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8話:攻略の始まり

 翌朝、ゼノンは【原初の塔】へとやってきていた。

 ゼノンを見た者達がヒソヒソと会話をしていた。聞こえてくるのはゼノンを罵る声。


「ゼノンだぜ。一人で挑むとか死にに来たのかぁ?」

「一人で挑むとか、一介の荷物持ちが一人前を気取りやがって。調子に乗りやがって……」


 ゼノンにとっては気持ちよくない視線が突き刺さるが、今に始まったことではないので気にする必要性がない。


(何か言われても無視が一番だな。それよりも)

「気を引き締めないとな。よし!」


 ゼノンは他のことを気にしないようにと気を引き締め直し、【原初の塔】の門を潜り抜けた。

 門を潜り抜けたゼノンが出たのは11階層。

そんな11階層で目にしたのは、1階層からボス部屋手前の9階層までと変わらない光景であった。

 魔物の変化もないが……。


「油断は禁物だな。先ず目指すは【原初の塔】の踏破、だな!」


 ゼノンは一歩、前に踏み出した。

 魔物との戦闘を行うが9階層までの魔物との強さは変わらなかった。

 むしろ弱くなっていたのだ。

 だがそれは魔物が弱くなったのではなく、この一週間でゼノンが強くなったからの結果である。

 順調に魔物を倒して進むゼノンは、今回の【原初の塔】の攻略は七日間を予定している。

 食料が七日分しか持てなかったからだ。

 一日に2階層のペースで進むゼノンであったが、15階層で途端に魔物が強くなった。

 とはいってもそれほど強くなったわけではない。その程度なら余裕で勝てたのだが、魔物が連携を取ってくるようになったのだ。


「連携が強いのは知っていたが、まさか魔物が連携を取るとは……【原初の塔】なだけはある。学ぶことが多いな……はぁっ!」


 一体のゴブリンを斬り倒したところで一息ついた。

 ここからはゆっくり慎重に進む。

 五日が経過した現在、ゼノンは17階層までやってきていた。

 パーティでの攻略ならすでにボス部屋前までやってきていただろう。


 一人で挑む挑戦者(チャレンジャー)でも、ゼノンのようにここまで速く階層を抜けられた者は存在しない。

 理由は簡単。それはゼノンが器用貧乏であり、加えてこの【原初の塔】をどういった覚悟で挑むべきかを知っているからだった。


 傷を負いながらも魔法で癒しつつ、進んでいく。

 六日後、ゼノンは途中から連携攻撃にも慣れ、20階層のボス部屋前までやってきた。


「このままボスを倒したいが、今日のところは終わりにしようか。明日のボス戦は最高のコンディションで挑んだ方がいいか……」


 決めたゼノンは早々に寝床を作り、明日の作戦を立てることにした。

 事前に聞いた情報によると、【原初の塔】20階層ボスは一体と、その配下の魔物が二体控えている。

 ボスの名前はゴブリンジェネラル。つまりはゴブリンの将軍だ。

 その配下はホブゴブリン。ゴブリンの上位種ではあるが、ジェネラルほど強くもない。

 この【原初の塔】20階層ボスには丁度いい強さだった。

 何人もこの階層で油断して死んでいると聞いたゼノンは、横になりながら作戦を考える。


「敵は三体。連携を取ってくるとはいえ、一体はゴブリンの上位種であるジェネラルと、同じく上位種のホブゴブリンが二体。全く油断できない相手だな。でもこんなところで立ち止まっていられないな」


 長い時間作戦を考えたゼノンであったが、今まで成り行きとその場の発想や機転で乗り越えてきた。

 このボス部屋まで戦って培ってきたことを活かす。

 そう決め、眠りにつくのだった。


 起きたゼノンは食料を食べ、体を動かして異変がないかの確認と、動かすことで体を温める。

 十分に動いて問題がないことを確認したゼノンは、気を引き締め、ボス部屋を見つめる。


「よし、行くぞ!」


 誰にでもなく、自分を奮い立たせるべく力強く告げ、ここで死ぬかもしれないという覚悟と、さらなる強敵との戦いに自然と笑みを浮かべた。

 そしてゼノンの両手が、ボス部屋へと続く門を押し開けたのだった。


9話の更新は17~18時頃を予定してます。


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