バレてしまった
ドアがゆっくりと開く。
「何してるんだ?」
恐る恐る声のしたドアの方を振り返ると、そこには眉間に芯の寄せたジンとカリーナが立っていた。
「な、何もしてないよ?!ね?フーゴ!」ミリアは声を裏返しながらフーゴに同意を求める。
目を泳がせたフーゴが
「あ、ああ!ただ、ミリアがウサギを狩ってきたから…あっ!ちがくて、、」と盛大に自爆した。
「ちょっと!フーゴ内緒って言ったじゃん!」
責めるミリア。
「ごめんって、だけど誤魔化しきれそうにないし。」
情けなく肩を落としてフーゴが弁明する。
「…ミリアがウサギを狩ったの?…ふーん。じゃあ、今食べようとしてたのはウサギのお肉なんだ?皆んなに分けないで2人で食べようとしてたんだね。ふーん。」と、カリーナが責めるような口調で言うと、
「…」ミリアは何も言えなくなってしまった。
「…」良くない気配を察知して黙るフーゴ
少しの沈黙の後ミリアが口を開く。
「、、だって、小さめのウサギ1匹しか取れなかったから、、も、もっといっぱいあったら皆んなで食べれたけど、、、お、お肉食べたくて、が、頑張って狩ったから、、だから、、ふ、ふぇ、ふぇ〜ん。ごめ、ごめんなさい〜。。お肉食べたかったの〜〜。」
いくら前世の記憶があるとはいえ、ミリアは5歳である。フーゴと2人で食べよとしていたことが急にとても悪いことだったかのように感じてしまい、泣き出してしまった。
急に泣き出したミリアを見て焦ったのはカリーナだ。
「ち、違うのよ!ごめんねミリア。責めた訳じゃないの。羨ましくて強い言い方になっちゃったの。ミリアが頑張って狩ったんだからミリアが食べて当然だよ。」と眉毛を下げミリアの頭を撫でながら謝る。
「そうだぜミリア!俺だったら当然の権利だって突っぱねてるぞ!!」
これまで成り行きを見守っていたジンがそう言って慰めてくれる。
「うん。また狩って今度は皆んなで食べればいいだろ!ミリアの初めての獲物なんだ!誰も文句は言わねえよ!」フーゴも焦りながら援護してくれた。
「で、でも、私達だけで食べようとして嫌な子だったし、、。」エグエグと嗚咽を止められないままミリアは言う。
「そんなこと無いのよミリア。1匹しかいなかったら結局みんなで分けようとしても足りなくて不公平になっちゃうもの。狩ったミリアが食べるのが1番問題なのよ。私が悪かったわ、ごめんね。」
本当にすまなそうな顔でカリーナが言う。
「ああ、気にしすぎだ!まあそんなに気になるなら今度俺にお前の罠の掛け方教えてくれよ。たくさん狩れればその分皆んなに肉食わせてやれるしな!」フーゴが空気を変えようと罠での狩り方を聞いた。
「なんだそんな罠があるのか?だったら俺も覚えたい!」と、のってくるジン。
「いいわね。私もお肉が狩れたら嬉しい。」
控えめに手を挙げるカリーナ。
「もちろんだよ!私、背が低くて罠を仕掛けるのに時間がかかっちゃってたの。それに皆んなが狩りして、たくさんお肉が食べられるようになるのは嬉しい!」
「じゃあ、決まりだな!」
色々あったが、今度の晴れの日に4人で狩りに出ることが決まった。
「ほらミリア、早くステーキ食べないと冷めちゃうわよ。」落ち着きを取り戻したミリアにカリーナが言う。
「うん。でも、やっぱり皆んなで食べた方が美味しいからこのステーキは4人で食べよう?」
「本当か?!実は俺匂い嗅いでからめちゃくちゃ食べたかったんだよね!」そう言って喜ぶジンとは対照的に
「でも、、、。良いのかしら?」と言って遠慮するカリーナ。
「じゃあ、俺の分のステーキをジンとカリーナにやるよ!今日の獲物はミリアが取ってきたからな。ミリアが1番たくさん食べるんだ!」
「フーゴいいの?」ミリアは聞く。
「ああ!それにミリアの罠だと俺たちでも狩りができるんだ!次はたくさん食べるさ!」
「そっか!」
そう言って4人は仲良くウサギのステーキを食べ始めた。
久しぶりに食べるお肉のジューシーな肉汁が口に広がるのを噛み締めながら、次もまた絶対食べると密かに心に誓ったミリアであった。




