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白雪の人形姫、1(二人の姫)
妃は望んだ。
雪のように白い肌、
炭のように黒い髪、
海のように碧い眼、
血のように赤い唇を持つ娘が欲しいと。
望みは叶えられ、妃の元に女の双子が授けられた。
白雪の肌、
漆黒の髪、
緑柱石の瞳、
血の唇を持つ赤児と
象牙の肌、
栗毛の髪、
闇の瞳、
桜の唇を持つ赤児。
妃は自らが望んだ通りの娘を可愛がり、真綿で包むように育てた。
双子の姫はすくすくと育ち、年頃になる。後継王となる王太子は既に王の片腕として即位しており、姫たちはそれぞれ主要な家臣と燐国の皇帝の元へ嫁ぐことになる。