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追放王子と星降の魔女  作者: ぷも山
黒の大渓谷
58/64

56.帰還と再びの再会

誤字報告を有難う御座います。そしてブックマークや評価も本当にありがとうございます!



 後日正式に帰還通知書が届き、二ヶ月半の討伐戦役が終了した。

 皇子称号返上に十分な功績も得たし、何より遊撃隊カードの歴代最高値を叩き出す事が出来た。


 これには仲間達も大喜びで、絵師さんに集合写真的に絵を描いてもらったけど、ちょっとしたチートカードなのでバトルには向かない残念仕様だった。


 そしてオレ達は一通り友人知人に挨拶した後はヴィーグリーズの発着場へ向かう。



「えっ!?アンリ様!?」


 そして再びの偶然。クララとリーヌとヴィーグリーズでばったり再開。


「まぁ、二回目の偶然ね。それにしても元気そうで何よりだわ。」

「リーヌとクララも元気そうで良かった!」


 再開を喜ぶオレ達なのだが、二人はこの短期間で随分と活躍したらしい。タグの色がゴールドになっていた。

 そして二人もエピソードブックを読んだり噂を聞いたのだろう。

 祝いの言葉をくれた上、プレゼントも手渡されてしまった。


「眼鏡?しかもこれって・・・!」

「そうよ。だってアンリはノーヴァ卿に憧れていたでしょう?」


 サーシャさんは眼鏡男子である。貰った眼鏡は勿論サーシャさんと同じ様な形の物だった上、観測術式が封入された逸品でもあった。

 沢山の苦労をしたであろう二人。そんな従姉とその親友から贈られたプレゼントにちょっとだけ涙が滲んでしまった。


「二人とも有難う!大事にするよ!!」


 オレも前世では眼鏡っ子。今生ではめちゃくちゃ視力が良かったので無縁だったがな。

 術式発動には魔力を流すだけと言う優れ物の魔道具眼鏡は本当にありがたい。


 そして二人を皆に紹介すると「ああ、この方々が例の・・・!」と言っては尊みを感じてそうな眼差しを向けていた。

 二人についてはエピソードブックの話をした時に、装備も殆ど無い状態でクレモナの森走破をたった二日で成し遂げた強者と言う説明もしてある。

 そんな事もあったせいか身近に感じてくれたのだろう。皆な挨拶したり労ったりしていた。


 ついでに嫁達を紹介したら、とても喜んでくれた。


「アンリは女っ気が無さ過ぎたから、ずっと心配だったのよ。」

 リーヌが嬉しそうに微笑むと、その笑顔を見たクララも笑う。

 うーん、ナチュラルにイチャつきますなこの二人!!


 嫁達も遊撃隊の仲間達もそれを見てほっこり和んでいると、この空間だけ瘴気が少し浄化された状態になった。

 嬉しい時や感謝の心を持った時。そして何らかの事象に対して尊さを感じた時もか。

 瘴気が祓われる要因は結構あるんだなぁ。


 そして二人はやっぱりカルコス君を可愛いと言って存分にモフり倒していた。

 女の子ってモフモフしてる動物好きだよね。


「彼女達は素晴らしいですね。小さいけれど浄化の連鎖を確認出来ました。」

 セシリアちゃんがほんの少し瞳を青く光らせた後そう言った。

 とんでもない百合力だな・・・おい。


「所で二人はなんで発着場に?」

「それは勿論アンリにお祝いを渡すためと、帝都でチョコレートを買うためよ。ね、クララ。」

「はい!噂を聞いて食べてみたくなってしまって!」


 そう言ってきゃっぴきゃぴする二人にチョコレートを渡したかったが、大渓谷で消費し尽くしてしまった。

 そんな訳で、帝都のカルデア邸に帰ったら是非チョコレートを贈りたいと申し出たのだが、野暮な事を言ってしまった様だ。


 申し出は有難いけど二人で買い物巡りをしたいのだと言われた。

 その後ボソッとリリーに女心が分かってないわねぇ。と言われてしまったんですが。

 ショッピングデートなんて前世も今生も無縁だったんだからしょうがないじゃ無いか。

 あ、でもセストでリューシャと・・・いや、あれを数に入れたらダメだよな。楽しかったけどデートじゃなくて仕入れみたいな感じだったし。


 ぐぬぅ、女心が難しいんですが!!経験値ゼロのオレには厳し過ぎる。

 しかも仲間達が「それはアンリ様だからしょうがない。」とかフォローになってないフォローの言葉を入れて来るし。

 オレのキャラは五歳児固定なの?そうなの?!



 その後待ち時間の合間に発着場付近のお店でダンジョン産素材の購入もできたので、ガラ空きになりかけていたマジックストレージを少しだけ埋める事が出来た。

 しかもなんだか最近一気に容量増えた気がするんだよなぁ。


 さて、そろそろ帝都行き便の時間だ。


 次にここを訪れるのは、リューシャがダンジョンを閉鎖する時になるだろう。


 もうちょっと観光したかったが、オレ達は早めに帝都に向かう必要があるからしょうがない。






***



 特務監査官ジークリンデ・モルゲンシュテルン。

 彼女はオレ達に対して助力を願い出た。


 宮殿では今、神殿や聖女の撲滅キャンペーン中なのだと言う・・・。

 麻薬ダメ絶対みたいなノリなのだが・・・神殿と聖女だよね?


 過去長期に渡って様々な皇帝や貴族達が彼らを排除しようと試みたそうだが、彼らを擁護する貴族達も多く中々上手くいかなかったのだそうだ。

 神殿は腐敗が酷く、聖女の地位はお金で買えるレベルまで堕ちていると言う。


 そんな訳で。延々と負の遺産を次代に引き継ぎたくは無いので、ここいらで清算しておこうと言う事になった様だ。

 しかも今回は、宮殿サイドに誰が見ても分かる正当性を持たせる事が出来たらしい。


 なにそれすごい。と思っていると、真の聖女の力を持つ者が現れたのだと言う。


「私の妹は、太陽神ソレーユの眷属としてこの地に遣わされたのです。」


 驚き過ぎて目玉飛び出るかと思ったよ。

 でも神様達がいる事を知っているので、そんな事もあるかなくらいに思っていた。

 

 でも、帝都に戻ってそれがどう言う事なのか直ぐに分かった。

 もう街中が神の眷属の話題で持ち切りなのだ。あと不思議なお祈り体操が人気になってた。


 オレもやってみたけど肩甲骨がよく動いてとても良いストレッチになったし、背中や首筋の血流が良くなった。

 ぽっかぽかです。


 それと、少し不思議な感覚があった。

 天空の女神様へのお祈りポーズをした時、爽やかな風と言うのだろうか?そんな感じのものが身体に流れ込んできた。


 “おかえり”

 そんな声が聴こえた気がして、懐かしさに目が潤む。

 よく分からないで戸惑っていると、セシリアちゃんは祈りの返礼が有ったのだと教えてくれたのだが・・・律儀にお礼を返してくれる神様凄いな。





 その後直ぐにジークに連れられ宮殿へ出向く事になった。


 ずっと宰相さんに引き合わせられるのだと思っていたら、まさかの神の眷属さんだった・・・!!


 ジークの妹って事はスフレチーズケーキと干し肉の人だしお礼を言わねば!と思っていると、先にご挨拶を頂いてしまった。


「初めまして。ヴァイオレット・モルゲンシュテルンと申します。そして、日本での名前は佐伯夏菜と申します。アンリ様と言う前例のお陰で無事転生する事が出来ました!有難う御座います!」


 大事な眼鏡を突き破って眼球飛び出るかと思ったよ!

 だってまさかの三人目だから!!


 彼女は既にユヴァーリでイチローさんとも会っているそうで、今は大魔女様の息子さんの弟子となって日々勉強中なのだと言う。

 しかもヴィルヘルミナさんの派閥で、尚且つ化粧品開発担当だと言う事も分かった。

 確かメイク本がバカ売れしてるんだったよな。


 とんでもねぇチート持ち・・・!!しかも前世知識無双じゃないですか!!


 みんなー!主人公だよ!ここになんらかの物語の主人公が居るよ!!しょうへいレベルの主人公感だよ!!


 そんな具合に一人で驚愕していたら治癒ポーション開発もしていたと言う事を知ってしまい、オレは久々のフリーズです。

 思考がバグって一瞬意識が飛んだぞぃ!


 大渓谷での従軍期間中の最後の方に医療物資として入って来ていたそれは、劣化版だがエリクサーなのだと言う。


 もう神様転生強過ぎィ!と思っていると、ヴァイオレットさんはオレなんかよりずっと過酷な人生を歩んで来たそうだ。


 オレはマイルドな追放な上、大公家の養子になった。

 だが彼女の方はと言うと、モルゲンシュテルン家の養女となる前の実家からは、死んで来いと言わんばかりに家から追い出される様な形での強制従軍だった様だ。


 すまぬ・・・温く生きて来てすまぬ!





 その日オレは神殿聖女ダメ絶対キャンペーンに協力する事を約束し、少し重たい気分で帝都のカルデア邸へ戻った。


 勿論皆温かく帰還を祝ってくれたが、ヴィルヘルミナさんだけは新しいアイディア出た?と言ってきた。


 通常運行でなんだか安心したなと思っていると、今夜は遊撃隊全員を労う為の帰還祝いをしてくれる事になっているのだそうだ。

 しかもお祖父様も来てくれるそうだ!やった!おじいちゃんにあえるぞー!



 こうしてオレは、ようやく大渓谷の討伐戦役が終わったと言う実感を得た。



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