1話 角の向きで元気かが分かる
下を向いている。
だから今日は元気だ。
「は」
「ちげーし」
「体調わるわるだし」
「げほっ\(゜o゜;)/」
「……だし」
「………」
「…」
「元気いいな」
「う……うん//」
〜〜〜かたっくるしいはなしー〜〜
↓↓↓↓↓。
そんな時一人の男が魔神討伐に名を上げる。
男の名はカルラ。
当時としてはそこそこ有名な男であり、討伐の期待も高かった。
その男以外ではアスカ。
男の姉であった。
数日後、帰ってきた男の右腕には魔神の角と思わしきものがあった。
それを見た人々は歓喜した。男を世界最強だと称えたのだ。しかしその男のそばには姉であるはずのアスカの姿はなかった。
「勝てよ……カルラ」
カルラと呼ばれたその男は、目の前の光景を信じられなかった。
アスカがその身を呈して魔神の爪を防いでいた。
カルラという呼ばれた男はそれ以上前に進むことができなかった。そして振り返ることなくその場から逃げた。男の胸の中には虚しさと魔神の片角が残っていた。
俺の名はエンジェルスレイヤー。
人々からはそう呼ばれている。
町の人「おーいそっちに行ったぞ」
町の人「獲物を狩るんだ」
今日は仕事で近くのダンジョンまできていた。
町の人「早くしてくれ」
カルラ「悪い」
カルラ「もうちょっとで終わる」
カルラ「これで最後だよし」
町の人「ありがとう」
カルラ「モンスターを倒したぞ」
先輩冒険者「ありがとう……君の仕事もここまでだ」
カルラ「え?」
先輩冒険者「心苦しいがはっきり言う」
先輩冒険者「君はもう必要ないんだ」
先輩冒険者「君のような箪笥の肥やしにしかならないんだ」
だからもう……いいやって思った。
頑張ることもやめようと思った。
カルラ「じゃあ……このモンスター討伐は?」
先輩冒険者「その口実なんだ」
先輩冒険者「それくらい察してくれ」
カルラ「すいませんでした」
カルラ「いままでお世話になりました」
先輩冒険者「ああ」
エルウェン「先輩……」
俺はその視線を特に振り向くこともなかった。
もう昔のことも覚えていない。
町の人「お、おい…あれ見ろよ」
町の人「ああ、エンジェルスレイヤーだろ」
町の人「あんな汚い服着て町歩きやがって…」
町の人「おいやめろよ……ころされるぞ?」
町の人「女の子をころして回ってるって噂だぜ?」
カルラ「……」
町の人「おい魔物が出たぞ!」
町の人「なんだと」
村の前方からは体長3、4メートルはあるかと思われる。
巨大生物。
が4足歩行のものがこっちに向かってきていた。
町の人「おい誰か」
町の人「剣士はいないのか」
町の人「この前いた専属の人は全部どっかに行っちまったよ」
町の人「クソどうしようか」
そんな時、
目の前に現れた一人のやつ。
カルラ「……」
その魔物真っ二つに切り裂いて入った。
町の人「あれは誰だ」
町の人「あいつは」
カルラ「……」
そいつの剣には赤く赤い液体のようなものがついていた。
カルラ「こいつは魔神の一種だ」
カルラ「切り落とされた肉体が意志を持って動いているだけだ」
町の人「すまねえありがとう」
町の人「剣士様〜」
町の人「ところであんた名前は」
カルラ「……」
町の人「何か喋れないのか」
カルラ「すまない」
その冒険者は去っていった。
町の人「おーい何だよぶっきらぼうな奴だな」
村娘「あの」
村娘「助けていただいてありがとうございました」
村娘「私この村の娘のかやっています」
かや「これどうぞ」
と言うとかやは小刀を持ってきた。
カルラ「ありがたく受け取っておくよ」
カルラ「じゃあ俺はこれで」
かや「あのすいませんお名前は」
カルラ「ない」
どうせもうすぐ死ぬんだろうからな。
かや「……」
かや「よかったら今晩家に泊まっていきませんか」
かや「お礼も兼ねて」
カルラ「……」
カルラ「いい」
かや「そ、そうですか……」
その娘は悲しそうに俯いた。
かや「ではお気をつけて」
カルラ「……」
かや「あの……」
その人はそのまま振り返ることなく町の東の方へ歩いて行った。
かや「あっちは確か貧民街の方なんじゃ……」