戦闘開始
その言葉と同時にガルーダは空に舞い上がると、羽を軽く此方へ一度だけ扇ぎ出した。
するとそこから風の刃みたいな縦一直線の衝撃波が生じ、凄まじい音と共に迷いなく俺に向かって飛んできた。
これを食らったら死ぬ。間違いなく。
反射的に、出来る限り遠くへ横っ飛びをしていた。
風の刃は地面へとぶつかるや否や、周辺へ爆風が吹き荒れた。
俺の体も吹き飛ばされそうになったが、近くの木にしがみつくことでなんとか事なきを得ることが出来た。
木は抜けそうだったけどね。よく耐えたねお前、すげぇわ。
「なるほど…瞬発力だけはあるようだな」
ガルーダは冷静に俺を分析しているようだ。
「だが同じように何度も避けられるか?」
その言葉だけを吐き捨てると、すぐに二発目の風を放ってきた。
まだ体勢を立て直す事が出来ず、半ば諦めながらもすぐ近くに落ちていた魔導書を風に向けてぶん投げた。
こんなんじゃ防げない、間違いなく死んだ。
覚悟をし目を瞑ったが、すぐ来るはずの衝撃がやってこない。
「これは…何が起きているのだ?」
その言葉にゆっくりと目を開けてみると、目の前に本が浮いているだけで、場はガルーダの攻撃など無かったかのような静けさに包まれていた。