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追放王子と星降の魔女  作者: ぷも山
カルデア大公領と魔女の課題
23/64

21.チョコレート1


「おお!みんなありがとう!!」


 自分の魔術工房に戻ると持ってきた素材などが収納されていた。

 種別分けしていてどこに何が有るのかも分かり易い!


「機材も取り揃えてはありますが、足りない際はお申し付けください。」

 イグナーツ君がそう言うと、搬入したもの一覧をしっかり用意しておいてくれた様だ。


 取り敢えずオトフリートさんと決めた、表向き設定を皆に話すとあっさりと納得していた。


 ヨアヒムさん?

 もちろんまだ温室に居る。


「伯父上の命で、魔女の課題を最優先でする事になってしまったんだ。各方面へはイグナーツ、宜しく頼むよ。」

 そう伝えるとイグナーツ君は手配準備に取り掛かっている。


 オレはというと、夕食をとって就寝しろとレオンハルト君に言われて、自室に強制連行された。

 気付いたら大分いい時間だった様だ。

 世話の焼ける主ですまぬ!



 部屋へ戻ると食事が用意されてあった。

 カルデア家が家族揃って食事をする事は珍しいそうで、各自バラバラの時間になるらしい。

 厨房が大変そうだと思っていると、食事は時間停止付与のケースに仕舞われているそうで、仕事や研究に重きを置くカルデア一族はこれが当たり前だそうだ。


 後は毒見が居ないのを不思議に思っていると、毒耐性のアイテムを皆持っているそうで仮に毒入りでも全然問題ないそうだ。

 持っていない事を伝えると、カルデア家の証としてもらっていた指輪に毒耐性と対精神操作の魔法陣が入っているらしい。

 こんなに小さいのにどうやって描いているんだろう。


 因みに、夕食はクリームシチューだった。

 キッシュやサラダ、パンもあるがどれも美味しい。

 料理長さん流石ですよ!


 ただ、美味しいけど少しだけ寂しさを感じる。

 昨夜の夕食や、今朝の食卓で感じた満足感や、幸福感を思い出してしまう。


 早く再来週にならないかなぁ。


 遠足を待ちわびる小学生の様な事を思いつつ、就寝の準備をする。







***


 翌日、朝一から自前のマジックストレージの解放をさせられると、テオブロマは魔術師さん達の手によって、コンテナごと時間停止の魔術をかけられ保管塔へ運ばれていった。

 手元には大箱3つ分。

 必要になったらプチーツァを飛ばして持ってきてもらう形らしい。


 オレも一羽貰い、生まれて初めての従魔契約をした。

 オルテア式習って良かった!


 因みに帝国では、一番最初はプチーツァと契約する。便利だし、維持魔力が殆ど掛からないそうだ。

 なんだか携帯やポケベル的扱いだなと思う。


 シマエナガの様にもっふりとして可愛いのでつい名前を付けてしまった。

「プッチくん宜しくな。」

 そう言って小さな魔石の粒をあげると美味しそうに啄んでいた。


 工房助手にはラファエラ先生と保管塔のフェリクスさんが付いてくれることになった。ラファエラ先生が作業の合間にオルテア式魔術を教えてくれるそうだ。

 治癒師のフェリクスさんは、助手兼オレが疲れても回復魔術をガンガン掛けてくれる応援役として、オトフリートさんが付けてくれたそうだ。


 先ずは、テオブロマを発酵用に用意した木箱に、殻をとり果肉がついたままで入れて行く。


 佐藤さんは発酵のためにと日本語で書いた魔導書を貸してくれた。

 異世界から漂流してきた者が現れた時のために10年前から書き始めた物らしい。英語版もあるそうだ。

 しかも佐藤さんの闇属性魔力を収めた魔石も沢山貰ってしまった。

 あと旨素と他諸々の土産もな!

 これらは、はらこ飯のお礼だそうだ。


 魔導書を見ながら闇属性魔石を持ち、テオブロマの実に魔法陣を用いた発酵の魔術をかける。

 すると周囲から何かがテオブロマに集まってくるのを感じた。

 木箱には環境設定を加えた魔法陣が書いてあるが、これで大丈夫だろうか。

 酵母の問題はバナナの葉っぱはまだ届いていないのでしょうがない。

 取り敢えずなんかそこら辺にいるだろ、野生の酵母が。


 何度か攪拌しながら魔術を掛け続ける。

 徐々にフルーツの香りにアルコール臭が混ざってくる。そして続けていくと今度は酸っぱさを感じ始めた。


 不思議なことに、丁度良いタイミングが分かってしまう。

 これが精霊の目の効果なのだろうか?


「よし、ここまでかな。」

 全体的に白から茶色に変化すると、何となく発酵はここまでという感じがした。


 次は乾燥のためにテーブルに布を広げてその上に置いて行く。

 発酵中から思ってはいたが、かなりヤバイ匂いがするが大丈夫かな?

 まぁ最初の実験だし、しょうがない!


 次は火と風の魔石と精霊術だ。

 精霊術は意図して使うのが初めてなので不安でもある。

 だがチョコレートのためである。

 工房が臭い匂いに包まれてしまったが頑張ろう。


「術効範囲指定をして、魔石から魔力を取り出しつつ、自分の魔力もゆっくりと流す。と。」

 ピリピリと雷属性魔力が少しづつ流れるが、大丈夫そうだ。

 キラキラと光の粒子が辺りに発生して、幻想的な光景が目の前に広がるが・・・


 相変わらずクッサイな!

 どうしようこれ!?


 しっかりと乾燥したのがなんとなくわかり、魔術を止めると、ラファエラ先生が言った。


「アンリ様、工房内の空気の浄化を行っても構いませんか?」

 もちろんオレは即許可を出した。


 先生が魔術を発動すると、空気が一斉に入れ替えられたかの様に綺麗になった。

 というか匂いが消えた。

 空気清浄機的魔術便利だなぁ。そう思っていると、


「次回からは、匂いが漏れないよう作業域に結界を張りましょうね。」

 と言われた。まさかこんなに匂うとは、申し訳ない。


 乾燥してカラッカラになったテオブロマもといカカオ豆からはもう匂わなくなった。

 だが、近づくとまだ匂いが残っているのが分かった。

 

 やっぱりダメだ、臭い。

 一回洗おう!


 意図せず正確な工程を辿っている事に気づかずに、水魔石を使ってカカオ豆を洗浄する。


「見事な水流操作ですね。」

 洗い始めるとラファエラ先生とフェリクスさんに褒められ、ちょっと嬉しくなりながら清潔な布をひき直し、その上にカカオ豆を広げ、風魔石を使い乾かしていく。


「おお!臭くなくなった!」

汚れや果肉の残骸などが取れたカカオ豆を見て、少し感動する。


 次は焙煎!!

 そして、その先は覚えていない!


 ここまで臭い思いをしたのに失敗するのは辛いので、一度乾かしたカカオ豆たちを素材保管用ケースに仕舞い、焙煎用に取り分けて使う事にした。


 焙煎は薬草焙煎用の鍋でやるパターンと、魔術で焙煎する2パターンで作る事にしたが、その前に!


「お昼にしましょう。」


 一度昼休憩を挟むことにした。

 休憩に入る前にフェリクスさんに魔力の残りは大丈夫かと聞かれたが、問題なさそうなので大丈夫と答えた。

 少し驚いていたがこれでも元王族で魔力量だけなら国一番だった。

 当時は属性が無いと思われていたため、宝の持ち腐れだったけどな!


 簡単につまめるシュワルマを取り出し、ラファエラ先生とフェリクスさんに渡すと喜んでくれた様だ。


 オレはそのまま工房に残り、シュワルマを食べながら精霊研究の本と魔導書を読む。

 レオンハルト君が研究中以外は工房の中で護衛してくれるそうで、一緒にシュワルマを食べた。

 主人と食事はあんまり褒められた事じゃ無いとイグナーツ君は言うが、レオンハルト君はもう順応してオレと一緒に軽食を摘むようになった。

 訓練中も一緒だし、オレのやり方に慣れてくれて本当にありがたい。


「これがテオブロマの菓子ですか?」

 レオンハルト君は興味深そうにカカオ豆を凝視めている。

「これはまだまだ加工途中。あともう少しで出来るはずなんだけど、そこから先が長そうだよ。」

 頑張ってくださいと励ましてくれたが、焙煎後どう頑張ろう・・・


 粉砕でいいのかな?

 いいよな?


 大理石の上でトローリ、その記憶だけがやけに鮮明に残っているのみ。

 そもそも、その作業も何の為の物なのかさえ覚えていない・・・。


 ショコラティエと言う言葉が流行り出した頃、有名な職人のドキュメンタリー番組を見て興味が湧いて、実際にチョコレートを買いに行った記憶がある。

 一粒500円を超えるチョコレート。

 あれは美味かったなぁ。

 ああ、チョコと言えばバレンタイン?

 職場の女性陣が、予算を出し合って配る義理チョコをもらえる程度だぞ!

 お返しも、予算出し合って買うしな!


 あ、お菓子といえば、本省出張の時お土産に東京駅で買ったマカロンも美味かったなぁ。女性達に紛れて買うのが恥ずかしかった記憶が蘇って辛いが。

 そう言えばショコラティエさん達のお店にも必ずマカロンがあったな。


 中でも特にギモーブドマカロンはうまかった。

 そう言えばこの世界にマカロンって有るのだろうか?


 お菓子アイディアを考えていると、食事をしている時のリューシャの笑顔が思い浮かんだ。


 チョコレート、早く食べさせてあげたいな。



こちらはpixivにも投稿しております。

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