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ミリアの孤児院奮闘記(仮)  作者: 三女和歌
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孤児院とディジャン領の現状

説明回です。文字数多めになります。

記憶を整理しよう。


大部屋のくすんだ天井を眺めながらミリアは考える。



まずは現状の整理だ。

ミリアのいる孤児院はサルー院長先生がお一人で運営している小さな孤児院だ。



この孤児院には現在約20名の3歳〜15歳の子供たちがいる。ブルトング王国のディジャン領の中でも端にあるこの外れ町、デルタからさらに30分歩いた丘の上にあるのがここデルタ孤児院である。



デルタ孤児院は20年前、まだディジャン領が栄えている時に富裕層の寄付により慈善施設として建てられた。開院当初は寄付も充分で孤児たちを満足に育てられる環境であったが、15年前より続く戦争や作物の不作により寄付はどんどん減っていき、現在ではすずめの涙ほどしかない。と、サルー院長先生がいつも嘆いているのでここの子供たちはこの現状を正しく理解している。



孤児院の運営は、ここ数年は中年に差し掛かるサルー様がお一人で対応しているため、上の子が下の子たちの面倒をみながら協力して生活していた。



ディジャン領はブルトング王国のちょうど中央に位置し5番目の領土を誇る。

ブルトング王国はゆがんだ六角形の形をした国で、大河を挟んだ東側で神聖マーロ帝国と、大平野を挟んだ北側でフランク王国と接している。



ブルトング王国には3つの大きな都市がある。

1つ目は王都。北東部に位置し、政治、流行の中心地だ。

2つ目はオウタン。北西部に位置し、王国最大の領土かつ穀物生産量を誇るオウタン領の都市である。

3つ目は、ヴィーネ。南に位置し国内最大の港町を持つ貿易・商業の中心地ヴィーネ領の商業都市だ。



ディジャン領は、地図上ではそれら3つの都市のほぼほぼ中間地点に位置しており、領土自体は5番目に大きいが、交通の便が悪い。



なぜかというと、王都との間には山があり、王都へ行くためには山を迂回する必要があり、オウタンに行くためには、間に川があるため船に乗る必要があった。また、商業都市ヴィーネまでは馬を休みなく飛ばしに飛ばしても10日はかかる。馬車で休憩をとりながら向かう場合は、最低でも2週間はかかるだろう。

そのため、ディジャンは流通の中継地点には不便とされ、それぞれの都市は別な街を中継地点とし流通が行なわれていた。



それでも、20年前までは気候が温暖で豊作かつ、周辺諸国が落ち着いていたこともありディジャンもそれなりに栄えていた。

10年前、北側のフランク王国で新しい王が即位後、フランク王国は領土拡大を目指しブルトング王国へ侵攻を始めたのだ。それからというもの王国内は10年もの戦争で疲弊していった。

それに加えて5年前から、冷害による作物の不作が続き、戦争により働き手が少なくなっていたこともあり今王国は食糧危機にある。



穀物地帯のオウタンや、王都、商業都市ヴィーネは資金力があるため現在でも何とかなっているが、流通から取り残されていたうえに領土が大きいディジャン領はこの冷害で1番の打撃を受けたのである。



ミリアはこの話と孤児院で普段食べている屑野菜の超薄味スープを思い出して、やばいじゃん。。と項垂れた。月1回くる行商のおじさんとサルー院長先生が話していた内容を孤児院の年長の子達が聞いていたらしく、この情報は1ヶ月前から孤児院の中で出回っている。5歳のミリアは記憶を思い出す前までは理解できていない部分も多くそうかと聞き流していたが、理解できる今、現状は食料が尽きそうなやばい状況だと理解した。



しかも、ミリアは豊作の時代の日本人の生活を思い出したのである。

今まで通り味があるのかないのかわからない量の塩味屑野菜スープでは我慢できそうにない。

っていうか肉が食べたい。わがまま言えば寿司も食べたいけどミリアは美由紀の時から洋食が好きだったためギリ我慢できる。

でも、肉も麺も一生食べられないかもしれない現実なんて受け入れられない!あと米!

なまじ前世の記憶があるため、あの味も香りも思い出せてしまうのが恨めしい。



よし!食料改善しよう。

ミリアがそう考えるにはもはや必然であった。

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