種族・国家
◇種族◇
【人間】
異世界で最も個体数が多く一般的な種族で、ムーリア皇国では「人族」と称される。
平均寿命は生活環境にも因るが良好なら約七〇~八〇年。現在の生活圏はサバティア大陸や極地を除くほぼ全世界に及び、住み着いた各地で大小様々な国家を築いている。
中でも常人より強大な魔力を行使する「ニョルジアン」と呼ばれる少数民族は、成人してからの老化の速度が常人の半分程であり約一五〇年は生き長らえる。アトランス帝国の皇族とノアトゥニア王国の王族は、必ずニョルジアン出身でなければならない掟がある。
【エルフ】
様々な精霊と契約を交わし、高度な精霊魔法を駆使する人間の上位種。
人間と比べれば個体数が少ない代わりに、平均寿命は約一〇〇〇年と全ての種族の中で最も長い。そして殆ど不老に近い身体を有し、獣肉食を極力避けるセミベジタリアンの食文化を持つ事もあってか、極めて容姿端麗な者が多い種族である。
死後は肉体を捨てて精霊になる。
【ダークエルフ】
エルフと同様に高度な精霊魔法を駆使し、約一〇〇〇年の平均寿命とほぼ不老の身体を持つ褐色肌の種族。
一方でエルフの様なセミベジタリアンという訳ではなく、積極的に狩りや漁を行う文化の為か戦士気質の者が多い。
死後はエルフと同様に肉体を捨てて精霊になる。
【ドワーフ】
小柄ながら屈強な体格の種族。
平均寿命はニョルジアンと同程度の約一五〇年。鉱物精製や金属細工を得意とする者が非常に多く、彼等が作った機能的な武具や美しい工芸品は貴族の間でも高値で取引される。
成年に達した男性は髭を深く生やす習慣がある。
【獣人】
人間の身体に様々な獣の特徴を併せ持つ種族の総称。
平均寿命は通常の人間と同等の約七〇~八〇年で、個体数も人間に次いで多い。実は遺伝的に最も人間に近い種族でもあり、哺乳類がベースの種族であれば人間との交配も可能。
ケンタウロス、ミノタウロス、フォーン等も獣人に分類される。
【竜族】
異世界最強クラスの獣である竜をベースとした獣人の上位種。
その名の通り竜の特徴を持つ強靭な肉体を有し、ドラゴンやワイバーンといった竜と直に意思疎通を図り、それらと深い絆の元に対等な共生関係を結んでいる。
更に平均寿命も約四〇〇年と通常の獣人の五倍に及び、他の獣人とは隔絶している事から別格の種族とされ、ダークエルフと並んで戦士気質かつプライドが高い。
【魔族】
魔人・鬼人・夢魔・吸血鬼から成る四大種族の総称で、今から約三二〇〇年前に魔王アルカディエルが、サバティア大陸の魔界生物を元に創造した種族。
いずれも通常魔法を扱う中では最強クラスの種族で、平均寿命は約八〇〇年とエルフやダークエルフに次ぐ長さ。ただ多くの者が若々しい姿をしているが不老ではなく、二〇〇年程で完全な成体になると徐々に年老いていく。
素でも竜族に匹敵する強靭な身体を有し、体内にある「魔晶」から供給される膨大な魔力を自在に行使出来る。加えて脳か魔晶が破壊される様な致命傷を負わない限り、身体が大きく負傷しても速やかに再生させられる驚異的な生命力を持つ。
尚、身体そのものが魔晶として機能する吸血鬼は、夜間かつ脳さえ無傷なら圧倒的な力を発揮する反面、昼間の直射日光下では体力や魔力が衰えてしまう。
【ホムンクルス】
元来はラテン語で“小さい人”を意味する言葉だが、この異世界では魔術によって生み出された人造人間の総称となっている。
地上では極少数の作成成功例があるのみだが、天界では神々の意思を受けた天使達によって、様々な種族を模したホムンクルスが量産されている。情報収集の為に多数が地上へと遣わされ社会に溶け込んでいる他に、時折天界が地上の紛争に介入する際に遣わす軍勢の兵士を構成する。
CFの最初期に召喚された将兵達も全てホムンクルスであり、彼等は地球人の将兵としての容姿・知識・技能を与えられた上で、アリーナ達の命令に忠実に従い現代戦を戦える存在となっている。
【エーギルの民】
遥か太古の昔、あまねく洋上に超文明を築き、七つ海を武力支配した謎の種族。
その素性は殆ど不明だが、魔王とその下僕である魔族とは浅からぬ因縁がある。
◇国家◇
【アトランス帝国】
アリーナ達が所属する東方の列強国で、地球のグリーンランドに似た形状のアトランス亜大陸を本土とする。
その南北に長い本土は北緯三〇度から北緯六〇度に及び、CFの本拠地であるカリュブディア島は温暖な南部の西方沖にある。帝都マーレポリスやカリュブディア島がある南部は漁業や世界各地との交易、湖水地方の中部は農牧業や湖での漁業、針葉樹林が多く寒冷な北部は林業や鉱工業が盛んで、帝国の重要な資源供給地域かつ工業地域となっている。
フルミオン歴二四〇〇年代からムーリア大陸を始め、世界各地から様々な種族が新天地を求めてアトランス亜大陸に移住。フルミオン歴二五一〇年に当時の植民地を支配していた諸侯が結束して各宗主国に独立戦争を挑んだ結果、二五二二年に諸侯連合の盟主であったライオス一世を初代皇帝とし貴族による元老院を有する独立国家となった。
東方では最大規模かつかなり独特な海軍力を擁しているが、現在はムーリア皇国の脅威を前に制海権を奪われつつある。
【ムーリア皇国】
西方の覇権国家で、過激な「人族至上主義」による世界統一を目論む。
フルミオン歴二九六〇年にムーリア大陸諸国を統一して誕生した新大国で、魔導機械を発明し人間の国家としては異世界で初めて産業革命に達した。その圧倒的な国力と工業力を背景に多数の戦列艦やワイバーン母艦を擁する大艦隊を建造し、フルミオン歴二九九九年七月に突如としてサバティア魔王国を除く各国に対し宣戦布告。後に「第二次七つ海戦争」と呼ばれる戦乱の時代を招く。
フルミオン歴三〇一二年からは、多種族が共存する国家であるアトランス帝国を主敵と見做し、その最西端の領土であるイルミア諸島への侵攻を開始。三〇二二年四月にイルミア諸島占領を完遂してからは、CFの最初に戦うべき主敵として立ちはだかる。
【サバティア魔王国】
魔族の原住地であるサバティア大陸全土を実効支配する北方の列強国で、フルミオン歴元年から生き続ける魔王アルカディエルが統治する絶対君主国。
半ば鎖国に近い対外政策を採る中立国家でもあり、魔族か貿易商以外で本国を訪れる者は少ない。高度な魔法文明と強力な軍を有する事以外は謎の多い国で、ムーリア皇国もこの国だけは侵攻の対象としていない。
従って第二次七つ海戦争にも静観する構えを続けていたが、CFの出現と参戦を機にこの国も次第に動きを見せていく。
【レーヴァニア共和国】
異世界に突如出現し、覇権を狙う謎の転移国家。
かなり高度な科学文明を持つ大国の様だが……?
【ノアトゥニア王国】
サバティア魔王国以上に鎖国的な西方の小さな島国。
人間の中でも高い魔力を持つ謎の少数民族、ニョルジアンの原住地。