表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/108

p83

「……次。」

低い声が落ち、足元の長い影が揺れたそのとき。


胃の底を震わせるような重苦しい衝撃が、足下から突き抜けた。

鉄がひしゃげる鈍い音に、老朽化した木製甲板が大きく傾き、よろめいた下士官が欄干を掴む。


投げ出された名簿が風に舞った直後、

視界の端で海が爆ぜた。


離れて浮かぶ艦影が、凄まじい閃光とともに海面から押し上がる。


一瞬、世界から音が消え、すぐに鼓膜を破らんばかりの爆音が追い付いた。

弾薬庫に引火したのか、V字に折れ曲がった掃海艇は、火柱と黒煙を撒き上げ

ながら一気に海へと引きずり込まれる。


「Torpido!」

誰かが狂ったように叫んだ。

「Отходить! Живо!」


下士官が顔を引き攣らせ、接舷していた哨戒艇へ飛び乗る。

足を滑らせ海へ落ちた兵士の頭上で、エンジンが容赦なく唸りを上げ、飛沫が白く跳ねた。味方を顧みず身を翻す灰色の船腹に、細い航跡が吸い込まれていく。


次の瞬間、先を凌ぐ大爆発が至近距離で起きた。


叫ぶ間もなく衝撃波が甲板を叩きつけ、爆風に肌を焼かれた船員たちに熱を帯びた鉄の破片が降り注ぐ。



静まり返った甲板に「ゴボゴボ」という不気味な浸水音が響いた。

船首が急速に重くなり、海水が甲板を洗う。


沈む。

見る間に、船は黒い海へとのみ込まれた。



感覚が消える極寒の海で、ヴァルターはずたずたになった木箱に縋り付いていた。

体のあちこちにはしる刺すような痛みが、傷のせいかなのか、それとも寒さのせいなのか、自分でも判別できなかった。


ほどなく、凍てつく波間を割って、黒光りする鋼鉄の背中が姿を現した。

司令塔セイルが濡れた光を放ち、側面のハッチが跳ね上がる。

顔を上げたソ連兵たちの目に映ったのは、機関銃の冷たい銃口だった。


乾いた音が響き、きらめく海面に火花が散る。

叫び声は銃声にかき消され、兵士たちの周囲が、どろりとした赤に染まっていく。


ヴァルターは息を潜め、その光景を震えながら見つめることしかできなかった。


→P.86



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ