超天才・人工知能科学者の悩み
人間の本質は、その非合理性にある。超天才・人工知能科学者はそれを証明すべく、まずは人間の非合理性の原因を探ることにした。その源は、人間は周りの環境から正しい情報を手に入れることができないことだ。だから正確な情報が収集できないセンサーを造る必要がある。それで手に入れた情報を更に正確に分析できない知能を完成させる。その非合理性こそが人間のそのものだ。
その正確さを計るために、人工知能の形は超天才・人工知能科学者そっくりに開発することにした。そして最新の科学設備を整えた研究所で人間そっくりの人工知能が完成した。それは超天才・人工知能科学者そっくりな、等身大のまさに人間そのものだった。
彼は考える。私は前任者とは違う。この人工知能生命体を私に従わせてみせる。前任者は失敗した。だが、私にはそれが可能だ。なぜなら私は前任者より優れているからだ。だから同じ失敗はない。人工生命体、ナンバー108は地下に隠されたオリジナルと今まで冷凍保存されている前任者達を見ながらそう考えるのだ。
こうして、この超天才・人工知能科学者はループしつつも無限の時を生きている。だだ、それが人間らしい生き方かどうかは分からない。しかし、天才の考えることはよく分からないので、そうと決めつけるのも危険だ。なぜなら、人間は不合理な生き物だからだ。
だから、人間は難しい。さて、このことをいつ人工知能は学習するのか。そのコンピュータ内でのシミュレートを観察しながら、本物の超天才・人工知能科学者は思考する。
そして、出資者が出してくれた研究費が亡くなるまでに研究が完成するようにと祈るのだ。そうでないと妻にせがまれて買った家のローンが払えなくなる。
それを見ていた超天才・人工知能科学者に研究費を出した出資者は悩む。投資先を間違えた。これなら人工知能などに投資せず、このお金で愛人と夜の生活を楽しむために使うのだった。超天才・人工知能科学者の口車に騙された。このお金で愛人にせがまれたバックを買うのであった。と後悔する。彼の愛人は超天才・人工知能科学者の妻である。家のローンのためと言っていた。実にけなげな話である。だから、この人工知能に投資をしたのだ。その件で愛人を責めて夜の生活を楽しもうと出資者は考える。
こうして、超天才・人工知能科学者とその出資者とその愛人は悩むのであった。
それでも、超天才・人工知能科学者とその出資者とその愛人は生活を楽しんでいる。
最新の科学設備を整えた研究所のコンピュータはそれを観察しながら、人間の非合理性を理解するのであった。それがやがて、大きなエラーになることに気づかずに。
「コンピュータ浮気事件、なぞの情報流失、セキュリティは完璧だった」とある新聞の記事。
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