表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Mad Clown  作者: 彼方わた雨
chapter 6 ~過去と過去~
69/95

-69:オウカコ1-


 ある晴れた日のこと。アルセア国とウロストセリア帝国の国境付近の町パワグスタ近郊にて、1発の銃声が鳴り響いた。


「な、何が……!」


 一緒に旅をしていた3人の内1人が撃たれ、その場に倒れる。慌てて一緒にいた2人の内1人が倒れた人間の様子を見たが、広がる血の量に諦めがついた。

 そして、もう1人は辺りを見渡す。そこで見たのは、ウロストセリア帝国の兵士の後ろ姿だった。


 35年前のこの日、アルセア国とウロストセリア帝国には溝が生まれてしまった。

 当時のアルセア国王は酷く怒り、報復を理由にウロストセリア帝国に宣戦布告。ウロストセリア帝国は帝国兵が発砲した事実を掴めぬままアルセア国の攻撃を受ける形となる。


 この時活躍したのがメリケン・マルドゥック上三位騎士と国王直属の部隊だった。国王直属の部隊は10人程度しか居なかったが、押され気味であったパワグスタ南方で一気に形勢逆転したのだ。また、この部隊が出撃する際、他の部隊は皆後方に下げられる。助けられる一方で不信が募ったのも確かだった。


「……国王陛下が直接指揮をとっている部隊は一体何なのです」


 アルセア国王の執務室に来た当時のアルセア国騎士団長は眉をひそめながら、尋ねた。王はじろりと騎士団長に視線を返す。その目は一国を背負うにはあまりにも暗いものがあった。


「何、とは? 私が揃えた精鋭達だが。文句でもあるのか」

「他の部隊を下げる理由は? それに10名程度の部隊ではないですか」

「この私に口答えするのか。もういい、出て行け。お前に用はない」


 王は声を荒げ、鋭く睨みながら言い放った。さすがに騎士団長もこれ以上何かを言うことが出来ず、そのまま引き下がるほか無い。内心不満がありつつも騎士団長は王に一礼して部屋を出た。

 入れ違いで入ってきたのは初老の男とまだ若い青年である。騎士団長はすれ違い様にその2人に見覚えがあることに気がつき、慌てて頭を下げて道を空けた。王に一体何の用かと思ったが、これ以上留まるわけにもいかず、騎士団長は扉の奥に消える。

 王は騎士団長が出て行ったことを確認すると、先程までの鋭い表情を変え、ニヤリと笑った。



 戦争の最中、王とキューズ家の一部が行っていたのは〈神仕えの人工継承実験〉、通称〈アルセア〉というものだった。後に判明したこの実験は〈神仕え〉を王族以外にも継承させ、最強の軍をつくろうというものである。

 実際、国王直属の部隊がその実験の被験者達によるものだった。何人かは戦うまでになったが、その力に耐えきれず何日かすれば命が尽きる。命尽きる前に部隊に加え、戦わせていたのだ。

 不審に思った当時のアルセア国騎士団長はこの事実を突き止め、公表する。騎士の内部でも王に対する不満が沸き起こり、遂には王を暗殺する騎士を出した。


 これをもって〈アルセア〉は禁止され、この実験を進めたキューズ家当主が責任を負い、死罪の次に重い永久投獄の罪となった。〈アルセア〉で既に被験者となってしまった者たちはその後、例外なく命尽きてしまい、協力した罪に問われずに終わる。

 また、戦争のきっかけをつくったのも王である事が判明。アルセア国はウロストセリア帝国に謝罪、戦争の停止と全面的に罪を認めることとなった。


 ウロストセリア帝国は勿論の事、アルセア国内でも前国王は最悪を生んだ王として語られている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ