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13話 モンスターのいる日常

【蚯蚓人:ランクD-】


 こんなことができるなんて……便利ではあるけどもう完全にRPGじゃん。

 でもこれだと課長が《神子》だってバレバレにならないか?


『《神子》またスキルや魔法に目覚めていない人間を含むあらゆる存在にランクは適用されません。また、レベルシステムとランクの仕様は異なり、ランクアップはあくまでその個体に一定の変化、成長があった場合に適用され、ランクアップという事象自体にステータスを向上するという効果はありません。ただし、進化や形態変化を促す場合はあります』


 ということは戦って成長がみられたから、アイはその姿を変化させたと……。

 でも明らかにランクアップでアイは強くなった気がしたけど。


『テイムされたモンスターは自分がテイムされた時点からの主、又は主の命令によって自分が倒したモンスターの数や質、獲得経験値量によってバフ効果を微量ですが強化することができます。つまり、このバフの強化によってランクアップを早めることが可能なのです』


 ややこしいけど、俺のレベルアップの下位互換って感じか。

 とにかく、課長のことは勿論、アイに関しても倒せば倒しただけ強くさせられるのなら不安はな――


「お前なにをぼうっとしてる。きっきっきっ!まさか俺が怖くて動けないのか?そうだよな、人間ってのは魔力を持っていても操れない弱い生き物らしいからな。もはや強くなりすぎた俺やほとんどの国民にとって《神子》なんて必要はないが……度々話題にしてた王族たちにとってはまた別物に見えるだろうよ。さぁ大人しく献上品になりやがれ!」

(ツイスト)

「ぎっ!?な、なんだ……ごで」

「さっきのやつの言う通りなかなか硬い。でも……。アイ!これを使ってみろ!」

「え?私、武器なんか……それにまだ酔ってて……」

「いいから振ってみろ」

「……。分かった、わっ!」

「ぐぎゃああああああああっ!お、俺の腕が!ば馬鹿な、ドラゴニュートごときに、こんな簡単にぃいっ!」


 アイはヘロヘロになりながら刀で蚯蚓人の右腕を切断。

 持つ者が代わっても武器の性能が鈍ることはないようだ。


 ともあれ……。


「え? な、なんなのよこの武器は!?」

「これなら地下に攻めていっても問題はない。こいつがここに、しかも課長が光ってからすぐ来たとなると……よし。地上に出られる前に急いで地底人とかいうキモいのを殲滅しに行くぞ。今日の目標ランクはB-だ」

「ちょ、ちょっと待ってよ!私、まだ酔いが……おぇっ。吐きそう……」

「吐きそうか。でも大丈夫だぞ。たった今エチケット袋兼道案内を手に入れたからな。……。おい、その程度で死ぬわけがないのは知ってるぞ。アイに吐瀉物をぶちこまれたくなかったら早くお前の国まで案内しろ。地底人たちの場所は分かってもその道は分からないからな」

「わ、わわわわわわ、分かった! 分かったから! おいドラゴン! その手を離せ! くそ! こうなったら無理矢理担いでくしかねえか!」


 今にも吐きそうなアイを背中に乗せて、蚯蚓人は自分がやってくるために開けた穴に落ちていく。


「課長と姉ちゃんが起きるまで数時間。不自然に思われないためにもさっさと終わらせないと。それに、敵は地底人だけじゃない。とりあえずドラゴンは大丈夫だとしても他……人間を含む存在のスキルや魔法って……まさか人間が敵になるとかはない、よな――」

「ぐぎゃあああぁあぁぁあ!や、やりやがったこのドラゴン!」

「……もうちょっとだけ時間開けてから行こ。……。姉ちゃんと課長をちゃんと横にしといて……久々に自分のステータスでも確認しておこうかな」


『ステータス』


 俺は心の内で呟くとステータス画面をチラチラ確認しながら作業。


 すると、突然俺のレベルが10005に上がった。


「これ、もう始まって――」

「だ、誰か助けて!!」

「その人間を殺すのは私だ!」

「いや私だ! 他国の者に手柄を渡すものか!」


 外に目を向けると蚯蚓人と裸鼠男の2匹が人間を挟んで喧嘩を始め、上空には烏天狗の群れとUFO。


 もう、パニックを避けるのは不可能。


 モンスターのいる日常が遂に一般にまで広がってしまっていた。


「もうこの状況を課長に知られないのは不可能。こうなったら、自分がさっきの魔力の発生源って嘘を……。いいや……それは利口じゃない。そうするときっと俺は身柄を拘束されるから……。適当にその嘘が嘘だって思えない位の実力者を捕まえて――」

『ヤバい! ヤバいヤバいヤバい! ランクA! ランクAがいるわ! しかも2匹!』


 あー、武器のことといい、地底人たちってキモいけど俺に都合が良すぎる連中だよ!

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