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追放王子と星降の魔女  作者: ぷも山
カルデア大公領と魔女の課題
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25.既婚者の圧



 完全に菓子工房と化したオレの魔術工房には、チョコレートのいい香りが広がっている。

 流石に甘い香りが辛くなって来たので、今後は定期的に空気の浄化をお願いする事にした。


 そして魔道具を使い無事圧搾が成功し、カカオバターとココアパウダーも出来上がった。


 焙煎後のカカオもまだまだあるので、本格的に試作品作り開始だ。


 ビターチョコとミルクチョコを基本にして、ナッツやドライフルーツとの組み合わせをどんどん試していく。

 ラファエラ先生が言っていたリデアルキャラメルもしっかり届いた。

 そして今日は味見要員に、クロエさんをイグナーツ君から借りてきた。

 今は秘書官見習いだが食品流通管理官志望と言う彼女に期待したい。


「昨日頂いた菓子がとてつもなく美味でしたので、協力出来て光栄です!」

 しかもやる気に漲っている様でありがたい。


 まずカカオバターを使ってホワイトチョコレート作りだが、伯父上様からカルデアンクリームの使用許可が出てしまったので少し緊張する。

 あの美味しいミルククリームとチョコレート。合わない訳がないだろう。


 そして最終的にボンボンショコラを製作したい。

 勿論覚えているのは前世で食べた記憶のみ。

 周りが硬くて中柔らかい。

 ・・・まあ、何とかなるだろ。


 組み合わせ確認作業では、ラファエラ先生とクロエさんがメモをとりつつ歓声をあげつつ女子同士楽しそうだった。


 こちらもフェリクスさんと一緒にクリームや甘味に使う材料をどんどん試していく。


 温度管理はフェリクスさんの魔術が凄く役立った。

 しかも術効範囲から均一に熱を奪うとか、本当に器用すぎだろう。

 チョコレートが直ぐに固まるのを見ていて、この人本当に何でも出来るなぁと改めて思う。

 そして大理石さん、お勤めご苦労様でした・・・。


 ホワイトチョコレートに一番合うのは、やはりバニラだった。

 だが、カルデアンクリーム使用のものは、何もいらない。

 ただそれだけで美味しさの次元が違いすぎる物が出来上がった。

 前世でもここまで美味しいチョコレートは食べたことがない。それ位美味い。


 暫くすると、ラファエラ先生が魔術を発動させていることに気づく。

 どうやらドライフルーツやナッツを粉砕した物とチョコレートを混ぜ合わせ、味わいや食感の違いを確認し始めたようだ。


 ホワイトチョコレートも出来たので、こちらも合う食材チェックに参加させてもらうと、再び組み合わせ大会が始まった。


 因みにフェリクスさんの好みは、オレンジのドライフルーツにビターチョコレートを掛けただけの物。

 ラファエラ先生は、ブランデーを混ぜ合わせたミルクチョコレート。

 クロエさんはどれも美味しくて選べないと言っていたが、強いて言えばカルデアンクリームのホワイトチョコレートだそうだ。


 オレは、ナッツ系全般が好みだった。特に粗く挽いたアーモンドと合わせたビターチョコレートが好みだ。歯応えも凄く良い。


 最終的にはラファエラ先生がアイテムバックからクッキーを取り出し、絶対に合う!と言いながら一緒に食べ始めた。        

 勿論、合わない訳がなかった。


「味も大方合わせ終わりましたし、型のアイディアが欲しいです。」

 そう言うと、クロエさんが秘書官らしくしっかりメモを取り出した。

「型の作製は、魔術講義ついでに金属の加工魔術で行いましょう。

 クロエちゃん、各種インゴットの手配をお願いします。」


 ラファエラ先生が型作成を教えてくれるそうだ。


 そして今日も昼休憩を入れようとしたが、皆辞退した。

 試作のため甘い物を沢山食べてしまったので、のんびりお茶タイムになった様だった。

 ただ、約束の時間にレオンハルト君がサンドイッチを持って来てくれたので、オレとフェリクスさんとで、遠慮なく頂いた。勿論レオンハルト君も一緒にな!


 皆が工房で休憩を取るのには理由があった様だ。

 チョコの感想や型の構想を話し合いたくてうずうずしていたらしい。

 レオンハルト君にも試作品人気上位の品を味見してもらっていた。

 クロエさんも、さっさとプチーツァに言葉を乗せて手配を完了すると、しっかり話に混ざっていた。


 その時に、思いついた様にマカロンは無いかと尋ねると、どうやらそれに近い菓子はあるがマカロンそのものはない様だった。

 というかブッセとかダックワーズっぽいな。


 マカロンは作り方はレシピ系動画で何度か観ただけで、作った事は無いが。

 よし後で厨房に行ってみようっと!

 確か菓子職人さんも居た様な気がする。


 というか菓子知識ってこんなに覚えてられる物なのだろうか?

 18年以上前の前世知識を、するっと思い出せて不思議に感じる。

 レムリアやロムレスでは思い出せる知識は少なかった気がするし。

 これも帝国に来てからかもしれない。




***


 昼休憩が終了する間際に、塔から素材が届いた。


「一際異彩を放つ物体が有るんですが・・・」


 透明なプラスチックの様な、シリコンの様な、何と言っていいのか分からない物体があった。


「こちらはスライムの加工品で、クラルハイトと言います。素材使用以外にも型取りによく使われている物です。

 これは熱耐性がかなり強いので加工は単純魔力のみで行います。」


 この塊で2キロ程の重さが有るだろうか。

 何でもこのくらいの大きさで、スライム1000匹分位なのだとか。

 食品型に使用しても大丈夫かな?

 そう思っていると、食品用としても使えるとラファエラ先生が説明を付け加えてくれた。


「金や銀は単体では柔らかすぎるのでオリハルコンやミスリルを混ぜましょう。」

 高価な金属だが、授業の教材として元々使用予定だったそうだ。

「触媒には単純魔力、若しくは賢者の石を使います。」


 オリハルコンやミスリルもそうだけど!

 賢者の石ってさ、そんなに簡単に出て来る素材だったかなぁ!?

 もう、帝国というか、カルデアがよく分からないよ・・・


「凄い素材ばかりですね・・・」

「これらはあくまでも教材ですから。オトフリート様からも使用許可がちゃんと下りていますからね。」

 オレがドン引きしているのに気付いたのか先生はいい笑顔で言った。


 そんなわけで、とんでもなく豪華な型が出来そうなのだが、作業は結構地味だった。

 配分計算と実践。配合器の中でモニョモニョと魔力で動かしてこねる。

 とにかく地味だが集中力がいる。形成は簡単な物から始めて行き、そして設計通りに出来ているか、歪みや偏りがないかの確認。


「初級の形成は出来ましたので、次は型に模様付けや複雑な形成をしてみましょう。」

 一発合格を何とかもらい、次の段階へ。

 板チョコ用の型やボンボン用型などを作り始める。

 設計紙に沿って何とか作り込んでいくが、ラファエラ先生の金属操作が凄くて、つい手元を凝視してしまう。


「生きてるみたいに動きますね」

「私は土属性が強いので、金属操作時の魔力浸透が早いだけですよ。回を重ねれば、アンリ様もいずれは手早く加工が出来る様になりますので、ご安心ください。」


 土属性はヨアヒムさんの時も思ったけど、本当に便利だよなぁ。


 カルデア家の家紋を入れた千鳥格子柄の板チョコ型や、四角、円型、思いついた型を一通り作る。

 一瞬ハート型がよぎったが、恥ずかしいので星形を作る。

 相性なのか何なのか分からないが、金属よりクラルハイトで作る方が形成が楽だった。


「アンリ様、随分と薄く伸ばしましたね。」

 ついでなので前世のラップをイメージして、クラルハイトを伸ばしてみた。

 まだまだ厚いが、耐久性がかなりある疑似ビニールシートの様なものが出来上がった。


「作業台にひいたら便利かなと思いまして。」

 粉等が飛び散るから掃除しやすい様にと作って見た。

「これは良いですね。表面がつるりとしていて調薬中の掃除がしやすそうです。」

 フェリクスさんも欲しそうだったので、一枚渡した。


「食べ物や実用的な物も良いですが、星降の魔女様の為に、ネックレスや指輪等の装飾品を作られてはいかがです?」

「いや、リューシャは食べ物の方が喜ぶと思うんです・・・」

 アクセサリーをもらってもあんまり喜ばなそうだと思うんだが、ラファエラ先生とクロエさんが絶対に作って渡した方が良いと力説して来た。


「アンリ様、これは大事なことなので、気張って作りましょう!

 こう言う所で手を抜くと、後々に響きますから・・・!」


 フェリクスさんが何とも言えない表情で言ってきた。

 プロポーズに装飾品を贈るのはこの世界でも同じだった様で、この帝国ではネックレスが多いそうだ。

 レムリアでは指輪だった気がする。


「自分の一番強い属性色や瞳と同色の宝石、魔石を使うのが一般的です。」

 なんだかラファエラ先生の声に強い圧を感じる・・・!


「わ、わかりました!」


 既婚のお二人の意見は大事だね!

 クロエさんは普通に、憧れますね。と言ったがその後、カルデア牛柄である薄茶と白のマダラ模様の石が貰えたらいいな、と訳のわからん事を言っていた。

 ラファエラ先生に、それでは相手が牛になってしまうと突っ込まれていた。


「銀の鎖に銀の台座。後は・・・」

 石を決めようとしていると何故かあの日、ロムレスで見た流星を思い出していた。

 あの美しさを表現できる石はない。

 なら、作ってしまえばいいのでは?そう思い、ストックしていた透明な空の魔石を取り出してもらう。

 魔力を入れて硬質化すれば良いだろう。

 材料には金粉も使おう。


 そうして精霊術を使い、濃紺に碧が混ざる金粉入り魔石が完成した。


「何と美しい・・・」


 女性陣もフェリクスさんも褒めてくれたのでこれで行こう!


「銀の鎖と台座はアンリ様。夜空の星々と流星を表現した魔石はリューシャ様ですね。とっても素敵です!」


 クロエさんにそう言われて、急に恥ずかしくなったが、きっとこれでオレの就活はバッチリだろう。



こちらはpixivにも投稿しております。

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