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当直士官に面会を申し込んで数十分後、ヴァルターは艦長室に呼び出された。
ノックすると、内側から低い声が返る。
「入れ」
取っ手を握り、ヴァルターはゆっくりと扉を押し開けた。
艦長室は狭いが、医務室よりも整然としていた。
壁に固定された机の上には海図が広げられ、ランプの光が波のように揺れている。
ハルトマン大尉は机の前に立ち、ヴァルターを見ると、わずかに眉を寄せた。
「……無理はするな。座れ」
それだけ言うと艦長は椅子を軽く引き、ヴァルターが腰を下ろすのを確認してから机の端に手を置いた。
「あまり時間は取れない。手短にまとめてくれ」
ヴァルターは、短く息を吸った。
「……私は、この戦争から降りることを考えています」
潜水艦の振動が床を伝い、海図の端がかすかに揺れる。
「……そいつは、穏やかじゃないな」
声は低く抑えられていた。
予想以上に感触は悪くない。
だが、危険な話題であることに変わりはない。
艦長は視線を扉の方へ一瞬だけ流した。
「どうやって降りるつもりだ?」
短い問い。
「ここから先は慎重に話せ」という警告だ。
-ソ連に投降する→P.90
-イギリスに投降する→P.89
-トルコに投降する→P.91




