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17話:80階層に向けて

 カイザーオーガを倒したゼノンは現在、59階層にいた。

 どうして帰還しなかったのか。

 それは自身をもっと磨くためであった。

 カイザーオーガとの戦闘でもっと強くならなければ、ここから先の戦いで死んでしまうと思っていた。


 ここ59階層では同業者である挑戦者(チャレンジャー)は見かけることはまずない。

 それは50階層ボスであるカイザーオーガが立ち塞がっているからだった。

 ほとんどのパーティがカイザーオーガによって全滅させられている。

 乗り越えた者達は、他の者達と一線を画す強さを持っているが、ゼノンにその自覚はまだなかった。


 しばらく草原に戦闘音が響き渡る。

 ゼノンは今、大量のモンスターと戦闘を繰り広げていた。

 草原にも関わらず、モンスターハウスのような罠があったのだ。


「これだからモンスターハウスはやめられない!」


 むしろ今のゼノンは、嬉々としてモンスターハウスへと向かっていた。

 多ければ多いほど、戦い甲斐があるというもの。

 気付け地面には大量の魔石が転がっていた。

 戦闘が終わったことで剣を鞘に納め、魔力探知で残りの魔物がいないかを確認する。


(モンスターハウス)の魔物はこれで全部のようだな。他に魔物がいないことだし、少し休憩にしよう」


 その場で座り込み、収納のブレスレットからパンを取り出して食べ始めた。

 常時、魔力探知を使って索敵しているので、すぐに反応できる。

 だがゼノンの使う魔力探知の範囲はせいぜい半径百メートル程度。

 アイリスのように広範囲を索敵するのはまだできない。

 しばらく休憩したゼノンは、再び59階層で魔物との戦闘を開始したのだった。


 59階層で数日間戦い続けたゼノンは、万全な状態で60階層ボスへと挑んだ。

 結果、少し苦戦しながらもカイザーオーガほどではない敵相手に勝利した。

 ゼノンの見解ですは、カイザーオーガは一種の砦的な役割なのではないか。そう考えていた。

 そうでもしなければカイザーオーガの異常な強さを説明できない。

 攻略出来たことで、ここから先に進む権利がある。

 そう捉えたのだ。

 だが、ゼノンはカイザーオーガを相手に苦戦した。

 何とか倒すことが出来たが、それでもギリギリの戦いだったのだ。


「俺もまだまだだな」


 そう思うゼノンは、攻略へと歩を進めた。

 次々と階層を攻略していくゼノンは、79階層へとやってきた。

 魔物の数は少ないが、一体一体が10階層ボスであるミノタウロス並みの強さを持っていた。


「79階層でこれは、この先のボスはどれだけ強いんだよ……」


 この先だけではない。

 以降の90階層を考えると、このままでいいのかと焦燥感が生まれる。

 ゼノンは「でもまあ」と呟き。


「この程度音を上げちゃあダメだよな!」


 気を引き締め直し、ゼノンは現れた魔物へと剣を向けた。

 戦闘が終わったゼノンは、改めて剣を見た。

 ガルートに作ってもらったこの剣だが、今ではボロボロだ。

 この先持つのかと考えたら、分からない。

 一度戻ることも視野に入れるが、ここまで来たのなら最後まで成し遂げたい。

 最初の通り道である、この【原初の塔】を攻略したい。


 油断は禁物。焦りも禁物。

 分かってはいても、帰りたくない気持ちがある。

 この【原初の塔】に入ってから一カ月近く経過しており、カトラにガルート、マリーが心配しているかもしれない。

 でも……


「ここまで来たんだ。諦められるか」


 決意が瞳に現れていた。


(みんなには申し訳ないが、もう少し待っていてもらおう)


 心の中でみんなに謝罪したゼノンは、80階層ボスへと続く階段へと向かうのだった。


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