敵くるよ! 私の感知すっごいでしょ?」

「このタイミングで、か……。俺はそれを頑張る。アイは、姉ちゃんの相手を頼む」

「オッケー!」

「アイちゃんがやるっての? いいわよ! 相手したげる!」

「良かったよお前をテイム出来て……。あ、一応鱗はもらっておいてっと。それで課長はもうのびてるし……。ある程度派手に暴れてくるか」

お読みいただきありがとうございます。


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