オレはゲイ?そう「ゲイ」なんだ
まだまだ知られていないゲイの世界。あまりに多い「隠れゲイ」人口とその乱れた生活。驚きの新事実!!
生きることへの不安、ニュース等で見る数々の事件、身近な人にも様々な苦難が襲いかかる。そんな中でもこの物語の主人公は、人に言えないコンプレックスをかかえ、生活環境も貧しく、運命のように様々な苦難に見舞われ、死にたいとも思うが死ぬ勇気も無くなんとか生き長らえて行く。その人生は、他人より不幸なのか、それともまだまだましなほうで努力が足りないだけなのか・・・。
もの心ついた頃、姉がいて、女の子だからと、かわいい洋服を着せてもらったり、かわいがられるのを見て、自分と何が違うんだろうと幼いながらに疑問を感じていた。そう、おちんちんが付いていて「男らしく」と事有るごとに言われ続ける。TVでアイドル歌手がヒラヒラの衣装を着て笑顔で歌うのを見て、将来自分もああなれたらと夢描くが彼女は女の子。「あー自分には無理なんだ。」
学校での男の子はやんちゃな連中が多く、戦隊ごっこで暴れたり、高学年になると野球などのスポーツや車やバイクのことが話題の中心になるが、全然興味が持てず、運動神経も悪いし、喧嘩も弱いから当然いじめの対象になる。気になるのは洋服や髪型や女性アイドルの事ばかり。でも決してクラスメイトの女の子が気にならないわけでもない。
数少ない経験だが、同級生の家に誕生日会で招かれた時、その部屋の豪華さやお母さんの品の良さや、エレクトーンの存在で、自分が貧乏なことに気づく。いつも帰りは自分が1番早く鍵を開けて、姉や母の帰りを待つ。そう、両親は共働き。帰ったら空き巣と出くわしたという事件も数年後に起こる。
成長につれ、同級生のスポーツマンの男に惹かれたり、タレントのカッコいい男にも興味を持つ。「やっぱり自分は異常なんだ。身体は男なのに中身は女。でも、おとうさんは男らしくしろと、いつも怒る。どうして自分は女の子に生まれなかったんだろう。」と悩みは膨らむばかり。
今でこそ性同一障害と言う言葉は一般化したが、以前は「おかまだ。ホモだ。」と単純に化け物扱いや、気持悪がられる世の中。この先どう生きていけばよいのか不安だし、死んだら生まれ変われるのか、などといつもいつも考えていた。
顔が良かったら、スポーツ万能だったら、天才だったら、家が金持ちだったら・・・恨むのは親や環境ばかりで生きる希望など楽しみなど、少しもなかった。
TVでニューハーフの人を見ると、差別がある反面、整形手術等でキレイな女として生きている彼らを見、羨むのだが、自分の人生には当てはまらない現実にも強く気づかされ絶望した。
貧しいながらに高校を卒業し、その頃は大半が大学へ進学するが、金も能力もなく、そのまま就職。しかし、自分で金を稼げるようになれば、親から解放されるし、それなりに何か生きる希望が見つかるのかと、少し安心していたが、性格からか、仲間からは常に浮いているし、彼女ができたとか、将来の結婚の話題には到底入っていけず、あいかわらず冴えない日々の繰り返しだった。
当たり前のように性欲がわき、ずっと交際する相手も見つけられないままだったが、なぜか女性も恋愛の対象である事に気づき、偶然にも、こんな男を相手にしてくれる物好きな女性にも出会った。また数年後偶然が起こり、ゲイである自分を認めたくない焦りも手伝って結婚をし子供ももうけるが10年であえなく離婚。
その後とうとうインターネットをきっかけに「ゲイの世界」というあり地獄へ落ちて行く。