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18話:90階層攻略

 80階層のボスは強敵であったが、難なく倒したゼノン。

 ボロボロになりながらも、倒すことが出来た。

 ボスの魔物は猿のような人型であり、主に武術系統の攻撃をしてきた。

 それでもゼノンは、動きを観察することで、多少なりとも動きを盗むことができた。

 ゼノンは剣術を使うが、他者とは違い、独学で動きや戦い方を身に付けていた。

 それでも【原初の塔】で戦っていくにつれて、戦闘中の構えや、荒い箇所が徐々に消えていった。

 ゼノンは着々と、この【原初の塔】で戦い方を学んでいた。


「はぁ……」


 思わずため息を吐いてしまう。

 その原因は目の前の魔物であった。


「見た目最悪とか、戦う気力がなくなるだろ」


 巨大なスライムのような、体から無数の触手を生やして攻撃してくる魔物を見て、ついそのような言葉が出てしまった。

 食事中じゃなくて良かったと思うのと同時に、どうしてこのような階層にスライムの様な魔物がいるのかと、疑問を感じていた。

 ゼノンはこの魔物が強くないと思っていたが、実は物理攻撃を無効にしてくるのだが、そんなことは知らない。

 鞘から剣を引き抜き、迫る魔物の触手へと剣を振るった。

 振われた剣は触手を切断するが、瞬時に再生してしまう。


「再生とか反則じゃないですかね?」


 それでも攻撃を続ける魔物に、ゼノンはその全てを避け、あるいは切断していく。

 剣の届く範囲である間合いまでくると、胴体目掛けて剣を振るった。

 振われた剣は、柔らかい何かに弾き返されたように感じた。

 そして死角から迫っていた触手が絡みつき、囚われてしまう。


「――くっ!」


 不意の攻撃で手から剣が落ちしまった。

 残る手段は、魔法。

 ゼノンは手のひらをその魔物へと向けた。


「頼むから効いてくれよ……炎槍(ファイヤージャベリン)!」


 願いと共に放たれた炎の槍は、スライムの胴体へと直撃し、半分を消滅させた。


「魔法が弱点なのか!」


 攻撃が効いたのか、絡まっていた触手が緩み、ゼノンは脱出に成功する。

 剣を見るが魔物に近く、取りに行くには距離がある。ならと、ゼノンは両手を向けた。


「食らえ! ――火球(ファイヤー)!」


 無数に生成された最下級の魔法が魔物へと次々と直撃する。

 爆発で砂塵が舞う。

砂塵の向こうから攻撃するような気配が見えない。

ゼノンは魔力察知で魔物が生きているかを確認するが、反応はない。


「どうやら倒したようだな」


 同時、砂塵が晴れたそこには魔石が一つ、転がっていた。

 それを回収したゼノンは、一度落ち着ける場所を探し、腰を下ろして休憩した。

 先ほどの魔物のことを考えるが、そのような魔物は聞いたことがなかった。

 スライムでも剣などが通じるのに、同様の魔物で効かないとは思いもよらなかった。


 休憩したゼノンは気を引き締め直し、次なる階層へと向かった。

 だが、この階層で出てくる魔物の大半は物理攻撃が効かないのだ。

 苦戦しつつもなんとか攻略していくゼノンは、ついに90階層ボスへと到着した。


 扉を開き中に入ると、中央には五メートルほどの、スライムのような魔物が鎮座しているではないか。


「まさかこの階層って、剣とかの攻撃が通用しない魔物が多いのか? つまりは魔法攻撃で倒せってことでいいのか?」


 魔物が動きだし、こちらを見ている。

 そう感じるだけで、実際はスライムのような魔物に顔はない。

 スライムの体から無数の触手が現れ、高速でゼノンを拘束しようと迫る。


「させるかよ!」


 剣を使って触手を切り伏せるが、切ったその場で再生し、襲ってくる。

 魔法を使いつつもそんな展開が何度も続く。このままではキリがないと判断したゼノンは、一度大きく距離を取り思考する。


(こんなのどうすればいいんだよ。火力が高い魔法だと、魔力の消費が大きい)


 色々と考えるが有効手段が思い浮かばない。

 そこでゼノンは、あることを思い出した。それは50階層ボスのカイザーオーガが使った、魔力を武器に乗せる技法だった。


「もしかして魔力を武器に乗せて攻撃すれば効くんじゃないか?」


 迫る触手を避けたゼノンは深く瞑目し、剣に魔力を流して魔力で剣を覆うイメージをする。

 体の魔力が剣に向かうのを感じ、目を開くと、どうやら成功したようだった。


 迫る触手を斬ると、再生が遅い。

 そのまま接近して胴体を切り付けると、効いたのかスライムは動いた。

 切られた箇所の再生も遅く、このやり方は正解だったようだ。

 そこから攻撃を続けていると、スライムは五体に分裂した。

 最後の手段なのだろうと思ったっゼノンだが、魔力が想像以上に消費している。


「魔力を効率的に……」


 呟くように、攻撃を避けては流す魔力を調節していく。

 それでも剣を覆っている魔力の層は厚い。


「もっと薄く……」


 次第に剣を覆う魔力が薄くなる。

 四体目のスライムを再生できなくなるまで倒し、残るスライムに剣を向けた。


「お前で、最後だ!」


 残る魔力を剣に流し、一気に駆け出した。

 ゼノンは魔力を使いすぎたせいで、フラついてゆっくりと地面に倒れた。

 そんな目の前には一個の大きな魔石が転がっている。

 こうしてゼノンは90階層ボスを攻略するのだった。





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