11話 武器生成
危機察知のスキルで見つけた地底人たちだったけど……数が多いだけで弱かったな。
俺が今まで戦ってきたモンスターたちはもっと自分に自信があって、それなりにその理由が分かったりしてはいた。
でも今回のはそんなものさえ感じられなくて、これが課長のモンスターを引き付ける匂いによる影響なのかもしれない。
アイの特訓というか育成というか、強敵との戦闘ばっかりだと俺も仕事があるからなかなか厳しいところがあるなと思ってたけど、これならそんな懸念をする必要はない。
なんかこいつらのお蔭で不幸中の幸いって捉えはっきり思わせてもらえたかも。
戦闘というか虐殺に近い戦闘をしてしまって申し訳ないと同時に感謝もあって……これからもこんな奴らばっかり出てきてくれるなら助かるな。
「さて、それはそうと地底人の血は武器生成にどうやって使えばいいのかな?」
『初回武器生成に伴い、レベルシステムよりサポートを開始します。まず液体や砂状の素材を武器生成に使用可能な状態にするために魔法【素材ポケット】を発動してください』
おお、料理ガイドみたいなフォロー始まった。
俺が強くなれた原因ってレベルアップでステータスが伸びたり、多く魔法が使えたりするのは勿論、このアナウンスが凄いってのが影響していると思う。
問えば魔法とかスキルの使い方を教えてくれるし、最初の頃はレベルを上げるための戦闘方法をしっかり教えてくれた。
レベルが3桁を超えるまではしつこいくらいにヒット&アウェイでってセコンドみたいにアナウンスがあったっけ。
「なんか懐かしいなぁ。……。こんな殺しまくった後に昔を懐かしんでるとか俺も酔って――」
『武器生成の手順が進んでいません。サポートを終了しますか?』
「すいません。やります。……『素材ポケット』」
魔法を発動すると、俺の身体の表面に布生地で作られている普通のポケットが3つ現れた。
そして同時辺りに散らばった血、そして地底人たちの死体が浮かび上がる。
血は集まりキューブ状に、死体は牙、眼球、毛皮の3種類に分解されてそのままポケットへ。
四次元ポケットみたいな効果の魔法ではなく、完全に武器生成用の魔法みたいだ。
『素材が使用可能状態になったことを確認しました。素材が揃いました。武器生成ウィンドウを展開します』
アイから鱗をもらった時には必要素材のアナウンスしかなかったからこのウィンドウを見るのは初めて。
やっぱこういう画面っていつ見てもテンション上がるな。
――――――――――
【武器生成】
【保有素材】
・ドラゴニュートの鱗【1】
・地底人(土竜人)の血【10(Max)】
・地底人(土竜人)の眼【10(Max)】
・地底人(土竜人)の毛皮【10(Max)】
・地底人(土竜人)の牙【10(Max)】
【生成可能・生成予測可能武器】
×炎剣イグニール【A】(ドラゴニュートの鱗【10(Max)】、火炎袋【1】、ドラゴンの爪【10(Max)】、ドラゴンの牙【10(Max)】、ドラゴンの冠【1】、イグニールの大眼【1】)
〇竜ノ太刀【C-】(ドラゴニュートの鱗【1】、地底人の血【10(Max)】)
〇土竜ナックル【F】(地底人の牙【10(Max)】)
【武器強化】
解放されていません。
項目名変化後に開放。
――――――――――
『生成可能武器をタップしてください。生成後武器をしまいたい、或いは取り出したい場合は【素材ポケット】を発動してください』
「素材ポケットに収納……武器もあくまで素材になりえるってことかな。とりあえず、じゃあこの竜ノ太刀ってやつをタップして……。……。おお! なかなかかっこいいじゃん!」
中二心をくすぶる細い刀身に竜の腕や足を想起させるような柄。
鉄を使ってないのになんでこんな刀身になるのか、とかそんなツッコミは置いといて、これで強かったらアイにもたせてやるのもあり――
「な!? ななななななななななな、なんだよ、これ……。あれだけいたのに、なんで血の跡しかないんだよ! ……。お前、お前か人間。よくも、よくも!! コツコツコツコツ貯めていた力を開放して……同胞の仇をとってやる!!」
「まだ残ってたのか。体が肥大化して……身体は鉄みたいな色に、か。結構堅そうだな。……試し切りに丁度、いい!」
激昂しながら自己強化して突っ込んでくる新手の地底人。
そんな地底人に俺は竜ノ太刀を振るうのではなく軽くあてがった。
すると……。
「馬鹿、な。何年も魔力を貯めて……あの大国の地底人共に負けない強靭な身体に引き上げて、なお……」
「刃こぼれは、なし。これを持たせておけば仕事中でも簡単に敵を倒して……さくさくランクアップしてくれたりして。なんならこれだけでドラゴンの大群を追い返せ……はしないか」
強化された地底人はまるで豆腐の如く簡単に斬れ、真っ二つになったその身体を地面に落としたのだった。
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