表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Mad Clown  作者: 彼方わた雨
epilogue
95/95

-95:二度と-



「王女はウロストセリア帝国の第二皇子とご結婚、ね」

「ええ、どうやら、クリスタスに向かう道中で助け合うことでお互いを意識し合うようになったとか。トラップ殿も負けていられませんよね」


 結婚式の招待状を持ってきた者に言われ、トラップは苦笑いを浮かべる。


「それは聞き飽きた。もういい、下がってくれ」

「はっ」


 扉が閉じると招待状をまじまじと見たあと、机にポンと置く。


「……なるほど。確かにあのタイミングで良かったんですね。全く、父上と良い、頭が良く回る。良い方にも悪い方にも、というのが問題でもありますけどね。いやぁ、惜しい人を亡くしました」


 トラップは王女結婚に浮かれている外の様子をぼんやりと見つめた。


*****


 アルセア国には王女がいたことが知らされ、同時にウロストセリア帝国の第二皇子との結婚が発表された。

 国民の驚きと混乱は、キューズ家での事件や禁止されていた〈アルセア〉を続けられていたことが既に知れていた為それほどではなかった。

 そして、王女いたことへの喜びと結婚の祝福が国を包んだ。

 今までの慣習と違い、分家から伴侶を選ばないため、国では不安を募らせたものがいたが、王女の演説により、それは解消された。また、ウロストセリア帝国とは和平条約締結5周年記念式典での事件もあり、微妙だった関係を改善できるため、受け入れられるのは時間がかからなかったのだ。


「これからは、〈神仕え〉という力に畏れ、私たちクリスタス王家に付き従うのではなく、これからの私たちの行いを見て、共に国をよくしていきたいと私は考えているのです。どうか、国民の皆様方にはまだ至らない私たちを支えて欲しいのです!」


 黄緑色の力強い瞳は瞬く間に人々の心を掴んだという。

 一方で、和平条約締結5周年記念式典での事件はアルセア国には非がないということが判明し、ウロストセリア帝国皇帝から直々に文書が送られ、そこにはこれからの関係改善を願うことがかかれていた。

 ウロストセリア帝国側からの願い、そして、王女の強い願いから結婚は人々に祝福されることとなったのだ。


「……結局リ、アレスは何故ファグランディさんを殺したか分からなかったのね」

「うん。アズウェル殿に聞いたけど、何も手がかりが掴めないって。リアレスがどうして死んだのかも分からないまま……。謎だけ残して一人行ってしまったね。フレバの時と同じだ」


 リアレス・トランが何を思い、ファグランディを殺したのか、騎士団は全く分からないで居た。

 ファスタシアの件は〈アルセア〉やトラン家を襲撃した主犯であった為、報復による事件と言うことで騎士団は片を付ける。これにはメリケン・マルドゥック元騎士団長の証言も大きかったという。

 同時、メリケンはキューズ側としてトラン家の事件にも関わっていた。

 次々に浮き彫りになった事態にアズウェルやジルファは対応と調査に追われたらしい。


「でも、リース……リアレスは優しい人だった。結局最後まであのブレスレット着けててくれたし」

「……それは少し妬けるね」

「そ、そうじゃなくて」


 リヒトの言葉にルーナは慌てる。

 ただからかっただけだったが、慌てふためくルーナにリヒトは笑った。


「……ルーナ、行こうか」

「意地悪なリヒト皇子は嫌いです」

「ごめんごめん」


 リヒトに差し出された手を取り、ルーナは前を見つめた。


「私たちには、この先の責任がある。もう二度と、力には頼らない」

「ああ、一緒に」


 表面ではお互い笑っているが、緊張が走る。

 2人が光の中に出ると割れんばかりの歓声があがった。



*****



「リアレス、お前はそれじゃ駄目だったんだよ」


 廃れたバグライド。

 花を手に持った男は独り呟いた。


「くそ」


 アズウェルはギュッと花を握りしめた。

 知ったときには全部が後手。

 トイズ家の別荘で、崩れ落ちたリアレス。バグライドで発見したのは短剣を胸に刺されたリトラス。


「お前は俺を笑っていたんじゃないか」


 何も知らず、両親が死んだ理由も故郷がこんな有様になってしまったことも。アズウェルが知ったのはだいぶ後の話だ。

 自分のふがいなさに笑いしかない。


「……団長殿、式の警備忘れてませんか?」

「休憩時間だろ」

「あと10分で終わります。早く戻って下さい」

「……分かった」


 アズウェルは手に持っていた花を置いてジルファとお祭り騒ぎの街に向かっていった。



 墓標の前に置かれた花。

 突風が吹くとそれはどこか遠くへ飛んでいった。








〈end.〉





ようやくです。

約2年くらいですね、この作品を書いていたのは。

こんなに長い時間、そして、文字数書いたのは初めてでした。

途中だいぶほったらかしてしまった時期もあり、ちゃんと終わらせることができるか不安でしたが、何とかなりましたね。

(ちゃんと終わらせたかどうかは微妙ですが……。)

2年も書いていたり、書かない時期があったりすると設定とか細かいところ忘れて大変でした。

次回長編を書くときはその反省点をふまえたいと思います。


ここまで読んで下さった皆様に感謝を。


2017/6 彼方わた雨

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ